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山椒の実

知られざる皇室外交 (西川 恵)

天皇が皇太子時代から含めて外国に赴いたり、あるいは客人をもてなしたりする。その中でどのように振る舞ってきたのか、ということを記した本。

まあこれ、すごい話ではあるよね。一人(皇后もだから二人か)の人間にそれをさせて、その上で成り立つものがある。常人にはとても真似できない。

あと、自分も節目節目で短歌でも作ろうって気になるよね。これからスポーツ観戦の感想とか本の感想を書くたびに短歌作るようにしようかな。

心ある人の心を知らぬまま これまで僕は生きてきた

検察側の罪人 (雫井 脩介)

流石にこの著者の作品だけあってテーマも面白いし展開のスピードも適切で、良いですね。しかも途中で散らかることなくラストまでうまいこと進んだ。話題作になるだけのことはある。映画化されたんですね。公開はこれからか。

まぁでも、麻雀牌の話はちょっと現実感が薄かったが。

賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (井出留美)

食品廃棄の問題に取り組む人の本。いろいろなことがあるんですね。フードバンクの話とか、どういう構造で廃棄が起きるのか、どう改善したか、すべきかと。気づきは多かった。私はあまり知らなかった。家庭からの廃棄も多いという話や、京都の話はずいぶん参考になった。あと教科書の話とかも。

小売店の場合、賞味期限で廃棄されるのではなく、期限よりもかなり前に廃棄される。2/3過ぎたくらいで捨てるんだって。また、賞味期限が日付で書いてあると、製造や流通の関係で1日追い越して納品されたことに気づくと返品してきたりするらしい。それで期限が長いものは月までの表示にするとか、そういう工夫があったらしい。それで、著者はフードバンクっていう、廃棄される食品を引き取って必要な人に配るという活動をしている。

「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか (丹 道夫)

誰もが知る「富士そば」の創業者が半生と経営哲学と演歌を語る。

今の会社の最寄駅にも2軒ほどありまして、カツ丼が特に旨いので時たま食べに行っております。もう少し歩くと安いカツ丼屋さんがあったりもするし、新潟系のソースカツ丼と「へぎそば」を食える店があったりもしますが、それでも安くて、勝るとも劣らない出来の富士そばは偉大だと感じている。入りやすいしね。カツ丼オススメですが、今度天ぷらも食うかな、という気になった。

森は怪しいワンダーランド (田中 淳夫)

森林ジャーナリストという職業…があるのかどうかは知らなかったが、そういう人が書いた、森の本。面白い話もあり、真面目な話もあり、森にまつわるいろんなエッセイが並ぶ。

結構楽しめたよ。探検部出身の人はやはり面白いよね。真面目方面の話はまぁ…よく分からないというのが正直なところ。正解が…この人の言うことが正しい方向なのかどうか判定できるだけの知識がないんで。

個人的な話をすれば、私の祖父は林野庁に勤めていた人で、街や公園を歩いていてもあれはナラだクヌギだなんちゃらだと教えてくれたのだが、今に至っても私は全く判別できない森音痴です。まーでもツツジとツバキくらいは判別できるかな。

事実の考え方 (柳田邦男)

日本三大「やなぎだくにお」の一人。「くにおくんシリーズ」の主人公の姓は柳田だと思っている(←私が勝手にそういう印象を持っているだけです)。名前で損してるよなぁ。初見では別人だとは思わんもんな。まあ有名な人ではあるけれども。

この本はいろんなところに書いたエッセイをまとめたもの、という感じ。航空機の事故に関する調査から、医療関連の話まで。割と臨場感のある書きっぷりなので退屈せずに読めると思う。後半は書評みたいなものも多かったので、気になったものは機会があれば読んでみようと思った。

イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち (澤宮 優)

スポーツ選手を襲う魔病。医学用語ではなくゴルフ用語らしいね。思ってたよりも広くある症状だと。原因もはっきりしているわけではないし、治療法も確立されていない。

興味深かったのは、最後のあたりに出てきた1万時間理論のあたりか。どんなものでも上達するのは練習時間にして1万時間くらいで、それ以上はやっても効果がない。それで練習は上達のためでなくコンディション調整に徹することでイップスのようなものを避けると。

ゲーマーとかもイップスなるのかな? マリカーでドリフトできなくなるとか…スプラでハイプレ打てなくなるとか。私もコード書きイップスになっても不思議はないな。突然printf書けなくなるの。まじで恐怖でしかない。防ぐには、いろんな環境、いろんな言語でコードを書くと。あーでも、コードよりも、こういう駄文を書けなくなるのが一番つらいかも。

期待の科学 悪い予感はなぜ当たるのか (クリス・バーディック)

プラシーボみたいな現象を説明する書。心理の生み出す魔をどう使えば人類の幸福につながるのかな?

サッカーのPK戦やバスケのFTから始まって、様々な実験、検証について紹介しながら話は進む。こないだの幻肢の話も出てくる。なかなか興味深い話だ。なかなかの力作と感じられる。

現在華やかなりしAI分野も、こういった心理の魔といった類の分野に手を出すようになるまであと何年かかるかな? 現実の脳の働きというのは思ったよりも複雑だな、という印象は強くなった。

動物になって生きてみた (チャールズ・フォスター)

イグノーベル賞受賞。奇書の一つだろうなこれは。動物になって生きてみた、タイトルそのまんまの話。のっけからアナグマになってミミズ食べてるし。

比喩的な叙述が多すぎて読むのが疲れたよ。こんな話、ここまで字数を稼ぐ必要があるんだろうか。外国文学に特有のアレですね。あっちでは単語数でギャラが決まるため、良い作家は無駄に多くの単語を費やす傾向がある、とかいう与太話だか本当の話なんだか分からない説もあるよね。

とりあえず、キツネの「もしもし」の話が印象に残った。日本人が電話で「もしもし」と発声するのは、キツネは「もしもし」とは発音できないため、キツネに騙されないようにしている…という話ね。なるほど! そうだったのか。

組長の妻、はじめます。女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録 (廣末 登)

関西の女ギャングの半生をつづった本。まあテンポも良くて読みやすい本だったと思うよ。なんというか…GTAな人生って言えばいいのかな。

組長の妻、を前面に押し出したタイトルは内容とは乖離がある。これは組長の妻の話などではない。確かに最終的には旦那が組長になったんだけど、一人の女ギャングの話。悪事としては覚醒剤と車泥棒がメインで、多くの手下を使って手広くやっていたような記述。社会にとっては迷惑な話ではあるが、それなりに、一定の役割があったんではないだろうか。