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山椒の実

Category: Mystery

謎解きはディナーのあとで (東川篤哉)

パターンだよな。多摩地区の自己中のお嬢と影の名探偵男子という。嫌いではないのだが。主人公と同思考回路を持つ上司のジャガー警部がいい味を出していた。お嬢ってのはただ生まれただけで地位についていて、何の功績も上げていない、実力が問われないポジションだからな。実際に会ったらそーとームカつくかもしれないね。それがいいヤツだったらまだしも。人生舐めてんじゃねーぞ。

このシリーズは人気が出たやつかな。解決編が裏番組になるという特徴がある。ちょっと強引じゃないの、こんなんで合ってんのかどうか…と思える解決もあるけど、まあ合ってたんだろうな。

55 (ジェイムズ・デラーギー)

全員シリアルキラー、だけど被害者、しかも探偵、みたいな話かな。探偵ではないか。

終わってみればすごい話だった。過去と現在。そう繋がるのか。圧巻の因果だ。西オーストラリアの過酷で残酷な自然。その光景は暗い。暗すぎる。あんまりだ。

悪が多すぎる。何も救われなかった。残念だよ。本当に。ミッチに致命的なミスばかりさせるのは作者の悪意も感じる。親友だろおがよおお!

特殊清掃人 (中山七里)

このタイトルは完全にゲテモノ推理小説でしよ。著者もそういう方面だし。なぜ読もうとしたのか。まあ、嫌いじゃないだろうなと、そういう感じで。

果たして凄惨な現場が続く。大変だなどころの話ではない。床の補修はそんなに簡単なんだろうか。例えば高級な床材あるじゃないですか。ああいうのは別料金なのかな。

基本的には、答えのない問いにどうにか答えを出して自分を納得させるみたいな話だったかな。たいていは、孤独死した人間が生前考えていたことなんて想像するしかなくて、想像だけで終わる。

朝比奈さんと秘密の相棒 (東川篤哉)

恋ヶ窪の高校を舞台にしたミステリ。トリック重視でテンポが早い。この人あれだよね、南武線ミステリの作者か。どおりでこの作風。

人格入れ替わりをお約束にしつつ、さまざまなトリックを見せてくれた。序盤はワリと深刻な結果になっていたが、たんだん高校生らしく穏やかになっていった。最後だったか、茶室のやつは無理がありすぎるんでは、と思った。まープールのやつもたいがい…むしろ全部か。

しかし記憶を引き継ぐというだけじゃ説明できてないよね。表人格で観察できてないと思われる情報も裏人格が持っている場面があった。まあそこまでの設定は考えなくていいのかもしれないが。

全員犯人、だけど被害者、しかも探偵 (下村敦史)

なんというバカげたタイトルだろう。果たして中身はどうか。

部屋数が限られた密室に監禁された状態からの、この疾走感。いいねえ。途中からはダレた気がする。自殺の原因まではいろんな要因が出てきて次々に「なるほど」と思ったけど、殺人の実行犯となると死亡状況によって手段が限られてきて、その中での争いになるのでバリエーションが乏しくなってしまう。

タイトルはしっかり満たしていた。死者も多い。できるだけ多くの登場人物に3役ずつ割り当てていく。思っていたより多かった。クライマックス後の強制余韻のようなラストは蛇足とも思えたが、人数稼ぎのためなのかねえ。しかしこれさ、実際生き残ったのが兄か弟か分からないよね。

スワン (呉勝浩)

ショッピングモール大量殺人事件の、その後を描く。大量の死者と怪我人、犯人は全員死亡…そして集められた証言者。これ以上何を解明するというのか。もう「犯人が悪い」で、いいじゃないか。それ以上に悪い人なんているかよ。誰しもがそう思うところ。

果たして、読み進むほどに不穏とリアルが増していき、嘘は暴かれ、謎は解けてゆく。かなり傑作よりの良作だった。全ての人物に多面性が織りなしているし、イーストウッドでも出てきそうな…いやー、何書いても無粋なネタバレにしかならないような気もするが、とにかく読んで良かった。

おなじ墓のムジナ 枕倉北商店街殺人事件 (霞流一)

衝撃的なオープニング。鼻に正露丸で開幕とは。東京と言えばタヌキですからな。ガスサポもそう言ってる。

繰り広げられるタヌキ・クリプティック…ニンジャの世界…末広がり…徳川幕府を倒したのは果たして…謎が謎を呼び、推理が推理を推理する。商店街を股にかけた連続殺人事件の解決は意外なところからやってくるのだ。

最初は地域の広さに対して登場人物が多すぎだろうと心配になったが、最終的にはたいへん面白かった。唐突とも思える謎解きも良い。そっちからか。怪しさはあるけど、こいつに解かれるなら謎も本望と言えるかもしれない。

棘の街 (堂場瞬一)

と街だったら街の方が規模が大きいだろうと。つまりトゲゾー甲羅だ。

家からは打って変わってハードボイルド刑事ドラマだ。誘拐事件でヘマをした刑事が、故郷の寂れた地方都市に帰ってきて捜査を続ける。地元のヤクザが暴力を振り回し、薬の売人軍団が野放図に暴れる。

救いのないクライマックス。極限まで傷つきながらもそれを受け止めてなお動じない主人公。そこまでハードボイルドしなくても…やりすぎでは? と思ってしまった。

あとは主人公を含めた主要登場人物、ほとんど全員が身勝手で、誰にも共感できない。マトモなのはひったくりのオッサンとかくらいじゃねーの? まあ他にも周辺の人物にはマトモなやつもいたか。だけど大してフィーチャーされてないから共感というレベルまで来ないんだよな。

棘の家 (中山七里)

教師の子の学校での転落。いじめを苦にした自殺未遂という構図なのだが、学校、警察、下衆なマスコミや鬼女(特定班)を巻き込んで家族を翻弄する。

不穏さを小出しにしながらの進行で、なかなかな展開だったな。最後はうまくまとめた。なんだかんだで、それぞれ立派に行動したな。元通りにはならないけど、事件が解決して良かった。

相手の家族を思う。何がそうさせたのか。悲劇しか持たない家。まあノンフィクションではなく、小説なんだけど。

ミステリークロック (貴志祐介)

密室殺人のミステリ。表題作はとにかくややこしすぎる。説明編が理解できんのじゃ。つまり時計がトッケイ! てことか。コケコッコー?!

ぬで始まる動詞、という話は本筋とは関係ない、ということは話を読み進んでポンコツっぷりと探偵との関係性から判明する。とにかく気球のピーターパンのトリックには度肝を抜かれた。その手があったか! と。シリーズものなんですね。他のやつも読もうかな。

ヤクザの自殺のやつは緊迫感もあってかなり良かった。命がいくつあっても足りねーな。