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山椒の実

Category: Sports

今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう! (玉木正之)

スポーツに関するコラムを集めて本にしたもの。いろんなところからかき集めてきた感じかな? 系統だっているわけではなく、内容もあんまり統一感はないかなあ。同じ話が何度も出てくるのはちょっとイラッとするよね。あちこちで同じコラム書いたのはわかるけど…編集しろ。

書評が続くところは良かったな。時代性もあって、東京オリンピックが延期になる前に本になったみたいで、そういう感じの話題も多かった。

全体的には、スポーツは文化である、というそれだけの話で、現代では常識とも言える内容。序盤は語源がどうの…とかいう話が続いたので、そういう言葉遊びから成り立ちを論じ続けるのかなと思って期待したけど、あんまりそういう感じでもなかったんだよな。

テニスプロはつらいよ 世界を飛び、超格差社会を闘う (井出夏生)

テニスの競技で生きていけるプロ選手はランキングで100位以内、と言われているらしい。100位以内であれば4大大会に予選なしで出場できて、この本戦には出場するだけで賞金400万円くらいが貰えるので、4大会で1600万、これで暮らせるのだと。

100位に入れないと予選からの出場で、途端に厳しくなる。そもそも、本書の主人公たる関口選手を含めて、大多数のプロ選手は予選にすら出れないのだ。したがって、小さな大会でポイントを稼いで100位に入る、というのが多くのプロ選手の目標になる。小さな大会ってのもレベルで区分けされていて、ポイント格差がすごい。ジュニア時代にトップ選手だった関口選手は、その100位以内を目指してもがき続けている選手。プロになるまでの歩みと、きつい環境を記録していく。

B.LEAGUE誕生 (大島和人)

バスケのゴタゴタを収めた川淵さんの豪腕と活躍を記した本。私はbjリーグ見に行ったり、東芝の地元で見に行ったりしていたので、関心はあった。

反発はあったようだが、Bリーグのホームアリーナの条件とかはよく分かる。観客は聖地というか、拠り所というか、本拠地ってのはそういうたぐいの存在であって、ホームがあちこち転戦して出前のような状態にしてしまっては応援の継続が困難になるのだ。たまになら我慢できるんだけど。そこに、体育館の管理者じゃなくて首長に話を通せばいいよ、こうするんだよというノウハウが経験者からもたらされれば、動き出すのは必然。というあたり、有明好きだったなーと思い出して読んでいた。とどろきアリーナもいいんだけど。

サッカーの見方は1日で変えられる (木崎伸也)

観戦のプロを目指しているわけでもないが、技術が上がるなら悪い話ではない。そう思って読み始めたこの本。

図表も分かりやすく、いい本なんじゃないかな。今からは10年前の内容だが、競技の骨格は全く変わってないからね。観戦者としては充分な量の知識だろう。

サッカーやってる子供に読ませたら効果はどうか、なんてことを考えながら読んでいた。手っ取り早く解答を欲しがる子供の特性を考慮すると、悪影響もあるかもしれないねえ。だけど、少しは知識が増えるんじゃないかな。

走る奴なんて馬鹿だと思ってた (松久淳)

おっさんの文筆家がマラソンに目覚めて独りよがりの文章をねっとり書き連ねる話。自分でわかっていて、書かずにはいられないのが文筆家のサガか。うちの近所にも来てたんだな、この人。中目黒のくせに。いけすかねえ。

私は今はやめてるけど、走ってた時代がある。今は、単にブラブラ歩くだけですね。そんな徒歩も、コースによってはランナーと同じルートを通ることもある。たまに、遅いくせに抜かしてくるやつがいるんだよね。抜かしてちょっとしたらのんびり歩きやがるの。しょうがないから(同じペースで)歩き続けて抜かすんだけど、ちょっとしてから抜き返してくるわけ。こっちが走ってるならまだしも、自分としては普通の散歩の一定のペースで歩いててもそうなることがある。こういうオッサンがウザいんだよね。散歩に負けるなよ。いや、負けることを分かってくれ。分かってるなら抜かさないでくれ。ランナーを徒歩で抜かすのは気を使うんだよ。でも、遅すぎるんだ。こっちは徒歩で、スピードを変えてないんだ。

サッカーピラミッドの底辺から (後藤貴浩)

少年サッカーの現場を取材した本。よく書けてると思います。私も小学生の子供がクラブに所属してるんだが、見聞きしたこととだいたい一致している。関係していないと分からない構造を解き明かしてくれている。価値のある、いい本だよ。著者は学者でもあり、サッカー人でもある。そういう人が書いた本。

ソレッソ熊本。名門クラブですね。こないだ全国大会的な大会で川崎と対戦して勝ってた気がする。出身Jリーガーがいるっていう話だったので調べてみたら、こないだすげーゴールを決めやがった奴も出身者だった。なるほど。全国的にもエース級のクラブ。

「かっこいい」の鍛え方 (里村明衣子)

センダイガールズプロレスリング社長のレスラーが、これまでの歩みをつづった本。勢いがあって良かった。夢を追い、現実で戦った、激動の人生。失敗と気づき、そして成長。爽やかな振り返り。輝ける主人公は、こういう人間でないと。

成長の過程で傷つけてダメにした相手もいたんだろうけど、こうやって実績を積んで経験を還元できるのはいいことだよね。

山本昌という生き方 (山本昌)

中日の大エース、山本昌が現役終盤に出した自伝。この本を出して間もなく引退、というタイミングですね。50歳でプロ野球選手、しかも投手だからな。現役生活32年を中日ドラゴンズに捧げた。すげー。

というわけで、いろいろ書いてあって面白かった。こういう選手の話は、穏やかな気持ちで読めるよね。利き腕の左肘の可動域(が非常に狭い)の話も素直にすごいなと。成功者というのは、誰しも人に感謝して人生を過ごすのだな。

ノーサイド・ゲーム (池井戸潤)

社会人のラグビーチームを舞台にした物語。それっぽい舞台設定と登場人物。なかなか面白かった。

現実ではスポーツの集客に関してはもっと苦労するんだろうな。ラグビーの試合は私もだいぶ昔に何試合か見に行ったことがあるけど、私のような「にわか」が行くような人気カード・ビッグゲームということもあるし、そこそこ集まってたよ。ただ屋外で寒い時期にやるので、普段の集客は厳しいんだろうなと思った。

よほど大きな出来事がない限り、サッカーでもバスケでも1シーズンでいきなり観客が倍増というケースはほとんどないと思う。ただ小説ではちょっと頑張ってすぐに結果が出た方が痛快だから、こういう描写もしょうがないかな。