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山椒の実

Category: Education

ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち (吉川徹)

児童精神科医による現代の病? についての解説。あまり知見も確立していない分野であることもあり、いろいろなことが羅列されてとっ散らかった印象。つまみ食いして読むことを前提としているのかも?

それでも、大事なことは見えてくる。自分を省みて、考え直させてくれる内容もあった。

最近書かれた本なので、最近の話題にも触れられている。COVID-19の影響であつ森が流行ったとか、そういうの。

自分の子供もゲームは大好きだし、親としてはやりすぎは気になるところ。そもそも子供は約束を守れないものであるという話には感銘を受けた。実際うちでも守れていないが、それに対する怒りは感じる必要のないものだった。男子なら約束したことは実行されたも同然、という感覚があるんだけど、それは大人の男に限定の話だった。…男だの女だの言うと最近は良くないのかな?

「学力」の経済学 (中室牧子)

人文系の学問の中で最も信頼できる経済学。経済学って「応用数学」みたいな感じですからねー。その経済学の先生が教育部門を経済学の手法で研究する。アメリカではもう一般的な手法らしい。日本はこの分野で大幅に出遅れている。

かなりの説得力を持っているね。効果のある教育手法を導き出すにはどのように実験し、どのように分析すれば良いのか。ただアメリカの後追いでしかないんだよね。追わないよりはマシだが。日本ってこういう実験をしづらい事情があるんだろうなー。後追いなりに、追いかけて紹介してくれる本って感じかな。

風をつかまえた少年 (ウィリアム・カムクワンバ)

一気に読み終わってまずすることは、世界地図か地球儀を引っ張り出して「マラウイ」を探すこと。どこなんだ…アフリカの下の方の内陸で、大きな湖がある国ですね。なるほど。

この本は、そのマラウイで起こった壮絶な飢饉、その影響で中学校を中退することになった少年が小学校に作られた図書室に通って独学で物理を学習し、廃品を集めて風車を作って電気をもたらした物語だ。マラウイでは電気は万人のものではない。国営(?)の水力発電はあるが品質は悪く高価なんで、ほとんどの家には電気が来てない。しかし少年は電気でやりたいことがあったのだ。まあ、闇に生まれた…天才ですね。メイカームーブメント!

いじめと探偵 (阿部 泰尚)

子供のいじめの問題で、こじれてしまった場合に頼ることができる存在として、探偵という職業があるようだ。こういうことに探偵が乗り出すというのはしっくりこないんだけど。ちょうど今「仮面ライダーW」をYouTubeで再放送してるしね。

あともう一つ、きっかけとしては、こないだキモい田舎のオッサンに若い女子が殺された事件があったじゃないですか。完全に根拠がないけど、あれって、いじめられてああいう行為を強要されてたんじゃないかっていう気がしたんだよね。それでお金が欲しいというよりも、アレで稼いだお金を渡せないといじめられてしまうので、どうしてもお金をもらう必要があった、という動機であれば割とあるかなと思ったんだよね。それほど不可解な行動をする事件だった、という印象が残って。

タイガー・マザー (エイミー・チュア)

中国式の凄まじいスーパースパルタ式子育て闘争を記した本。この母親のエナジーが相当すごいのは分かるけど、周りはたまったもんじゃないな。母親と子供2人の3人はいいとして、果たしてこれで夫は幸せなのかな? 最初のワンちゃんへの接し方は笑えたが。

2人にやらせたのはクラシックのピアノとバイオリン。まあ勉強もかなり良く出来るところまでやったみたいだけど。しかしクラシックか。才能の無駄遣いと言っては失礼なんだろうけど、実際のところ、私は現代のクラシックをあまり評価していないので。だって歴史をなぞり返すだけで人生の全てが終わってしまう人がほとんど…という分野でしょ、という認識。価値がないとは言わないよ。それなりに優れているし学ぶものはあるだろうとは思うけど、人生は短い。学ぶだけで終わるってのは厳しい。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち (新井 紀子)

