まさに本の中の本、とはこのことか。あのスティーブ・バルマーが社会貢献活動に目覚めたらどうなるだろうか…そんな思考実験をするまでもなく、それはこんな感じになるだろう。なんとバルマーの弟子が実際にやってんだよ。
これは本との接点が持てずにいる途上国の子供達のために、図書館を建て続けた男の闘争に関する自伝。元々はマイクロソフトの上級幹部で、バルマーに怒鳴られる日常に疲れ、しかし心酔しつつも、現実に気づき、目覚める。その目覚めは衝撃的だ。ネパールの旅路で誘われて赴いた学校とその図書館。これまで旅人が置いていった、明らかに子供向けではない数少ない本(=難しく長ったらしくて大人の時間つぶしには良い類の本)。しかし希少なものなので鍵をかけられて子供たちが触れることはできない状況。つまりロクな本がなくて、ロクでもない本にすら触れられないのだ。これではどうにもならない。私も思うのだが、書籍こそが知の集積であって、子供時代に書籍に触れられないで立派な大人に育つのは難しい。かくして途上国と先進国の差は開き続けるのだ。現実。そして本を持って戻ってくると約束し、本を集め、それを実行した。実行し続けた。寝る間も惜しみ、カネを集め、そして実行する。