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山椒の実

Category: History

寿司銀捕物帖 イカスミの噓 (風野真知雄)

寿司屋のオヤジが昔とった杵柄で十手を振り回して事件を解決してゆく。てやんでい、べらぼーめ。御用だっつってんだぜおめえ。

感想としては、寿司屋が殺されすぎだ。そんなに危険な職業か寿司屋って。あとトリックは何かと無理があるんじゃないだろうか。

引退撤回しての若手育成、かつてのバディの病苦、外食産業、因縁の敵。いい感じに要素を散りばめながら事件を鮮やかに解決していくのは爽快だった。ただ現役復帰した老人が活躍しすぎていて、若手をもっとちゃんと育成すべきだと思った。

飽くなき地景 (荻堂顕)

まさかの金城庵だ。あの懐かしの。思い出すなあ。好きな言葉は「ああ君たち、足くずしていいよ」です。

家伝の刀剣をめぐる冒険。象牙をめぐる名作SFを思い、あんな感じかなと考えたが、どうか。とりあえず刀身にカタナブレードツルギとは書かれていないことはすぐに確認できた。太田道灌の愛刀だ。戦後の、第一次東京オリンピック周辺の時代。東京を歩いた名家の数世代を描く物語。

裕福な生まれの主人公による短いストーリーが約10年ごとに語られていく。最初の渋谷討ち入り事件のぶっ飛び具合が良かったが、年齢を重ねて大人になっていく。死んだやつはいいやつ、というわけだな。

名将名城伝 (津本陽)

全国にあったいい城をネタに四方山話を語る。津本陽が、だ。まあこの人の名前がなければ読む気にはならない内容だよなあ。それでも読んでしまうのだが。キン肉星宮殿と瓜二つと言われた大阪城も大トリに入っていた。サラリーマン時代はあの辺が通勤路だったらしい。なるほど。

まあ、読む前から「そんな感じ」だろうと思っていた、読んだ後も「そんな感じ」だったな、という感想。こういうの好きな人もいるんじゃないか。まあでも、本願寺と大阪城の話とかは悪くなかったな。やはり思い入れがあると熱量も違う。名護屋城についてはあんまりイメージがついてなかったのだけど、本書の記述のおかげでだいぶ構図がハッキリしたので良かった。他にも琵琶湖周辺の佐和山城や坂本城のあたりについても同様。

城は踊る (岩井三四二)

戦国時代の小さな城攻めの話。散々命のやり取りをして、多大な犠牲を払う。その先にある徒労。とんでもねーな。危険に次ぐ危険を冒した挙句、誰一人得をしていないというね。

でも、ハラハラドキドキ楽しめた。まあ、怪我しすぎだなあ。実際は動けないよ、こんな怪我してたらさ。

ふうてん剣客 狂太郎きてれつ行状記 (菅野国春)

赤穂浪士の討ち入りをベースにした娯楽時代小説。重厚さには欠けるか。暇つぶしにはいい読書だったかもしれない。それ以上の感想は特にないような?

まあちょっと簡単に斬りすぎですけど、そこは時代劇だからなー。題材的に、登場人物のほとんどが死亡エンド確定ですからね。

あとは、同題材で用心棒日月抄(藤沢周平)ていう傑作があるのも辛いところ。どうしても比較の対象になってしまって、分が悪い。まあ読み始めたのも、あれと同じ時代だなと思ったためだから、違う題材なら読んでなかっただろうし、そこはどうとも言えないな。

インターネット文明 (村井純)

古代インターネット文明では、男も女も暇さえあれば早朝から深夜までレスバに明け暮れていた。この本は、そのような文明史について記述している。まったく最近の若いもんはネチケットも知らんでのおw

なんていうわけではなく、インターネットあれこれを書いている。昔話から最近の話まで。インターネットもできてからもう50年も経つんですね。そのうちウェブが30年。数字に衝撃を受ける。私がインターネットに初めて接触したのは…と語りたくなる数字だ。

古文書返却の旅 (網野善彦)

借りパク上等の古文書界隈? 壮大なアーカイブ計画が頓挫して大量に手元に残された古文書の返却をライフワークにして数十年。主要関係者の逝去も影響し…すぐ早く返せないものかねえ。管理がなってないんじゃないの? と言いたくなるが、果たしてどうか。

普通は激怒されて当然のこの状況。旧家の鷹揚さからか、著者のパーソナリティからか、不思議と怒られずにさらなる古文書を貸してもらえたり寄贈にしてもらえたりしたらしい。まあ今更持っているよりは研究機関に保管してもらったほうが、いいことが多いだろうな。現代人には、守り抜いて次代に伝えるタスクは辛いものがある。個人の努力ではどうにもならないケースも多いのでは。

毒親の日本史 (大塚ひかり)

着眼点だけの本。中身はこじつけが多いし、なぜか序盤に則天武后が出てくる。いきなりネタ切れ? 日本史とは?? 大東亜共栄圏の亡霊てこと??? あと源氏物語や近松門左衛門の心中物のストーリーとか、虚構からも遠慮なく引っ張ってきて現代的価値観で強引にこじつけるという。こんなやりかた、許されてるのかな。

「毒になる親」の本は以前に読んだことがある。ワリと有名な本ですよね。読んだのは自分が親になる前後のことだから、随分前だが。そういうことがある、という知識を手に入れたのは自分の人生と当家の運営にとって、ありがたかった。あの本は、毒・有毒という単語がpoisonだけではなくtoxicもあるということも知るきっかけになった。

悪玉伝 (朝井まかて)

放蕩に住む大阪の商人の戦い。史実をベースにしているわけだが、出来が良くて、かなり楽しめた。放っておいた疑念は全て回収されていく。まあハラハラするよ。

後半はキツイ話になるね。壊すだけ壊して、誰もハッピーになってないしな?

…と思う吉宗であった。

はじめてのガロア (金重明)

流れ星のような伝説的な数学者、ガロアね。GFと言えばガロアフィールドだよね。計算機科学でもお馴染みで、RAID6のQパリティとかでも出てくる。普通のパリティでもそうなんだけど、XORってだけだとありがたみがないからなぁ。

それにしても、これを17歳から20歳まででやってのけて死んでいくなんて、すごい人生。20歳で死ぬのはなかなか勇気のいることなんだよ。オレも死ぬ時に言いたくなった。私の場合はすでに20歳はだいぶ過ぎたが。