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山椒の実

Category: Politics

日本型「談合」の研究 和をもって貴しとなす、入札不正の裏側 (梶原一義)

談合、多すぎですよね。単純に事例が多い。網羅的に調べ上げたんだろうけど、かなりの分野で談合まみれ。こんなに賄賂もらえるんなら、オレも役人になればよかったな。そんなことを思う。ああ、オレの、オレによる、オレのための税金が奪われてゆく。もう我慢できない?

だけど、役人の取り分はなんか少ないよね。もっと貰ってもいいんじゃないかなあ。リスクとリターンが見合ってない。こいつら、もしかして、算数苦手なタイプか??

官製談合が多いみたいですね。予定額を漏らすケースが多いけど、これ額を漏らすときに最初から7掛けで漏らせばバレずにコスト削減できるんでは、と思ってしまうのは浅はかなのか。

新しい国へ 美しい国へ 完全版 (安倍晋三)

2度目の首相登板となるに当たって、前回の本に少し書き加えて完全版と称した本。政治家としての考え方を説明して、自分が総理大臣にふさわしいことを示すための。理路整然としているようでいて、感情的でもある。そこが魅力か。実際は前回の本そのままで、最後に短い1章(書き下ろしではなく雑誌に出た演説原稿みたいなやつを収録)が追加された小規模なアプデだった。

第一印象としては、句読点の使い方が気になって集中して読めないよ、というもの。老人によくある。ただ読んでいくと気にならなくなる。不思議なもので。少ない言葉でテンポが良いためかもしれない。全体的には、難しさがなくシンプルなのが受け入れられやすかったのかなと思った。都合の悪い結果は全部野党とマスコミのせい、という構図も分かりやすさがある。過去の政府の批判もあるけど、自民党の批判という形にはしない。…そういう本だから、そこはしょうがないか。

沖縄県知事 その人生と思想 (野添文彬)

日本復帰からの歴代の沖縄県知事の列伝。なかなか読み応えもあって面白かった。

とりあえず選挙は欺瞞だね。当選するためには基地反対しなければならないし、自民党の候補ですら基地反対で当選するわけだけど、実際には何をしても国は聞く耳を持たないし、当選後は言うことを変えないと党内で生き残れない。

それで、沖縄県知事ってのは基地問題ばっかだな。そこに沖縄の難しさがある。実際のところ、差別ではある。面倒を押し付けて、寄りかかっている。私は沖縄は前職の勤続10年のお祝い休暇の時に一度行ったことがあるきりだけど、確かに基地は不自然にデカくて、現地の発展を阻害していることを容易に察することができた。

時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた (和田靜香)

ライター稼業、バイトとの兼業で生活してきた女性がコロナ禍に苦しんで政治を思う。その思いに国会議員で話のわかる奴が応じて継続的な問答を繰り返す。その学びの過程をそのまま文章にすることで読者に伝えていく。

議員はいいヤツに描かれすぎている感じはするけど、実際悪い奴じゃないんだろうと思うよ。映画やこないだの選挙でも話題になっていた、小川さん。同じ選挙区を争うのがメチャ強力な悪人(?)だからなー。

納得させられる議論も多かったな。人口減少の捉え方とか、デフレと消費税の捉え方とか、電力の問題の捉え方とか、沖縄の基地問題とか。問題の捉え方によって論理的に対応が決まるという面が大きいので、その構図の理解の仕方で納得できるかどうかというのは非常に大きなポイント。理解を間違えなければその後は、なんとかなるんじゃないかと思う。

黙殺 報じられない"無頼系独立候補"たちの戦い (畠山理仁)

いわゆる「泡沫候補」的な人たちを丹念に取材した本。なかなか考えさせられる。奇抜なことをして人目を引こうとしている人もいるけど、それには理由があって…そして実際に政策自体はかなり真面目に考えている。資金力や知名度がないとどうにもならない世界で、どう戦うか。そしてなぜ戦うのか。

すごくいい本だった。私はこれまでの選挙ではそういう候補に投票したことがないんだけど、今度からはそういう候補に投票するという選択も考えてみようと思う。理想の政治制度とはどうあるべきなのか。

告白 あるPKO隊員の死 23年目の真実 (旗手啓介)

カンボジアPKOで派遣された文民警察官がポル・ポト派の襲撃により1人死亡した事件。長らく闇に葬られたかのごとく総括もされずにいたが、NHKスペシャルが丹念な取材を元に振り返る。

実に、すごい話だった。生々しい。当時は自衛隊の派遣で揉めていたわけだが、その政治的な思惑のせいで非現実的なルールの下で装備万全(…だったのかは不明)の軍人は最も安全な場所に固まって働き、丸腰の文民が少人数に分散され、乏しい物資と共に最も危険な場所で働く。そして宿舎の爆破を含む幾度にも渡る攻撃を受けつつ任務をこなし、、、そして起こった悲劇。襲撃の様子も現実的に迫力があって、当時のポル・ポト派幹部とのやり取りもすごい。

吠えない犬 (マーティン・ファクラー)

日本にジャーナリズムがどのように政治に打ち負けるようになったのかを記した本。著者はニューヨークタイムズの記者の人。ジャーナリズムを殺しにかかったというのは安倍政権の一番暗黒な面では。トランプの戦略もメチャクチャではありつつ狡猾だったようで、まあ対比させて論じられてしまうのは妥当なのかもしれない。

それでだ。ジャーナリスト世界がこんなに脆弱なものだったとは。まあ思ってはいたけど、こうやって突きつけられるとやはり改めて感じるよね。自分の感覚ではネット世界の言論の歪みに関しては電通の仕事が大きいんじゃないかなと。ジャーナリズム世界ではどうなんだろう。確かに誤報があったりはするけど、偉い人の失言なんかとの頻度の違いで言えば、新聞の方がまだヒット率は高いでしょうよ、と思っているけれども。

無戸籍の日本人 (井戸 まさえ)

いろいろな理由で戸籍に登録されずに過ごすことになった人々が、どうにかして戸籍に登録したりする話。著者は元衆院議員で、自身の経験からずっと戸籍を得たい無戸籍の人の手続きを助けてきたらしい。戸籍がないと住民票やパスポートの発行も難しく銀行口座も開きにくく(不可能ではないみたい)、教育や就職にも不都合があるケースが多いらしい。義務教育すら受けられていないケースも多いとか。

まあ親にどんな事情があるとしても、無戸籍となった子供に責任があるはずもなく、責任のない人物が不利な扱いを受けるというのは正義に反する。そして親の事情というのもいろいろで、出生届を出せなかった親に責任を負わせるべきとは思えないケースも多い。