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山椒の実

Category: Books

悪母 (春口裕子)

ママ友世界の狂気的な人間関係。やばいね。やばすぎる。実際そういう面があるからね。親同士の関係、子供同士の関係、親と子供、親とヨソの子供という関係性が絡むからな。子供に危害が加えられそうとなった時に、反応するような本能があるから。こーゆうのがあるから男親は参加しづらいんだよね。やめてほしい。

そしてこのストーリーはなんのつもりかな? 気が滅入るなんていうレベルではない。やる気も希望も滅殺滅殺滅殺だ。微粒子レベルまでだよ? どうなのか。このオレですら疑問を呈する。ひどい。

永遠についての証明 (岩井圭也)

数学者という、我々(誰?)にとっては宇宙人とも言える人々に関する物語。まあそういう意味ではSFのファーストコンタクトもの?

非常に良かった。数学者としての人生。仲間の人生。変えていく。変わっていく。物語の波がある。主人公の絶頂と転落、死と再生。数学が繋いだ縁が生きている。モデルはあの人ですかねえ…数学界のことはよく知らないけども。

生活能力ないやつを野放しにしちゃダメだよなあ、と思いつつも、本書の奴のような天才ならいいけど、普通のやつにまでお世話係を置くのもどうかと思うしなあ。昔からある話。「死後評価される」という点も、昔からある話ではあるから、最初から最後まで昔からある話ではあるのか。気づいているけど、助からない。気づいてあげているけど、助けられない。

マイ・ハウス (小倉銀時)

ほとばしる狂気と狂気の激突だ。スゴいぞ!

戸建てを買って一発逆転。よく分かるよ。わかりすぎて困るほどに。理解力のない病的な先住民ありの競売物件に家族の有り金丸ごとブッパした狂戦士のような母親。そしてこの母親がマトモに見えるほどの家族、そしてさらに上を行く先住民。

時折関わる常識人や非常識人もいい味を出している。

いつかの人質 (芦沢央)

ノエルと礼遠の話は印象的で良かった。ここまで印象的に仕上げるなら時間操作とか言ってたのがあからさまに伏線だろ、と思っていたら。なるほどそうなるか。

しかしこの被害も理不尽だなあ。加害者っつっても最初の描写としてはかなり不可抗力が大きい。小学生にはどうしようもない事態だし、大人が悪いと言えば悪いわけだけど、そこまでじゃないよなあ。事故に近い。悪意がなく、だけど被害は大きい。だから被害者の家族の怒りは、筋違いではないか。

一億円のさようなら (白石一文)

カネを持ってて使わない。まさかの死蔵。なんという害悪プレイだろう。金利もつけない。何のために? あなたの手元にそんなカネが大量にあったとしたら? そんな小説。開幕一億円からスタート。全貌はさらに大きな額だが、何が変わる。

一億円とは無関係なところから次々に明らかになっていく秘密。どう対処するか、そこに一億円の影響は。金とは無関係な魅力の宝庫の中で彼は何を選ぶのか。

飲み屋で飲んで地元のうまいものを食べる。それが最上の幸せだったのか。まあ美化しすぎというか、キャラクターを理想像に近づけすぎな感じもしたのは気になった。

自分の中に孤独を抱け (岡本太郎)

我々が岡本太郎を失ってもはや30年が経つらしい。恐ろしいことである。に続いて孤独と。ダジャレじゃないか。しかしホンモノの言葉を読みたくなって、この本を手に取った。

猿の話が良かった。地上に降りて二足歩行をしたというよりも、樹に登れなかった不器用な奴が人類の祖先なんだという説ね。

あとは鑑賞の仕方とか。読書もオレのようにのんびり読んでここに駄文を書くスタイルじゃなくて。うーん、そんなことできるかな。

いつ読んでもパワーがあるよね岡本太郎の文章は。とてもじゃないが真似できない。

最悪 (奥田英朗)

ドタバタ犯罪小説。どうやったらこいつらが関わるんだ、と思っていたら、すごいことに…

なんだかんだでハードボイルドなふうでもあり、心理の移り変わりが妙にリアルでもあり。現場は川崎市南部ということだが、立地は少し無理があるし架空の区だけど、現実感はなぜかあった。

全体的には面白かった。結末もいい。全メンバーが役割以上に活躍した。神奈川県警も優秀で強い。MoMを選ぶのに苦労しそうだ。やっぱ男気を見せてヤクザを倒したメイン主人公か、キャパシティを何度も超える活躍の果てに成長を見せた町工場のオッサンか、あるいは舌先三寸でメイン主人公を何度もどん底に叩き落とす関西弁のチンピラか。

お局美智 (明日乃)

ひでー会社の盗聴日記みたいな短編小説。偉い人の下半身がひどすぎる。何なんだ。仕事しろよ。建設会社じゃなくてアダルトグッズ会社の設定にした方が良かったんじゃないの。

そんな感じ。何の共感もない。どの登場人物を取っても共感できる要素がどこにも見当たらないんだ…こんな小説アリなの果たして? と思った。会社も酷いし登場人物も全員酷い。誰も活躍してほしくない。オレに関わらないでほしい。とすら思った。読むんじゃなかった。

ウサギの天使が呼んでいる ほしがり探偵ユリオ (青柳碧人)

ガラクタ商の探偵が妹を駆使して事件を解決するシリーズ。短編がいくつか。

中では、表題作が一番良かったかな。2つの事件を一気に解決した。編集者もなかなかいいキャラだったのでレギュラーメンバー化と思いきや、そうでもなかった。

他だと、顔ハメ派大王の話も印象には残ったかな。まあ息子さん登場時の感じが違和感バリバリだったけど、これも2つの事件(?)を一応同時に解決していた。

ラジオと戦争 放送人たちの「報国」 (大森淳郎, NHK放送文化研究所)

戦時中のラジオ放送を振り返り、報道人としてのありかたを考える。NHK(の前身)自体が実質国営(?)放送だから、政府広報みたいな役割があったんじゃないのかと思うし、そうなれば政府の考えを広めるための尖兵となり戦争遂行のため国民を滅私奉公に向かわせるという方向に行くのは仕方ない…という考えがある。しかし著者は思うのだ。果たして本当にそうなのかと。

制度面(東京と大阪の統合)や上層部の人事面(役人の天下り)は置いとくとしても、現場はどうだったのよ。