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山椒の実

Category: Science

ブラックホールをのぞいてみたら (大須賀健)

物理学者って論理がおかしくなることがありますよね。理論があるから現実でも起きないんだ、とかそういう言い方。現実を説明するのが理論であって、理論を実装したのが現実、ではないのに。

コンピュータシステムの世界ではなく現実の宇宙が相手なことが分かっているのだろうか。相対性理論は光が最速であることを「決めた」わけではないよね。現実に光が最速であり、それを説明する理論を考えたよ、反証ないでしょ? というだけであって。

身の回りにあるノーベル賞がよくわかる本 (かきもち)

ノーベル賞を受賞した科学技術の研究をサラッと解説して紹介する本。解説も分かりやすいし、どんな内容かの他に、どう役立ったかの説明が多い。軽く読むにはいいんじゃなかろうか。

紹介されているのは有名どころなので、全く聞いたことがない、というようなものはない。なので、あんなこともあった、こんなこともあったと回想する感じ。

時間とは何か (池内了)

時間についてうだうだ述べていく本。当代最強のイラストレーター、ヨシタケシンスケがイラストを担当している。さすが、味のあるイラストでそそられるね。

結局、分かったような分からないような話に終始した印象。まあ、そういう本なんでしょうね。もともと、身近ではあるが明快なテーマにはならないやつだ。

脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか (紺野大地・池谷裕二)

脳とAI。1+1は2ではなく、200。つまり10倍だな。

通信方法もいろいろあるみたいだし、ブレイクスルーはいくつか必要だとしても、これは確実にあるな。脳AIの未来が。かなりやばい。こういう分野もあるんだなぁ。

しかし必要なブレイクスルーが多すぎなんじゃないか、という気がしなくもない。自分の生きているうちに間に合うんだろうか。AIだけで突っ走ってシンギュラリティを突き抜けてしまい、人間の脳なんて必要ないよーん、というオチがすぐに思いついてしまう。

ワニと龍 (青木良輔)

龍は実はワニのことだった、という歴史考察をフックにして、ワニについてとんでもない知識量を持ったワニマニアが語り続ける。絶え間なく。恐竜との関係とその考察とか、かなり深いものがある。なかなかすごい本だった。学術的な面をしっかり出しつつも、テンポも良い。

わーにの、おとうさん、わーにの、おとうさん、おっくちっをあっけってー♪

寄生虫館物語 (亀谷了)

目黒の寄生虫館の創始者が平易な文章で語りかける。

寄生虫館、こないだ行ったんだよね。もう1年くらい経つか。なかなかユニークでそそられる施設。実際、かなり面白かった。コロナもあってあんまり人はいなかったし、私設の博物館で研究所だから、こじんまりしていた。ただ面白さはあった。そういえば、来日したビル・ゲイツもここを訪れて楽しんだらしいというニュースも見たな。

この本はそんな寄生虫館がどうやってできたのか、寄生虫とはどんな存在なのかを示してくれる、いい本だった。読んでよかった。とりあえず今後できることは…野菜は洗うし肉は加熱して食べよう。そしてキタキツネには触らない。

私たちはどこから来て、どこへ行くのか (森達也)

現代日本でトップクラスにやばい奴の本。そういえばおれはAとA2は見たしA3も読んだんだよなー。下山事件のやつも。けっこうファンなんじゃん…あとプロレスのヒールの本もこの人のやつを読んだ気がするな(あるいは違う人の本だったかも?)。良い著者に特有の、醒めた狂気を感じさせてくれる。そういう雰囲気をまとう人物たちがいて、その中で森と名のつく3大人物が森勇介と森達也、あと一人は?(元首相とか?)

そんなことはどうでもいい。この本だよ。生命とは。人類とは。謎だらけの糸をたぐり寄せようとしてさまよう。一線級の研究者にインタビューを続けていく。

闇に魅入られた科学者たち 人体実験は何を生んだのか (NHK「フランケンシュタインの誘惑」制作班)

NHKの番組の内容を書籍化したもの。だけど、すごい本だった。こういうのがあると別にNHKから救われなくてもいいよなーなんて思ったりする。そういや一人暮らし時代はNHKと契約してなかった日々が長かった。最後の方に地デジになった時にやっと契約したんだったかなw だって当時ってスカパー! 以外ほとんど見てなかった頃だもん。今はDAZNとYouTubeとAbema? 地上波/BSは家族がよく見てるから、いいけど。

人種は存在しない (ベルトラン・ジョルダン)

「人種」とは何かを説明した本。そもそも人類は現在、他の旧人をことごとく滅ぼした新人のみになっているから、種族は1つしかないんだよ。他の動物に比べて広範囲で交配を繰り返してきたため、多様性も少ないみたい。まあつまり、ほぼ同じだ。何が同じで、何が違うのか、という話は非常に微妙な話になる。

それで、では指輪物語のエルフやドワーフ、ホビットは種族なのかどうかという話に…はつながらなかった。そういうファンタジーの世界の話ではなく、リアルな学術の話が続く。

風をつかまえた少年 (ウィリアム・カムクワンバ)

一気に読み終わってまずすることは、世界地図か地球儀を引っ張り出して「マラウイ」を探すこと。どこなんだ…アフリカの下の方の内陸で、大きな湖がある国ですね。なるほど。

この本は、そのマラウイで起こった壮絶な飢饉、その影響で中学校を中退することになった少年が小学校に作られた図書室に通って独学で物理を学習し、廃品を集めて風車を作って電気をもたらした物語だ。マラウイでは電気は万人のものではない。国営(?)の水力発電はあるが品質は悪く高価なんで、ほとんどの家には電気が来てない。しかし少年は電気でやりたいことがあったのだ。まあ、闇に生まれた…天才ですね。メイカームーブメント!