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山椒の実

Category: Books

ソードアートオンライン3-4 フェアリィ・ダンス (川原礫)

終わってなかった、というところから始まる、続編。まーこれ、どーかなー?

内容はまあ、悪くはないかもしれんが、早くもこのシリーズを読み進めるのはやめようかと思い始めている。「通して読んでみようとは思った」なんて書いといたそばからいきなりゴメンだけど。なんつーか、まともな新キャラが美少女だけ、しかも全員主人公に恋心を抱くっていうのがついていけねえなと。そういうのじゃねーんだよな、と。ニーズの違い。シンプルに、ハードボイルド路線に行けばいいのに…。現実とその裏返しである仮想、それぞれの人間関係というアングルはいいんだけどさ。主人公も雑に初期能力が高すぎてどうかと思うところではある。

ソードアートオンライン1-2 アインクラッド (川原礫)

自分が好む犯罪者ドキュメンタリー系の本を小学生の目に触れさせないようにと思って借りた次の本は、ラノベの金字塔。

オンラインゲームの世界に閉じ込められた人々が、脱出を目指して長い戦いを続けるのだが…まあ、これがラノベなんだろうな。1巻は割と楽しめた。設定に引っ張られてたのかな。2巻はちょっとどうかと思えたが、設定の回収で物語を伸ばしたって感じ?

それで、戦いを終えた主人公が現実世界に戻ってくる描写があるんだけど、私は実生活で気づいたことがある。それは、2年間頭髪をカットせずにいると、どのくらい伸びるのかという話。私がアタッチメントなしのバリカンで削った五厘刈りの状態からクッソロン毛になるまでにかかった時間が、まさに2年だ。一度も断髪せずに。今となってはヘアゴムなしでは過ごせない。現実世界に戻った瞬間の人物に関して、筋力の衰えなどは描写があったが、頭髪やヒゲだって気になるどころの話じゃなくなってると思うんだ。

花も刀も (山本周五郎)

幸薄い剣士の話。

こういうのを書かせるとうまいんだな、という典型的な。割と好きだった分野。青空文庫で公開されていたのでiPadで読んだ。こういう休日も悪くないね。

これは天保水滸伝という古典(講談?)がベースになっているらしい。検索したら、この主人公は天保水滸伝で人気を得ていろんな小説や映画などに出てくるような、割と有名な人物だったのね。そういう教養があれば、さらに楽しめたんだろうなー。そりゃアナザーストーリーものを読むのに本ストーリーを知ってた方が面白いはず。

袋小路の男 (絲山秋子)

実りのない壮大? な片想いの物語。男子には共感不能では? この不毛さはひどすぎた。人権問題ですよこれは。男も女もデッドエンドに入り込んで抜け出せない。そんなのってありです?

なんとなく佐藤正午の『月の満ち欠け』を思い出した。男子が同じことを書くとああなるんだろうか? いやステレオタイプ丸出しな感想ですみませんけども。

同じ事実を別の描き方をしたアンサー版? もあるので、二度楽しめるのは美味しい。この手法はいろんな小説で使えますね。むしろ小説のみならず。例えばゲームならタワーディフェンスに対するタワーオフェンス、みたいな話。

小僧の神様 他十篇 (志賀直哉)

古典的文学作品を読んでみようと。この本は短編集ということもあって読みやすいし、名の知れた代表作が複数入っているので、古典的名作の入り口にオススメかな。現代人が読んでも文章がキレイで内容も深みがある。

異常なくらいの文章力の高さと、家族内の関係からの影響の強さ。あるいはスケールの小ささとのアンバランス? が凄いと思ったねえ。

『流行感冒』は現代に通じるテーマだが、いくつかのファインプレーがあって、いい話になった。表題作『小僧の神様』のオチ(突然作者が出てきて解説)は正直良いと思えなかった。

開けられたパンドラの箱 (月刊『創』編集部)

相模原市の障害者施設で重度の障害者19人を殺害した、その犯人についての本。日本にとっては津山事件(30人)以来の大人数かな。京アニの事件で大幅に更新したのは記憶に新しい。まあ人数多いのって火災とか毒殺みたいに事前に被害規模を予見できないやつが多い中、19人を刺殺というのは常識を超えている。日本の犯罪史に残された巨大なトピックになった。犯人はその後、死刑が確定している(この本の時点ではまだ裁判が終わっていない)。

ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ (アンジー・トーマス)

高校生? か何かの課題図書だったのかな。図書館とか本屋に並んでいたのを見て、しばらく気になっていた。大人が改まって読むのは気恥ずかしさを感じたけど、侮れないんだよなという思いもあり、どうしても気になって読んでみたら…

なかなか激しい話だった。長いけど、かなりしっかりじっくり読ませる。名作だと思ったよ。まあストーリーの移り変わりに関しては若者向けっぽさはあるので、我々オッサンが読むとどうしても、もうちょっと若い頃に読みたかったな…という感想になってしまう。

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで (市谷聡啓, 新井剛)

ソフトウェア開発の現場の物語。物語というか、スクラム開発の紹介を物語風にやっていく。ゴールドラットのザ・ゴールのような、と言えばわかりやすいかな。

私も開発者で、スクラム風なやりかたで仕事をしている。スクラムそのものではない。スクラムマスターとプロダクトオーナーがいて。全体的にはなかなかいいものだ。ただ立場としては内製システム開発なので、この本のような受託開発の事例とは異なる面が多いかな。

実際のスクラムマスターは優秀な開発者でもあったが、この本のように会社を離れてしまった。この本のように、と書いたが無論、喧嘩別れではない。スクラムマスターというのはどうしても、そういう習性になるのかもしれないね。

今日ヤバイ屋台に行ってきた (坪和寛久)

YouTubeの人気チャンネルで、私もよく見ていた『今日ヤバイ奴に会った』の人の初の著書。動画やインドや自分の人生の一部についての文章がある。

実際コロナで世界がヤバいことになってから見る頻度が減っていたんだが、本が出たらまあ、買うよね。カーンさんのこととか、あの謎のドジっ子お姉さんの店とかも載っている。ただこの本は動画の面白さには勝てないかなー。一応チャンネルの説明をしておくと、インドの屋台の動画を出してくれているチャンネルね。まあ、料理動画の一種よ。パンを自作してた頃は、このBGMを頭の中で鳴り響かせながらこねていたなー。

地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団 (森功)

積水ハウス事件で有名になった地面師の世界を追った話。

すげー世界もあったもんだな。他人の土地を勝手に売って儲けてしまう。まあ詐欺の一種なんだけど、死にそうで身寄りがない土地持ちの土地が狙われやすいのかな。相続人がいなければ競売にかけられて国庫に入るべきお金が詐欺師たちの懐に入るという感じ?

いろんな手口がありつつ、なぜか捕まらないし、捕まってもすぐに釈放されたり、割と微罪なのよね。金額は大きいんだけどな。おそらく詐欺師も普段は普通の不動産ブローカーみたいな人間なんだろうな。それで合法に行けないけどやれそうな時にやっちゃう、みたいな?