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山椒の実

Category: Mystery

探偵が早すぎる (井上真偽)

5兆円の資産を持つ女子高生を親族の暗殺者から守る探偵が、超高速でトリックを見破り発動前に犯人にそのままお返しする。次々に計画される殺人トリック。こんだけ狙われたら、普通は死ぬ。

序盤から飛ばしまくっていた。非道すぎる計画も。最後のトリック? は壮大だった。そんなのアリ? ナシでしょ。あんた被害の範囲とか考えないんスカ?

一つの家族であんだけ異常者が出るというのもなかなかハードなことで。

最後の設定は必要だったのかどうか。蛇足感があった。普通に終わればいいのに。まあ、それを言うなら最初からの設定自体がちょっと非現実的ではあったが。

コンビニなしでは生きられない (秋保水菓)

コンビニ人間の続編、というわけではないが、コンビニ文学の一角を占めるポテンシャルがあるのではないか。そう思って読み始めたライトな推理小説。

大学中退フリーターと新人女子高生のコンビが、コンビニで起きる数々の事件を華麗な推理で解決していくのだが、そこにある裏の意図が…

なんだかなあ。主要キャラクターがどうもなあ。冴えないフリーター男性にグイグイ来る言葉遣いの変な女子高生書きたかっただけなんじゃないの。あざとく狙いすぎて逸れたみたいな感じだった。イライラしますよね。

サブキャラはまだマシだけど、全体的には主人公に優しい美女が善キャラでそれ以外がワルあるいは影が薄く、イケメンは死ぬ…ああそういう話なのね、と。そう思うとどこまでもアホらしい。

カエルの小指 a murder of crows (道尾秀介)

まさかの続編。前編から10年後? くらいあとの話で、前作で亡くなった男は墓の下にいた。代わりに出てきたこやつは何者か…なるほど。

今作もなかなかよろしいハードボイルド詐欺師小説だった。叙述トリックは相変わらず、キャラクターも相変わらず各自ベストを尽くし、それぞれ活躍した。まさか、あいつまで出てくるとはね。みんな幸せになれよー。前作で活躍したデブも頑張った。

いい本読んだなー。

ただ、情報がダダ漏れってのはいただけないな。この点も、前作に引き続き。隠そうとして、そのせいで漏れる。

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (道尾秀介)

ハードボイルド詐欺小説。不幸の連鎖の行き先は。スリルとサスペンス、アクション。そして観察と記憶からの謎解き。かなり良かった。

無口な主人公も含めて、ちょいちょい軽快な会話をさせて叙述トリックを入れてきたりするのもいいねえ。気が抜けない。

登場人物が魅力的だよねやっぱり。こいつはさすがに無駄じゃねえか、と思われたデブですら手先が器用で魅力がある。マジで全員活躍するからな。過不足がない。どんでん返しもちゃんとしてるし、人生は不幸を抜け出して幸せに向かう。向かせる。最高だ。

観覧車は謎を乗せて (朝永理人)

謎めいた観覧車の複数の謎が解かれる。止まるのね、観覧車って。そんなに頻繁に止まる? 止まるんだなこれが。

止まってる間の謎解きは非現実的ではある。満足に身動きが取れず、取得できる情報が限定されすぎている。それぞれの推理の末にたどり着いたものが真相なのか否か。

これ、読んでるとき最初は謎が一つだと思ったんだよね。それをみんなで解いた形になるのかなと。しかし連絡もできないよなー、どうするんだろうなーと。

そしたら他にも次々に謎が出てきて…えーとこいつはこの状況で、こいつはこの状況で…最後は分裂したていたそれらの謎が統合されて行くわけだけど、、、

幽霊たちの不在証明 (朝永理人)

開幕が酷すぎる。何なんだこの高校。かなりイライラするななんか! かなりな!! イライライライライライラ…エセ陰キャが、次々に女の子とばっかイチャつきやがって。とっとと爆発しろ! 今すぐ!!

マジで読むのやめようかと思ったよ。あまりにも、あまりだ。

まあ事件が起きてからはリアル陰キャが出てきてエセ野郎に突っ込みを入れてくれたから良しとしといてやるか。

しかし唐突とも思える解決編は圧巻だった。あれ、材料そろったのこれで?? からの。

殺人事件が起きたので謎解き配信してみました (越尾圭)

動画配信をする若者たち、そこにプレゼント企画による殺人事件が起きたら? 推理の配信が冴え渡る。

いやでも、自宅PC共有の警察官が家族に内緒で動画編集するのはかなり難しいと思うんですよね。とんでもない超人なのかな。AIエージェントにやらせているふうでもなく、人を雇ってもおらず、自分ひとりで。能力者だけに、推理も冴え渡るってわけだよ。

しかし主人公の推理自体は直感で当てすぎ? なんじゃないかな。根拠が薄いのに当たるという。絞り込めてないのにいきなり言ったことが偶然真相だった、て感じ。そこは推理小説としては弱いとこかな。

風神館の殺人 (石持浅海)

館モノの推理小説。非現実的な間取り図、一癖どころではない登場人物たちがクローズドサークルで…やめるんだ、復讐は何も生まない! いや、死を生む!!

嫌いじゃないんだなーこういうのも。一体何人死んだんだこの話。

やっぱ風力発電ですよね有望株は。エコで素晴らしい。

登場人物が多くて最初は戸惑ったが、人数も減るしキャラもしっかり特徴があるし、ちょうどいい人数だったと思います。誰が犯人か、最終盤まで目が離せずドキドキしました。

噓つきは殺人鬼の始まり SNS採用調査員の事件ファイル (佐藤青南)

SNS裏アカ調査連続殺人事件。企業から依頼を受けて学生の裏アカを探して報告するという不幸しか呼ばない業務をする主人公。そこに内定取り消しを受けた女子大生が怒鳴り込んできた挙句、探偵を始める。なんだこの導入は。

いろいろあって連続殺人が起き、探偵コンビが犯人に迫っていくわけだが。ラストはなかなか切ないな。

まさかあの人がスイッチヒッターだったとは。こういうのがあると利き腕を推理の根拠にすることはできなくなる。いやスイッチヒッターだからこそ犯人になれる可能性もあるな。

だるまさんが転んだら (堀内公太郎)

小説の盗作に関する話。若干バイオレンス寄り? まあ作家志望や編集者は書きやすいんだろうなあ。

構造としては、専業の人たちがやっている世界を副業の人が荒らしに来る、みたいな話。むかしDJかなんかの人が書いていた文章を思い出す。俳優だかアイドルだかがゲストでDJやってくのを苦々しく思っていたのに、今は自分が副業で文章を書いて文筆業の人の世界を荒らしてしまっているのだ、みたいな。こっち来んなよと。

この展開で殺人が起きると思わなかったな。ちょっと安心していたら、最後はちゃんとミステリになった。