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山椒の実

Category: Terror

乱れる海よ (小手鞠るい)

渡良瀬千尋という、(実在の人物をモデルにした)人物を追いかけるルポライターの物語。テルアビブで空港乱射の人。この作家は実際に(実在の人の方と)同じ学校の後輩だったらしく。その関係もあり、かなりの情緒を持って書いていて、しっかりねっとり、読ませてくれた。期待通りで、後味もある。

まあちょっとこの実行犯リーダーに共感できるかは怪しいところだ。ではどうすれば全体の幸福が減らずに済むのか、と言われると答えを持たないのだが。こういう問題、AIが解決してくんねーかなー。だって歴史の中で、人類のみでは解決は無理だったことが証明されており…

普通の若者がなぜテロリストになったのか (カーラ・パワー)

なかなか、示唆に富んだ本だった。主観強めだが、読み取れることは多い。急進化って言うんですね。分断が悪い。奴らと俺たち。いろいろなものを分ければ分けるほど、危険が増える。悪者の多くは生粋の悪者ではないというわけか。あのジハーディ・ジョンもそうだったのだろう。

教育と希望が大事なんだろうな。若者が、自分の人生のロールモデルをどこに置くか。みたいな。

朝日平吾の鬱屈 (中島岳志)

大正時代の代表的なテロリスト、朝日平吾の評伝。とりあえずKとかいう文筆家は誰だか知らんが、死ぬべきである。…というような過激なことを言って本気でやったのが朝日平吾的存在ってことになるのだろうか。

財閥のトップをやってその場で自殺。激しい性格で方々で問題を起こしていた。ソリが合う人がいなかったんだろうね。ただ唯一の友人はいたみたいだし、現代でフォーカスされているような、完全にボッチの孤立でもなかったみたいな感じだよな。行動力はオバケ並み? 同棲したり、遊女と遊び回ったり。激しい弁舌で渋沢栄一に金を出させたり。文章もかなり上手かったようだ。

ジハーディ・ジョンの生涯 (ロバート バーカイク)

ISの、あの覆面の処刑人、モハメド・エムワジについて記した本。イギリス人ジャーナリストが、エムワジがシリアに渡る以前にインタビューしていたことが分かったので、取材をして本にした。

インタビュー時点のエムワジはイギリスの諜報機関から嫌がらせを受けていて、結婚や就職も邪魔されていた。それで絶望したことも、彼がシリアに渡って処刑人になった一因ではないかという印象を持たせる。実際に多くのムスリムが脅され、スパイとして勧誘されていた/いるようだ。