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山椒の実

クリーンミート 培養肉が世界を変える (ポール・シャピロ)

いやはやまたこれは…すごい本を読んだぞ。衝撃だ。これだから人生やめられんよ。緑の革命で一息ついたものの、人口増後の栄養問題という、普遍的な問題に挑む。

世界を救うにはどうしたらいいか? クリーンミートだ。地球の人口は増え続けていて肉食も増えていく。動物はどう? 序文の比率がすごい。野生動物の数と飼育動物の数の比率ね。その飼育動物たちは劣悪な環境で飼育されて肉になるんだが、苦痛に満ちた一生を過ごすわけよ。そしてそもそも人口の増大で肉が足りなくなるわけ。今のボリュームゾーンの人たちは野菜を食ってたまに肉をご馳走にしているけど、それが欧米人のように毎日肉を食うようになったら? 非効率的な現在のやり方の延長では持たない。地球が。人類いい加減にしろよ…

この本を読んだきっかけは、息子の一人との会話「不老不死の薬が開発されたらどうする?」から。私はすでに若者ではなく衰えてしまっていて、子供もいるし、今更不老不死になったところで苦痛が多いかな、という感じの第一印象を答えているうち、これはもうちょっと大きな話をした方がいいだろうと思った。

いきなり不老不死だと1人1回しか売れない、寿命を伸ばす薬という感じにしたほうが継続的に薬が売れて儲かるだとか、不老不死になってしまったら人が死ななくなって人口が永遠に増えていき、食料が足りなくなるだろうとか。保存食とか栄養剤みたいなのが儲かるんじゃないのとか、そういう感じの話になったわけ。住むところもなくなって…云々。

で、クリーンミートだ。食べるための肉を手に入れるのに、動物をまるまる育てるのは非効率で、筋肉とかだけ培養すれば食えるっしょと。まだ畜産で消耗してるの? どうなんだと。

2020年に出版されたこの本には、クリーンミートの現在地が記されている。なかなか有望だ。私はヴィーガンではなく肉は大好きな部類だが、クリーンミート食べてーなー! となったよ。ちょっと高くてもいいよ。著者や開発者にはヴィーガンが多いみたいだ。だがターゲットカスタマーはヴィーガンではなくて俺たちのような肉食民。毎日が肉、肉も一種の野菜であるからして…と言い訳をしつつ、肉ばかりを選んで食べる。牛肉、鶏肉、フォアグラ、牛乳…難易度はそれぞれあって、比較的難しい牛肉でも挽肉までならなんとかできてるみたい。コストの問題はあるが、いずれ解決するだろう。解決できないわけがない! だって高効率だから無限に肉が食べられるんだよ!!

クリーンミートにはライバルがあって、それは植物由来の肉もどき。肉を食いたいヴィーガンが肉っぽく野菜を加工したのをいじましく食ってるやつね。割といい出来のものもあるらしいよ。一方でクリーンミートは本物の肉。だって肉の細胞を培養したんだから、生物を殺して得たものでなくても、本物には違いない。培養ではなくて酵母で作っていく方式もあるらしい。

ここに未来がある。待ち遠しい。クリーンミートは救世主だ。地球に自然が帰ってくる。人口増にも対応できる。オレには見えた。培養肉業(クリーンミーター)が今世紀の覇者となるだろう。まあ、これミドリムシの人の本を読んだときにも同じことを思ったわけだが。