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山椒の実

Category: Biography

マーガレット王女とわたし (アン・グレンコナー)

英国上級貴族の娘で、子供の頃からの王女の友人で、女王の妹であるその王女の女官として仕えた人物が語る、その半生。第二次世界大戦時に少女で、エリザベス女王の戴冠式で裾持ちをした時の話とか、エピソードもまあ、上の方の貴族そのもの。陶器の行商をしてた話は良かったな。紅茶ばっかり飲んでたんだろうな、どうせ。 あとは破天荒な大人子供みたいな夫との生活。生活? って感じではないが、妙にウマがあったんでしょうね。楽し

「かっこいい」の鍛え方 (里村明衣子)

センダイガールズプロレスリング社長のレスラーが、これまでの歩みをつづった本。勢いがあって良かった。夢を追い、現実で戦った、激動の人生。失敗と気づき、そして成長。爽やかな振り返り。輝ける主人公は、こういう人間でないと。 成長の過程で傷つけてダメにした相手もいたんだろうけど、こうやって実績を積んで経験を還元できるのはいいことだよね。

山本昌という生き方 (山本昌)

中日の大エース、山本昌が現役終盤に出した自伝。この本を出して間もなく引退、というタイミングですね。50歳でプロ野球選手、しかも投手だからな。現役生活32年を中日ドラゴンズに捧げた。すげー。 というわけで、いろいろ書いてあって面白かった。こういう選手の話は、穏やかな気持ちで読めるよね。利き腕の左肘の可動域(が非常に狭い)の話も素直にすごいなと。成功者というのは、誰しも人に感謝して人生を過ごすのだな。

約束してくれないか、父さん (ジョー・バイデン)

現在の米国大統領が、苦難を受けた経験と出馬を断念した(ヒラリーが民主党の候補になって、本戦でトランプに負けた)経緯を記した本。かなり良く書けている。まあ自分の実績自慢もあり、家族自慢もある普通の政治家の本という面もあるわけだが、悲劇の人だから山場はすごいことになっている。 それで、序盤から、えー、こいつが死ぬのかよ、と思って気が重かったが、最後まで読んだ。 エルトン・ジョンのくだりと、ウェイ・タン・リ

むき出し (兼近大樹)

お笑い芸人の自伝的小説。今般の詐欺で捕まったやつ関係で名前が出てきた。内容はかなり凄い。北海道なまらやばい(?) 淡々とリアルな描写が脈絡も薄めで続いていく。この経験でお笑い芸人に行くのか…芸能人の自伝は何冊か読んできたけど、かなり上のランクに入るねこれは。

私の財産告白 (本田静六)

明治・大正の時期に活躍した農林系の大人物が自分の財産形成を振り返って一般論に落とし込んだ本。割と名著ですね。 基本はしっかりしている。「給料の一部を使わずに生活を続けていれば金は貯まる」。ここまでは誰でも実現できる話。そのはず。その上で、貯まったら分散投資していく。そこでリスクとリターンの見合いを推し量る力量は必要になる。 仕事を趣味にしろ、みたいな話が根底にある。決して仕事をしないで遊んで暮らそうと

TN君の伝記 (なだいなだ)

明治の自由民権運動の思想家の人の伝記。社会の教科書に出てくるような名前の人ではあるが、名前じゃなくて事績に注目して欲しいため、匿名になっている。ただし図書館によるタグづけは無慈悲だった。隠したいわけではなくて、邪魔になるから書かないことにした、という話なので、ネタバレと言うほどのことではないか。 文章は子供向けだが読み応えはある。濃い人生を送ってたんだなあ。 なかなかに興味深いものがあった。当時の空気

ノバク・ジョコビッチ伝 (クリス・バウワース)

ジョコビッチの伝記。まだトップ選手…それもトップオブトップな選手なので、伝記には早い気もしたが。 5歳の頃からプロフェッショナルで、空爆の下で命をつないで練習を重ねたピザ屋の息子にして小麦粉アレルギー保持者。食事を改善するまでキャリアの序盤では棄権や故障が多かったらしい。そういうあれこれを考えると、先日のオーストラリア入国におけるトラブルはまあ、しょうがなかったんだろうなと思える。科学的にも論理的に

希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉 (中村哲)

中村哲さんの書いた文章と写真を混ぜてまとめた本。医者が、たくさんの命を救うために治水に取り組む。遠くアフガニスタンの地で、故郷の知恵を使って。 本質的なゴールへの意識を忘れない話で、『ファクトフルネス』にも似た話があったけど、医者とは何か、が問われる話では、あるよね。もともとアフガニスタンは農業国だったのに、戦乱と気象変動のあおりを受けて荒廃、農地を失った人が生きるために武器を取り、何も理解しない西

悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト パガニーニ伝 (浦久俊彦)

とりあえずヴァイオリンがとんでもなくセクシーだってことがマン・レイの「アングルのヴァイオリン」を紹介した一節と画像で分かった。なるほど。 それはいいとして、ヴァイオリンという楽器の特質を大いに語ってくれる、大ヴァイオリニストとして歴史に君臨するパガニーニの伝記。真面目な歴史の話でもあるが、記述に勢いがあって面白く読めた。思い入れが強くて知識が豊富な文章ってのは、読んでて面白い。 悪魔云々はどうでもいい