Skip to main content

山椒の実

Category: War

ガマ 遺品たちが物語る沖縄戦 (豊田正義)

沖縄戦の話。遺骨がまだたくさん放置されている。ガマというのは洞窟のことで、特に凄惨を極めた南部に多くあり、避難民も兵士もそこに逃れ、死んでいった。その遺骨と遺品を収拾して遺族に返すという活動を続けていると。

そこで知られた記録をもとにつづられた物語。それがこの本。まあ沖縄戦はめちゃくちゃやったからね。ひどいもので。私は一度だけ沖縄行きましたが、その時、ちょっとした時間だけでも本当にヤバさは伝わってきたからね。

国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 (伊藤祐靖)

能登半島沖の不審船事件で煮湯を飲んだ自衛官が、その経験を元にいわゆる特殊部隊の創設に関わり、退職後も技能を磨く人生を送る。その一端に触れることができる本。国とは。そのアイデンティティは。

火力のあるデカい本隊だけでは対応できないような、戦争未満の事態が念頭にあり、そのための技能を考えるとそれは特殊部隊、という単純な話ではある。だけどその特殊部隊も人間と道具で構成されているわけで、ではどんな技能を持つ人間達にどんな道具達を組み合わせればいいのかって話になる。特殊部隊は持てる火力も低く安全性が低い場所に行くから…

ウクライナのサイバー戦争 (松原実穂子)

ロシアのウクライナ侵攻に伴って行われたサイバー攻撃。クリミア侵攻の時ほどの被害を受けなかったが、その理由を分析し、到来が予測される台湾有事に備えて日本がどのように準備をすべきか。そういう本。

自分も少しだけ関わりのある仕事をしているわけなので、いろいろ考えさせられたよ。すぐそこに準備されている、現実的な脅威。サイバー方面でも、中国はロシアよりもだいぶ手強いんじゃないかと思いますね。いやだなー。

民間人のための戦場行動マニュアル もしも戦争に巻き込まれたらこうやって生きのびる (S&T OUTCOMES, 川口拓)

危機的状況を生き延びるための知識を集めた本。著者は自衛隊の教官?

興味深い知識はあるし、自衛隊がどんなことを想定して守備しようとしているのか、窺い知ることができる。まあ実際は想定通りには来ないんだろうけど、前触れがあるだろう、という想定はどうか。ウクライナでのそれのような大規模な侵攻を考えれば、前もって危機の情報を得られるのは事実だろう。

それで、その情報を見てから準備していたんじゃ間に合わないことは想像できるよ。そこでこういう本なんだな。

ボマーマフィアと東京大空襲 (マルコム・グラッドウェル)

東京大空襲 戦災資料センターね。行きたいと思ったけど、交通の便が悪いんだな。さほど気軽には行けなさそうだが、いずれ行ってみよう。

この本は太平洋戦争末期に日本各地の都市に焼夷弾を落として市街地を焼き尽くすという稀に見る非道な作戦についての物語。理想を追った/現実の問題を解決した、それぞれの指揮官2人を軸にしている。ナパームの開発の話も入っている。それはそれはひどい話。

まーこのひどすぎるやつに勲章送った日本政府もたいがいだが。

私は英雄じゃない ジェシカのイラク戦争 (リック・ブラッグ)

イラク戦争で捕虜になり救出されたジェシカ・リンチの話。いろんな思惑もあって虚実がないまぜになっていた。そこで、このような本を出して事実を整理する。

実際に捕虜になった経緯があり、謎があって、事実がある。正直あんまり深い話ではない。ただデタラメは正さないといけない、という思いがあるんだろうなー。連絡ミスによって、補給部隊が敵の拠点に突入してしまう。部隊の悲劇が始まる。一部は戦死、一部は退却成功、一部は捕虜になる。ジェシカ・リンチは重傷を負って捕虜に。医師は捕虜をどうにか生かして、返そうとする。米軍はその救急車に発砲して追い払う…その後、救出作戦が実行される。

キリングフィールド 極限戦線

2008年の南オセチア紛争を描いた映画。なかなかすごい話ではある。

Wikipediaを見ても事情がよく分からんのだけど、割と入り組んだ関係だということだけは分かった。死んだ兵士の携帯に残っていたという映像も使ってたりして、ある程度政治的な意図を持った映像作品、ということなんだろうけど。

それにしても主人公の一人である、あの太った村人はなんで死んだんだろう…

トロイ

神話と歴史をベースにした映画。なかなかいい映像で、楽しめた。トロイの木馬、アキレスと亀…ワクワクさせるキーワード群。

観た後でWikipediaの項目を見たら、この映画は史実や神話と違うという点で批判を受けたらしいw アホか。神の怒りやカカト弱点即死なんてあってたまるかよ。カートゥーンじゃねーんだ。

とりあえずヘクトルだけはただ一人、常識人だった。

5つの戦争から読みとく日本近現代史 (山崎雅弘)

日本の明治以降の戦争の背景について解説した本。日本側の視点と、世界からの視点を比べた総合的な解説で、学生時代の教育の過程で蔑ろにされてきた近代史について教養を貯めるにはちょうどいい感じがするな。この種の本の1冊目に読む本としては悪くない選択になるだろう。

衝撃的な内容があるわけでもなく淡々とした解説が続くので、眠くなるかもね。自分は正直、中盤は眠くなった。しかしまあ、日本ってのはこの頃はまったく戦闘民族だったんだな。チャンスさえあれば誰にでも噛み付くっていうね。

ハイパーハードボイルドグルメリポート (上出遼平)

新年1発目の読書体験は、超話題TV番組の書籍化。白状すると私は番組の動画は見てないんですが、書籍自体も話題になっていたので、読んでみたというわけだ。

どう表現したらいいのか、すごい話が続いた。読んでいてなんともやるせない気持ちになったし、最初のリベリアの章を途中まで読んで受けた衝撃で、その晩に眠っていたらいつの間にか自分が涙を流していたことに気づく…なんていう虚構の中でしかあり得ないような体験を実際にしてしまった。読み終えた今も、衝撃は続いている。この衝撃でも崩れないほどハードなゆで卵はちょっと想像がつかないな。