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山椒の実

Category: Poverty

ルポ 中高年引きこもり 親亡き後の現実 (NHKスペシャル取材班)

いわゆる8050問題。50代の引きこもりの面倒を80代の親が見ているという、ある種の地獄を観察する。一種の共依存みたいなもんなのかなぁ。そして親もしくは子…そのいずれかが死ぬ。どうなるのか。能天気でもあり、しかし壮絶な話が続いた。 思ったのは、「人に迷惑をかけたくない」という意識は危険だなと。人は単独で生きていく種族ではなく、迷惑をかける/迷惑をかけられる範囲がその人物にとっての「世界の広さ」でもあ

ハイパーハードボイルドグルメリポート (上出遼平)

新年1発目の読書体験は、超話題TV番組の書籍化。白状すると私は番組の動画は見てないんですが、書籍自体も話題になっていたので、読んでみたというわけだ。 どう表現したらいいのか、すごい話が続いた。読んでいてなんともやるせない気持ちになったし、最初のリベリアの章を途中まで読んで受けた衝撃で、その晩に眠っていたらいつの間にか自分が涙を流していたことに気づく…なんていう虚構の中でしかあり得ないような体験を実際

レンタルチャイルド (石井光太)

インドの貧民の話。実際この本を読むのは2度目でしたが、相変わらず圧倒されました。目まぐるしく発展していくインドのムンバイを舞台に底辺の人々が、生きるために戦う。乞食、売春婦、ギャング、青年ギャング、ヒジュラ…全員が弱者で、それぞれ憎しみ、争い、食い合う。誰も得しないよこれ… 表主人公の少年乞食のリーダー、裏主人公のガイド。少年はリーダーとして慕われていたがギャングになったり、また仲間のために乞食リー

下流喰い (須田慎一郎)

小泉政権末期、2006年ごろの本。当時は消費者金融が激動期を迎えていた。今は当時よりは下火かな。歴史を感じる。そのあとの、過払金請求の弁護士側のビジネスも、もう少ないんじゃないかなという印象がある。なかなか悪辣だったよね。竹内力の『ミナミの帝王』とか好きだったなぁ。 当時のこういう、貧乏人から絞り尽くすビジネスって今はどうなってるんだろう。思いつかないな。さらっと出てこない。もうちょっと知識にアップ

アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 (ジョーン・C・ウィリアムズ)

アメリカの民主党の支持者が、トランプを勝利に導いた支持層を分析した書。かなり正確だと思わせる分析だ。合点がいくし、日本もあるいはこの路線が主流派になる日がありうるかも、と思わせるものがある。最初はこれアメリカ特有のものなのかなという感じもしたけど、日本にだって応用可能な話だと思ったんだ。 ホワイト・ワーキング・クラスというのはアメリカの白人労働者層で、今までは「中間層」つまり富裕層でも貧困層でもない

われらの子ども 米国における機会格差の拡大 (ロバート・D・パットナム)

副題の通り、米国の機会格差がどのように拡大しているのかということを記した本。日本は良きにつけ悪しきにつけアメリカの後を追っている面があるので、こういう本を参考にしてどういう社会にすべきか、すべきでないかを考えたりするのも悪くないんじゃないか。 家庭環境、教育環境、コミュニティ…色々な要素について深く掘り下げながら考察を加えている。子どもというのはやはり周囲の大人の影響をどうしても強く受けるわけで、ど

テクノロジーは貧困を救わない (外山 健太郎)

マイクロソフトのインド研で働いてテクノロジーと教育について考えた本。文章が多い。その割には言いたいことは最初の数ページで終わっている気がするのだが。で、このタイトルよ。私はテクノロジーの信者ですからね。テクノロジー以外のものが貧困を救えるとでもいうのか。と思って読み始めたのだけど、、、 テクノロジーは色々なものを増幅させる。勤勉を、怠惰を、快楽を、苦悩を。かなり納得のいく論だった。基本、手綱を握るの

ラーニング・レボリューション MIT発 世界を変える「100ドルPC」プロジェクト

全ての子供にパソコンを。OLPC, XO, Sugarと世に出してきた人々を描く。成功も失敗も。Sugarみたいなものには注目したいと思っていた。Sugar on stickとかありましたよね。この本を読むとXOの技術的なことについてもある程度書いてあって面白い。ディスプレイがそんなふうになってるなんてね。 最初は壮大な夢で注目を集め、100万台以下では取引しないとか高飛車だったが、徐々に現実を見るようになってい