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山椒の実

Category: Kawasaki

川崎警察 下流域 (香納諒一)

川崎でよくある殺人事件。今でもちょくちょく起きるよね。1970年ごろが舞台で、雰囲気がすごい。昭和後期どまんなか。文章だけで絵で見える。照明が暗い。風景が霞んで見える。空気が悪い。まさにそういう時代、しかも川崎深南部。これはアツいよ?

読んで確認、あーこれだよ。闇のフルコースだ。オンパレードだ。期待通りの。警察は肉盾を使って最強殺し屋のアタマを撃ち抜くし、バラバラ殺人とギャングバトルを始終やっていて、公害に差別と水商売、役人の腐敗…人を殺すかラップが上手くなるくらいしか、のし上がる道がないわけだよ、この街はさあ!?

カワサキノコト Colors, Future! いろいろって、未来。 (川崎市政100周年記念誌)

100周年の記念に作られた冊子。市内の学校で配られているので、わたなべ家は3冊ゲットしてしまった。どうするのがいいのか。とりあえず読んでみた。

まあ過去から現在の川崎市について包括的に図示した上で、これから進んでいこうと考えている方向性について述べていて、ちゃんと役人の手を経て作られた文書であるということが分かる。まあ一家に3冊は持ちすぎだけど、1冊くらい持っておいてもいいと思った。

しばらく前から示されてきたColors, Futureという標語は割と好きだし、3色の川の字のマークもいいなと思えている。つまり、どういう感じなんだ。自分のホームタウンは川崎市だと思えるんだ。それが俺たちのLoveなのか。

川崎怪談 (黒史郎)

川崎市に伝わる怪談を集めた本。統一感はないし小粒なものが多いけど、それだけにリアリティがある。いろいろ集めて回った成果が見える。なかなか楽しめた。

地元だけに、自分が見知った土地でそういう謂れがあったのかという。まあそういう、地元民向けの本だよねえ。住んでいたあたりで言うと家内橋や金井観音というのがあって、割と血生臭い伝説が伝わっていた。幽霊は出ないが。別の場所で、墓地の近くで幽霊が出るとかいう話は、聞いたことがある。夜間墓地の近くを通りがかることは幾度もあるが、実際に幽霊に出会ったことは、ない。

地域批評シリーズ5 これでいいのか川崎市 (岡島慎二)

雑誌の連載かなんかですかね。それをまとめた本か。テンポの良い言葉で地域ネタを並べていく。なんかこういうテンポの文章をずっと読んでると、自分がバカになっていく気がする。せっかく読むなら、もうちょっと重厚なやつがいいなあ。

内容はまあ、数年前の川崎市についてのあれこれ。書いているのが地元民じゃないとすれば、割と詳しく調べているなあと思った。自分は川崎市中原区に20年以上住んでいるけど、百合ヶ丘と新百合ヶ丘でどっちが強いかも知らなかったんだよね(まああのあたりは南部とも北部とも別だからな)。川崎と新川崎は川崎の方がだいぶ強い。百合ヶ丘は逆か。原宿と新宿は…

殺人都市川崎 (浦賀和宏)

川崎を舞台にしたミステリ。この本だけは絶対に許さん!!

違和感だらけのパートと、少し現実っぽいパートが織り交ぜられて物語は進む…んだけど、やっぱりこの本はどうしても許せないw 『ルポ川崎』の時は現実だから良かったけど、これはさすがに、ないなと思った。

どう収拾つけるのか不安を感じながらの読書だったけど、このオチもどうなんだ…よく出版したなこんなの。

ルポ 川崎 (磯部涼)

川崎南部の音楽シーン、特にBAD HOPていうヒップホップクルーを中心に、音楽ライターが描く川崎。川崎南部独特の空気ね。産業道路の向こう側とか…それで通じますか。まーそれでも川崎のほんの一部でしかないんだけどね。

確かに、北部だとオザケンだからなぁ。まー南部でも東山さん(ジャニーズ!)とかだっていたんだがぁ?

私の住む中原区は南部(危ないほう)に属する。南部の前線として、隣の高津区と抗争を繰り広げてきた歴史がある…んだが、今はどちらも中部として括られているという認識が一般的かな。

スタジアムの宙にしあわせの歌が響く街: スポーツでこの国を変えるために (天野 春果)

川崎のプロモーションの中核を担う天野さんがノーベル文学賞を狙ったこの一冊。「スタ宙」の略称が定着しつつある? まあノーベル賞にはちょっと遠いかな。でも読み応えのある一冊に仕上がっている。フロンターレサポの多くが知っている顔。誰もが一度は見たことがあるんじゃないかな。

以前は欠かさず通っていた等々力やアウェイにもなかなか皆勤賞とは行かなくなってきたし、趣向を凝らした企画を見て回ることも難しくなっているが、今でも川崎の試合にはできる範囲で駆けつけるようにしている。そんなこともあり、スポーツイベントには割と行っている方だと思うけど、川崎の試合って相当頑張ったなと思える本格的な企画も多いんだよね。その裏側を垣間見ることができる。こりゃ苦労してるわ。スポーツ屋、あるいは企画屋には必読書になるでしょう。思ったよりも低予算でやってんだな、という感想も。そこはこだわっているらしいが。

カワサキ・キッド(東山紀之)

カワサキ・ディープサウスの話で、少年隊・東山紀之の自伝。「○○ったらない」のような表現を多用して、素直に感動したことを書き連ねる形。けっこうドラマチックな半生だったのね。個々の話が読みやすいし、けっこう面白かった。

彼がディープサウス民とは知りませんでした。しかも桜本のコリアタウンなんてまさにスラム街の中のスラム街。そのへんに死体が転がっているのが日常というイメージ。まあ東京者からすると川崎市自体が全部、足立区並のスラム街なんですが、川崎の中でも南部はその中心、公害もひどくてまあ、言っちゃ悪いがまともな人の住む場所ではない。さらにディープサウスともなると訪れるだけでかなりの勇気を要する。武装したボディガードを雇わずに行く気にはなれないような、ね。ニンジャスレイヤーでも「タマ・リバーを渡るとき、全ての希望を捨てよ」というアレ。絶望の橋ですよ絶望の橋。実際はそこまでひどくはないはずなんだけど、近場だけどちょっと気軽に行ける場所ではないですよね。