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山椒の実

Category: Books

ウサギの天使が呼んでいる ほしがり探偵ユリオ (青柳碧人)

ガラクタ商の探偵が妹を駆使して事件を解決するシリーズ。短編がいくつか。

中では、表題作が一番良かったかな。2つの事件を一気に解決した。編集者もなかなかいいキャラだったのでレギュラーメンバー化と思いきや、そうでもなかった。

他だと、顔ハメ派大王の話も印象には残ったかな。まあ息子さん登場時の感じが違和感バリバリだったけど、これも2つの事件(?)を一応同時に解決していた。

ラジオと戦争 放送人たちの「報国」 (大森淳郎, NHK放送文化研究所)

戦時中のラジオ放送を振り返り、報道人としてのありかたを考える。NHK(の前身)自体が実質国営(?)放送だから、政府広報みたいな役割があったんじゃないのかと思うし、そうなれば政府の考えを広めるための尖兵となり戦争遂行のため国民を滅私奉公に向かわせるという方向に行くのは仕方ない…という考えがある。しかし著者は思うのだ。果たして本当にそうなのかと。

制度面(東京と大阪の統合)や上層部の人事面(役人の天下り)は置いとくとしても、現場はどうだったのよ。

プロジェクト・ヘイル・メアリー (アンディ・ウィアー)

火星の人の著者が送る、名作の呼び声高いハードSF。素晴らしかった。ヤード・ポンド法は死すべし!! 最近映画化もされたらしい。

序盤はどうなることかと思ったけどな。開幕退場の2人はちょっとかわいそうではあった。その後も適度なタイミングで衝撃の展開が続く。現在の奮闘シーンと回想シーンが交互に続いて、フィナーレへ。どうしてもソルの末路が気になるけど、良かった…のかどうかは分からないんだなあ。

危険すぎる船外活動があったけど、ロボットにやらせるべきだね完全に。ロッキーが持ってんじゃん、船外用ロボ。あれじゃできないのかな。船外活動が必要になるって分かった時点では接続されていたわけだし、レール移設したりすれば連れてけたと思うんだよな。そもそも人間が出て活動する話になったとき、ロッキーもドン引きしてたじゃん。

ルパンの娘 (横関大)

泥棒一家と警察一家が繰り広げるドタバタ劇。ちょっと花嫁が可哀想だったな。何の罪もないのに。そもそもが罪とはなんぞ。お前の言う罪とは。そういう話でもあるわけで。老人の身勝手が招いた悲劇を罪と罰の中にいるあなたは救えるのか。

泥棒サイドはナチュラルにモノを盗みすぎですね。用意もなくやるもんじゃない。安全のためもあるし、でかいヤマ以外はあんまり盗まない方がいいでしょうね。それはいいとして、警察サイドも何かとあれで。問題を抱えて隠している。最後は都合よく終わったけど、それでいいのか? という疑問も。辻褄合ってたかな。なんかおかしくないか、騙されてないか。そんな気もした。

殺戮にいたる病 (我孫子武丸)

あ、そっちなのね…

名作と言われるだけのことはある。開幕からここまで引っ張って、このオレにそっちなのねと言わせるわけだから。

猟奇連続殺人の犯人とそれを追う元刑事と遺族、という構図で、開幕エピローグだから結末は分かってる、分かりきってる作りなんだけどねー。

犯行自体は胸クソ悪いというか気持ち悪いし犠牲者がここまでされるいわれはないよなという感じだった。…感じだったが、最後に全部持って行かれた。

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (井上真偽)

続編。周辺人物は前作から引き続きだけど、なかなか主人公が出てこないから、まさかこのタイトルでスピンオフ? と不安を感じながらの進行。前作で肥満を気にしていた重要人物がスーパーモデル的扱いを受けている主観視点? これは叙述トリックなのかという疑惑を持ちつつ、このシリーズ特有のサラッとした暴力が生まれるか生まれないかのせめぎ合いがある。真相はどこに。

なかなか面白かったな。しかし犯人グループらしき相手を一網打尽に捕まえて海洋裁判に打って出るなんて、中国マフィアもすごい機動力だ。機動力と言えば、ハイスピードのモビリティを見せた登場人物も多かったな。全体的にスピード感がある作品だった。

さよならのためだけに (我孫子武丸)

ディストピアの…なんだ、離婚活劇? 恋愛活劇か。スパイ小説でもある?

結婚よりも離婚が難しいのは現代日本でも同じ話ではある。総数で見て、離婚のほうが少ないよね? 確かめていないけど、きっとそうだと思う。理論上もそうだし。

付き合ってくれた同僚も責任以上の仕事を果たしたし、CEOも二代目もよくやった。こんな世界で全員良くやって活躍することが、あるんだなあ。

その可能性はすでに考えた (井上真偽)

新興宗教の大量自殺? の生き残りが真実を探りたくて探偵に依頼。奇蹟か、犯罪か、不慮の事故か、やはり奇蹟でしかないのか。

奇蹟を否定する側と、奇蹟以外の可能性をすべて否定する側。実在が難しそうなビジュアルの探偵、変な口調の謎の中国人犯罪女性、文学作品をふんだんに引用しながら推理し、あらゆる可能性を検討する。良いね。続編もあるらしい。

まあ、アレだね。提出された報告書は読もう。シンプルな話よ。口頭説明もまあまあ受けてるよね。依頼人が横着せずに読めばそれで終わっていた話なんだよね。だって全部書いてある。

小麦の法廷 (木内一裕)

まさか人名とは。ニンジャスレイヤーのムギコみたいな? 小娘の新米弁護士がクソ事件を引かされながら信念をやり遂げる。

建前と本音が渦巻く。ほとんど全員、意思統一されている。なのになぜか進めるのが難しい。それをどうやって解決するか。腕の見せ所だ。

レスリング要素があんまり出てこなかったのは残念だが、登場人物は全員活躍したし、なかなか良い作品だったと思う。アイデアも良いし、サイドストーリーもちゃんと本編に絡んだ。

ランチ探偵 (水生大海)

ランチ合コンにいそしむOLコンビが会話から事件の真相を見い出す。割と楽しめた。

事件っつっても初対面の相手とのランチ中の話題だけだから、殺人が起きるわけでもないんだけど、些細な言葉と手掛かりから謎が解けていく。比較的面白く読んだ。こういうのもアリなんだねえ。

なんか小さい街っぽい雰囲気で、自分は以前に住んでいた武蔵中原か平間あたりをイメージして読んでいたけど、この本の舞台はオシャレな店がもうちょっと多くある感じだった。東横線で言えば都内のあのあたりで考えればいいのかな、なんていう。