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山椒の実

Category: Science

生物と無生物のあいだ (福岡伸一)

分子生物学の勃興を振り返る本。著者はその真っ只中で、研究者として過ごした。その光と影。学者の世界を垣間見られる。

ラセンとかガン、タンパク質をカタカナで書くのはこれ系の人では共通しているのかな。タンパク質はそれほど違和感ないけど、外来語ではないよね。以前に「癌」をカタカナで書くのは怪しい素人、プロは漢字かひらがなだ! みたいなネット言説を見たことがあるが、やっぱデタラメじゃんw

もともとは校正の本に出てきた本で面白そうだと思って読むことにしたんだ。校正の本で議題に上がっていた冒頭のマンハッタンの観光船の話は確かに絵になる。

エイブリー、シャルガフ、ワトソン/クリック、マリス、シェーンハイマーを始めとして、あのシュレーディンガーまで出てくる。学術の歴史が紡ぐ、生命の神秘を辿る道。

片手袋研究入門 (石井公二)

日本の片手袋研究の第一人者で、今もトップランナーとして走りつづけ、片手袋界の巨人とも言える名高い著者が、研究家としての心得を説きながら片手袋に関するアレコレを熱く述べてくれた本。真夏の暑さよりなおアツい。

基本となる分類法の説明から、理論体系を丁寧に説明しており、片手袋学の入門に最適な書と言えるだろう。

中盤の片手袋ファンとの交流や、文学・アート作品の情報も興味深かった。小川未明の作品「赤い手袋」は青空文庫にあるのを読んでみたが、確かに…なんとも言えない読後感。唐突な悲劇がショッキングで、物語として成立してるのかこれ? と疑問が生まれる。大正時代の小学生はこんなの読んでたのか。彼らの将来が心配になる。他にも青空文庫には手袋に関する作品がいくつもあるので、検索して読んでみるといいだろう。

豹変 (今野敏)

一人称を「わし」にしようとして何度失敗したことか。我が人生を振り返ると失敗の連続しかない。そんなことを思う開幕からの、事件の連続。息をつかせない展開。悪くなかったね。怪異であってサイエンスでもある、説得力ね。能力者の能力が、覚醒する。この襤褸襤褸たる身体に宿りし邪悪なる…そして背中の傷跡すらも聖痕となりて…

結局狐は狸だったのか、まさかそんなことがあっていいのか。主人公の偏見的な物見はどういう方向に向いているのか分からなかったな。なんかのスパイス的な意味があるんだと思うけど、あんまり効いてなかったというか、必然的な描写ではなかったと思うなあ。解説を見るとシリーズものだったので、この性格づけは他作で行われたものなのかもしれない。

タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源 (ピーター・ゴドフリー=スミス)

LLMの発達で新たな知的種族が誕生しつつあるが、彼らは進化の樹形図の中ではどのように表現されるのだろうか? その謎を解くため、我々は頭足類の世界を探検することにした。

…のだけど、なんか哲学系の人が全体図をこねくり回しながら書いているから、エディアカラやカンブリア紀だの、、、なかなかタコにたどり着かないという。

それでも興味深い話は多かった。視神経が腹と背にあって、意識上は目が見えない人が障害物を避けられる話とか。ホワイトノイズのホワイトクリスマスの話とか。200年の時を生きるメバルとか。煮付けてる場合じゃない。そして全くタコじゃねーけど。

暮らしのなかのニセ科学 (左巻健男)

ニセ科学がはびこる現状について述べた本。この本が7年前か。今はもっと激しい陰謀論が渦巻いていて、この本のような活動もむなしく、状況は悪化したと言えるだろう。いやはや、ひどい話だ。

この本では、ダイエットや健康系のやつから怪しい水やらEMやらマイナスイオンまで、やばい話のオンパレード…それが紹介されている。こういう、デタラメだけど科学っぽさで人を騙す輩というのはどういう倫理観をしてるんだろう。それを想像しながら読むわけだけど、うーん…金儲けのエナジーなのかなあ。それだけで説明がつくんだろうか。大企業もやってるからね。コンプライアンス委員会とかないのかな。どうなってんだ。世も末ですよ。

ブラックホールをのぞいてみたら (大須賀健)

物理学者って論理がおかしくなることがありますよね。理論があるから現実でも起きないんだ、とかそういう言い方。現実を説明するのが理論であって、理論を実装したのが現実、ではないのに。

コンピュータシステムの世界ではなく現実の宇宙が相手なことが分かっているのだろうか。相対性理論は光が最速であることを「決めた」わけではないよね。現実に光が最速であり、それを説明する理論を考えたよ、反証ないでしょ? というだけであって。

身の回りにあるノーベル賞がよくわかる本 (かきもち)

ノーベル賞を受賞した科学技術の研究をサラッと解説して紹介する本。解説も分かりやすいし、どんな内容かの他に、どう役立ったかの説明が多い。軽く読むにはいいんじゃなかろうか。

紹介されているのは有名どころなので、全く聞いたことがない、というようなものはない。なので、あんなこともあった、こんなこともあったと回想する感じ。

時間とは何か (池内了)

時間についてうだうだ述べていく本。当代最強のイラストレーター、ヨシタケシンスケがイラストを担当している。さすが、味のあるイラストでそそられるね。

結局、分かったような分からないような話に終始した印象。まあ、そういう本なんでしょうね。もともと、身近ではあるが明快なテーマにはならないやつだ。

脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか (紺野大地・池谷裕二)

脳とAI。1+1は2ではなく、200。つまり10倍だな。

通信方法もいろいろあるみたいだし、ブレイクスルーはいくつか必要だとしても、これは確実にあるな。脳AIの未来が。かなりやばい。こういう分野もあるんだなぁ。

しかし必要なブレイクスルーが多すぎなんじゃないか、という気がしなくもない。自分の生きているうちに間に合うんだろうか。AIだけで突っ走ってシンギュラリティを突き抜けてしまい、人間の脳なんて必要ないよーん、というオチがすぐに思いついてしまう。

ワニと龍 (青木良輔)

龍は実はワニのことだった、という歴史考察をフックにして、ワニについてとんでもない知識量を持ったワニマニアが語り続ける。絶え間なく。恐竜との関係とその考察とか、かなり深いものがある。なかなかすごい本だった。学術的な面をしっかり出しつつも、テンポも良い。

わーにの、おとうさん、わーにの、おとうさん、おっくちっをあっけってー♪