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山椒の実

私の財産告白 (本田静六)

明治・大正の時期に活躍した農林系の大人物が自分の財産形成を振り返って一般論に落とし込んだ本。割と名著ですね。

基本はしっかりしている。「給料の一部を使わずに生活を続けていれば金は貯まる」。ここまでは誰でも実現できる話。そのはず。その上で、貯まったら分散投資していく。そこでリスクとリターンの見合いを推し量る力量は必要になる。

仕事を趣味にしろ、みたいな話が根底にある。決して仕事をしないで遊んで暮らそうとか、仕事が大事でカネはどうでもいい、ではない。楽しめる仕事をしながらカネも貯めようよと。で、生涯勉強ね。まあそんだけではないんだけど、知的好奇心の探求、物質的な満足。それは理想の人生だ。最後はスッパリと匿名寄付してしまうのもカッコいい。

トロイ

神話と歴史をベースにした映画。なかなかいい映像で、楽しめた。トロイの木馬、アキレスと亀…ワクワクさせるキーワード群。

観た後でWikipediaの項目を見たら、この映画は史実や神話と違うという点で批判を受けたらしいw アホか。神の怒りやカカト弱点即死なんてあってたまるかよ。カートゥーンじゃねーんだ。

とりあえずヘクトルだけはただ一人、常識人だった。

アウトブレイク

感染症の映画。昔の映画ですが、いろんな経験があった後の今の自分が見て、なかなかに興味深いものがありました。展開が速く、悪役のモチベーションが理解不能…ということはありつつ、最後はアメリカ映画っぽくうまくまとめた感じ?

序盤に失態を犯した部下が優秀すぎで、MoM級の活躍でした。

アメリカン・ブッダ (柴田勝家)

SFの短〜中編集。いやワリと傑作寄りだなこれは…。めちゃくちゃ面白かった。すげえペンネームだけど。実在の歴史上の人物をペンネームにするのっていいんだっけ? 心配になってくる。

で、この本としては、特に表題作がやっぱりSFとしても大きな物語としてもいいと思った。最初のスー族の話も悪くなかった。最近の日本SFはこんなすんげえことになってるんだな。昔の本ばっか読んでられねーぞ。他の本も読みたいなー

ドラゴンボール改

ドラゴンボールで、サイヤ人とか言い出したあたり(Z?)からのアニメ放送をリマスターしたシリーズ。サイヤ人・フリーザ戦〜人造人間・セル戦〜魔人ブウ戦まで。悟空・ベジータ・悟飯の3人を軸に、それぞれの成長を描く。

基本的には戦闘シーンの連続だが、その戦闘シーンは手間をかけたものもあれば手を抜いたと思われるものもあって…唸り声を上げて踏ん張ってパワーアップ、あややややー! みたいなのが連続するだけなので演じる側も大変だった? むしろ楽だった? その辺の判断はつきませんが。パワーのインフレがひどく、ついていくのは大変だ。まるでバーゲンセールだな、というベジータの感想には同意する。語彙力も「すげえ」「すんげえ」「とんでもねえ」「やべえ」みたいな小学生にも分かるやつしか出てこないので、気楽に見てく感じになる。

しくじり審判 (小幡真一郎)

Jリーグ開幕のヴェルディ - マリノス戦で主審を務め、ストイコビッチにイエローカードを奪われるという経験をしている著者が、サッカー審判のトラブルあれこれを紹介。脳震盪でそのまま主審を続けていた試合の話とか、背筋の凍る話もあった。

チーム名が間違って記述されている部分があるのはちょっとどうかと思った。抗議くるぞー。札幌に関しては間違いが1ヶ所ではないので、誤植というか、編集者が間違って認識してるんでしょうね…さすがに著者は分かってて、校正の人が間違えて直しちゃったやつだと思いますが。ただ、合ってるところもあるんだよなあ…

アフリカ人学長、京都修行中 (ウスビ・サコ)

京都の大学の学長をやっているマリ出身の著者が京都のあれこれを紹介する。

外国から来た建築関係の学者というのは、京都を説明するには非常にいい立場だと思いますね。平安から京都に住んでる家系の人なんかだと観察できないでしょうし。京都はとかくネタにされがちな府民性というか…があるんですが、そういうステレオタイプを前提に、楽しく読めました。

母国のマリについての記述もなかなか興味深いものがあった。そういう住み方をする世界もあるのか、と。

あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選

後味の良さ優先のミステリのアンソロジー本。まあ短編だし割と出来の良いものが多い。謎は暴かれる。人は死なない。

まあちょっと軽すぎたかなー。後味がいいと言っても、大きな印象も残らない。死なないミステリ、しかも悪意が少なめ、なんて。この本の中の一番の悪人はあいつだろうけど、ちゃんと報いを受けて、捕まってるしねー。

姉妹本で、後味が悪いのだけを集めたやつがあるらしい。むしろそっちが先だったとか。ちょっと興味を引かれた。

交通誘導員ヨレヨレ日記 (柏耕一)

出版業界の高齢者が、生活に困って警備員(工事現場や駐車場での車の誘導)のバイトをする。割と本気で、取材ではなく本当にやってる。こないだのあたらしい無職に似ているけど、より振り切れてる感じだな。

しかし70代だよこれで…私の祖父は80代まで生きましたが終盤はボケて徘徊、施設に入ったらあとは寝たきりだったので、活動できたのは実質70代まででした。父は70代で病死。なので自分も70代というのは生活のためにもがく段階ではなくて、終活するイメージでいたんだけど。今後の人生設計どうしよう。年金だけで生活費出せるとは思えねーし、警備員みたいな体使う仕事せにゃならんのか? 実際こういう警備員は70代が多いんだってさ。