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山椒の実

Category: Society

実力も運のうち 能力主義は正義か? (マイケル・サンデル)

「トロッコ問題おじさん」と呼ばれる可能性があった著名な教授による本。かなり話題になっていた。

学歴面でもそうだが、宗教的価値観というか。この人が引き合いに出すのはキリスト教だけど、我々も因果応報とか、そういう言い方がある。良いor悪い偶然をそれまでの行いと関連付けて評価することの是非。実際はランダムな偶然に過ぎない。偶然の勝者が正義を称して優越に浸るための理論。理論通りのような優越感。それが問題になる。謙虚であれ、と。

新 日本の階級社会 (橋本健二)

「とくに本書を手にとった読者などは、高学歴のホワイトカラーで」という文がすごかった。それ言うの? そして、最後の章なんかは対象読者の多くが望んでいないとされた方向の解決案を提示するという構図になってたような…違ったかな。

階級社会についての真面目な本。2015年までの調査が元になっている。資本家階級、新中間階級、旧中間階級、労働者階級の4階級に加え、アンダークラスの出現で5階級に分類して分析を加えている。現在はまたこの現象が進行しているだろうか。いろいろあったからねー。コロナとかさ。

音楽が聴けなくなる日 (永田夏来・かがりはるき・宮台真司)

電気グルーヴの薬物逮捕→自粛に関連する、「そんな社会でいいのかい?」な話。今やデフォルト側が「自粛する」方になっていて、深く考えない限り自粛、という感じになっている。そんな社会に違和感を覚える。3人の著者がそれぞれ持ち味を出して論じた本。

もう30年以上? 前に読んだ問答集? エッセイ? みたいなものの中で、確か筒井康隆だったと思うが、著者の人となりがどうの…みたいな話を振られた際に「人に興味はない。作品に興味がある」みたいな返しをしていた。ぶっきらぼうな感じがカッコ良かった。それを読んで以来、私はずっとそう考えるのが正しいと思ってきた。だからクリエイターが犯罪者だから自粛、という風潮には抗いたいと思っている。薬物犯は患者or被害者という側面もあって、なおさらそう思う。思うけど、それができているのか? この本を読みながらの自問自答が続いた。

黙殺 報じられない"無頼系独立候補"たちの戦い (畠山理仁)

いわゆる「泡沫候補」的な人たちを丹念に取材した本。なかなか考えさせられる。奇抜なことをして人目を引こうとしている人もいるけど、それには理由があって…そして実際に政策自体はかなり真面目に考えている。資金力や知名度がないとどうにもならない世界で、どう戦うか。そしてなぜ戦うのか。

すごくいい本だった。私はこれまでの選挙ではそういう候補に投票したことがないんだけど、今度からはそういう候補に投票するという選択も考えてみようと思う。理想の政治制度とはどうあるべきなのか。