東ロボくんを作っていた数学者が、その狙いとこれから必要になる教育を語る。かなり話題になった本。

まあシンギュラリティは当分来ないよ、というのは実感としてあるんだろう。実際今のニューラルネットワーク系の技術だけで行けると思っている人は少ないとは思うんだよね。シンギュラリティに至るまでにあといくつかのブレイクスルーが必要というのは感覚としてはあり、ただしそのブレイクスルーの数はそろそろ指で数えられるくらいなんじゃないの、という感じでしょ。

前へ!前へ!前へ! 足立区の落ちこぼれが、バングラディシュでおこした奇跡 (税所 篤快)

足立区のスラム街で育った筆者がバングラデシュの受験業界に革命を起こす。熱さがある話。

偏差値28で入れる母校・早稲田大学とは…その疑問を解消せずに豪快に話が進んでいくのだが(途中で完全に解消しますのでご安心ください)、とにかくこの挑戦よ。スゴい!

まぁ自分も子供を川崎のスラム街で育てているワケよ。その雰囲気は足立区に近い。近所の公園には我が子も含めクソガキしかいない。あーこの発言は足立区民に失礼かも。…川崎市民にもかw

教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」 (内田良)

柔道や組体操の事故について警鐘を鳴らしていた学者の著書。Yahoo!ニュースとかでよく見ていて、かなり妥当な論述だと思ったが、その秘密はエビデンスを元に議論する社会学を源流とするためだった。実際、柔道の重大事故率については著者も最初はそんな風には思っていなくて、データを集めて分析したら理不尽なくらい突出していたという話。おかげで、子供の柔道の事故死は日本でも根絶されたようです。成果ですね。

この本で特筆すべきは、教員のことについての分析も含んでいる点。やっぱ活発な部活動の顧問の先生はきついよね。私は中学時代は水泳部で柄にもなく部長をやっていたわけだけど、顧問の先生が途中でいなくなったので、別の体育の先生に顧問やってくれと同期と一緒に直訴に行ったことがあった。元の先生も決して熱心ではなく水泳の知識もなかったのだが、顧問がいなくなると続けられないからね。で、実際は別の新任の先生がなってくれることがすでに決まってて、その先生は経験者だったこともあり、かなり熱心に指導してくれた。頼んだ先生は副顧問みたいな感じになって、結局フェードアウト…

東大助手物語 (中島 義道)

随分昔に東大助手だった人物が、当時の変な教授にいじめられたことを記した自伝。

うーん、この著者も相当な変人なんだというのは伝わってきたけど、教授も変人。まあ東大の教官なんて変人でなければ務まらないよね。結局教授の理不尽な要求に耐えかねて上の人に直訴して決着をつけるんだけど、学者の喧嘩ってのは学術的にどういう位置にいるかによるんだよね。この著者はカントの研究でそれなりに実績を積んだ優秀な学者という感じの立ち位置で、対する教授は大した実績がなく、地位はあるけども研究している風でもない。

わが子を愛するレッスン―「傷ついた子ども」だった両親へ (M.ラインホルド)

幼少期に親から受けた拒絶への、大人になってからの反応について様々な事例を元に論じた本。

このタイトルを見て奥さんは「ふふん」と鼻で笑いましたが、たぶん君がタイトルを見て想像したのとは違う視点でこの本を読んでいる。自分と、あと奥さんのパーソナリティや行動パターンを分析するために役に立つかな、と思って読んでいるので。自分の子供に関してはとりあえず関係ない。

割と疑問に思っていたのが、自分の自信のなさがどこから来るのか、ということなんですよね。冷静に自己分析してみると、自分ほど優れた人間は滅多にいないし、現在ついている仕事の能力に関しても、日本で上位10%には余裕で入るはず。たぶん上位5%くらいまでは割と高い確率で行けてると思われる。仮に他の職種であっても抜きん出た成果を出せるに違いなく、人格的にも申し分ないし、容姿も驚くほど優れている。運動神経も平均の10倍くらいある上に、頭脳も常に冴え渡っている。それなのになぜ、こうも自分に自信を持てないのか。もしや、幼少期に何かあったのか? という疑問を持っていた。…自分で書いててちょっとこれは厳しいな、と思いつつ。