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山椒の実

Category: Classic

アクロイド殺人事件 (アガサ・クリスティ)

俺、アクロイド。お前、何ロイド?

クリスティの問題作。だって悪ロイドだぜ? 悪の、アンドロイド。やばすぎる。名は体を表す。危ないよ。近寄るな!? 話し合おう?

のっけから関係者が死んでいくんだけど、ポアロ登場が序盤のキモかな。渋るんだよね。この理髪師くずれのガイジンのカボチャ農家が。そして引退宣言までするという。しかしフランス人だつけ? ベルギーだったような。

クリスティで麻雀の観戦をすることになるとは思わなかったな。日本のリーチ麻雀ではなく、中国ルールかな。花牌は出てこなかったが。しかしあの土壇場で飛び出した天和には驚いた。九蓮宝燈なら伏線にもなったのに。

人間の証明 (森村誠一)

昭和ミステリ。いい題材だと思うけど、あんまり引き込まれないんだよな。文章が自分に刺さらないというか。トントン拍子だがまどろっこしい矛盾した展開。複数の物語が統合されていく様子は、よくできていたが。関連し過ぎな面があるほどに。

まあでも、こんなもんなんだろうなー。微妙な感じだった。そんなに死ななくてもいいのに。全員不幸になってしまう。最後は独りよがりの憶測を重ねた推理、根拠薄弱尋問でムリクリ自白させるような展開だもんな。推理小説としての救いがないと思った。

ビーグル号航海記 (チャールズ・ダーウィン)

自然科学者の冒険記。まあ、あのダーウィンだ。誰もが知っている。今から約200年前の話。地図を見ながら読むといいと思う。フエゴ島とか、マゼラン海峡とか、知っているようで全然知らなかったからな。

自然物に対する観察は当然あるし、奴隷制に関する記述もあり、人や国や制度に関する観察もしていたことがわかる。この全てに、後の大研究につながる発見や考察が多くあるんだな。何度か体調を崩しながらの旅になった。大地震と津波も経験している。そこでも、観察と考察。学識の高さを感じさせるが、これ当時20とかそこそこの若者だったらしい。すごい。傑物だ。

はつ恋 (イワン・ツルゲーネフ)

謎めいた女への初恋を述懐したもの。イキイキしてんなー。しかしこれはティーンエイジャーの目で見た光景を記述したものであって、実際はここまでのものではなかったんじゃなかろうか。本人は本気で大きなものであっても、、、というのはよくある話で。

まあ最後まで覚えきれなかったけど、無意味と思われる登場人物がいて人数がかさ増しされているし、見え見えの伏線もありつつ、まあ楽しい記述ではあったことだ。

おれも普通に詩を朗読するようになっとかないとなー。こういうのは普段からの心がけが大事なんだよ。

雨月物語 (上田秋成)

江戸時代の文才のある侍が、昔の怪談話を集めて物語にしたもの。怪談というか、本格的な物の怪の話か。いわゆる短編集に当たるものだが、それぞれ、なかなか読ませる話。

今回読んだのは青空文庫にある現代語版ですが、興味深い業な話が多かった。時代とテーマの必然で、僧侶や神官がかなり活躍する。

ラバー・バンド (レックス・スタウト)

ネロ・ウルフのシリーズ。今まで読んだことはなかったけど、巨漢の安楽椅子探偵だね。人気はあったはず。

かなり楽しめた作品になった。依頼人もそれなりに活躍したし、主人公も暴れたし、まさかゴムのコールマンがコールマンのゴムだなんて。描写は少ないが依頼人は美人らしいしね。本人の描写ではなく周りの反応の描写だけで美人と思わせるところがなかなか、うまいんだよな。そう思った。

リチャード三世 (シェイクスピア)

3歳と打とうとしてしまうが、それでは意味が違う。

ただの悪口大会のような話で、今の基準だと駄作だろうな。イングランドの歴史の知識があれば、もう少し違ったかもしれないが。ただ悪人は悪人らしく戦い、善人は早死していくだけだからなあ。悪口は良くないよ? チクチク言葉は禁止されてるんだよ?

ガニメデの少年 (ロバート・A・ハインライン)

地球の人口が爆発し食糧難に苦しむ中、木星の衛星ガニメデへの移民に入った少年を描くSF小説。

開拓者というか、先に植民している人がいて、後から大量に送り出された人々。まあバラ色の生活のように騙されて来た、ある種の棄民? という地球でもよくあったやつね。ボーイスカウトの話とか、まあいろいろ話が出てきて。文体はハインラインだ。回想のように、解説的な進行。

隣人が強すぎた。死なないにも程があるな。父親も判断力が強い。人間とはかくありたいものだ。特に、大人の男ともなると。

芥川賞候補傑作選 平成編① 1989-1995 (鵜飼哲夫 編)

水と空気と太陽はただ!

時代ですかね、なんか時間の流れがゆっくりしている。そして空気が暗い。平成初期ってこんな感じだったか。これで昭和じゃないのか。

現代と比べると、ストーリーの進みが遅い。これ読むのはダルいぞ。逆に、今の小説を平成初期の人が読んだらついてこれないのかも。ハイスピード超展開すぎて。ケータイ小説が進化して今があるのかも?

そういう意味では内田春菊だけは疾走感があった。しかし下品な作家だとは思ってたけど、やはり下品なエロ。こんなのをありがたがって読んでいたなんて。

心 (ラフカディオ・ハーン)

明治の頃の気風をよく伝えてくれる本。時期的には、日露戦争前って感じかな。示唆に富んでいると言える。ような気がする。私は懐古主義ではないし、昔のほうが良いとか、古きに戻るべきとか、そういう気持ちになることはないんだけど。興味本位?

まあ何かしらの教訓を受けて良い将来を作れればいいだろうし。世の中はガンガン良くなっているとはいえ、微調整も必要だろうよ。その学習データとして歴史は良いものだ。

最初の停車場が凄かった。全体の方向性を決める、その決め手になるような衝撃。その衝撃のまま、読み進めることになる。