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山椒の実

Category: Books

死刑執行人サンソン – 国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (安達 正勝)

フランス革命期にムッシュー・ド・パリつまりパリの死刑執行人を務めた人物の伝記。いろいろあったみたいですね。以前にフランス革命の本を読んで、そこで紹介されていたので興味を惹かれて読むことにした。激動のフランス革命を象徴するような人物ではある。

医者も兼ねていたらしく裕福ではあったが蔑まれ続けてきた存在。長らく残虐な刑の執行に心を痛めて。それがギロチンの発明と革命期と恐怖政治の間の無秩序な大量の死刑に遭遇する。苦悩しつつも敬愛する国王や王妃すらもギロチンにかけ、職務を遂行していく。彼の願い…死刑廃止…が実現するのはだいぶ後の時代になってからのこと。

死都日本 (石黒耀)

クライシス系の本。火山の破局噴火を扱ったもので、割と話題になっていたと思う。いろいろな部分で示唆的ではある。決してスカッとする話ではないが。

神話の解釈とか国民性みたいなものはうまく書けているし、突拍子もないような内容の部分もすんなり読めた。

実際にこの本では日本がほぼ滅亡する。それどころか北半球が壊滅みたいなレベルで。その中でも主人公(?)が奥さんを助けに行くところなんかもリアルに書いていて、なかなか良かった。しかも時間軸で見るとこれ発生から24時間だもんな。かなり詰め込んだ。がんばった。

延長50回の絆 中京vs崇徳 球史に刻まれた死闘の全貌 (中 大輔)

高校軟式野球で早くも伝説となっている2014年の準決勝、延長50回までやった試合とそれにまつわる何やかやを描いたノンフィクション。高校野球で軟式というのがまあちょっとマイナー感がありますが、まあどんなマイナーなスポーツでもそうなんだけど、トップの高校は相当真剣に取り組んでいるものです。

この本はまず「延長50回」という言葉の神秘さですよね。次に全貌を知っていくとこれどうなのよ、となる。私としては、そこで野球人生が終わるんであれば最後までやったほうがいいと思うけど、まあいろいろしっくりこないところはあります。

火星の人 (アンディ・ウィアー)

SFの傑作。あの映画ゼロ・グラビティにも似た。単純に、火星に単独で置いてかれた青年がサバイブする。余計なものを一切省き、それでいて描ききる。すげー。おれは前からこういう話を読みたかったんだよ。これだよコレコレ。非常にリアルなSFね。ホンモノの。まじで最高だわ。

まず主人公のキャラクターだ。いかにもNASAにいそうなのエンジニア。共感が持てる。こうありたい。そして環境。あとクルーとか地球にもいろいろあるんだけど、やはり火星という環境のリアルと主人公のリアル。これがしっかりしているから安心して読めるんだ。奇想天外な話や展開なんて必要ない。SF小説家というのは魅力的なキャラクターをただその環境と法則に置いて、みんなが自然に行動する。サイエンスだ。それがSFの真髄なんですよ。

紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている (佐々 涼子)

石巻の日本製紙の向上が津波に飲まれて復旧するまでを描いたノンフィクション。壮絶な話ですけど、よく書けてます。

この本を読むきっかけとしては、成毛眞(MSKK元社長)が書いた「メガ」という本(写真集?)を読んだんですね。それ自体はあんまり楽しめなかったんだけどとにかく読んでたら、抄紙機のところでこの本について触れていたんですよ。それで興味を惹かれて読んでみた。

自分の子どもにも紙について語ってあげたくなったよ。「おまえらが読む本の紙にもなぁ、技術が詰まってんだよ!」

ボクはファミコンが欲しかったのに (岐部 昌幸)

おっさんホイホイ小説かな。昭和の小学生の日常を描く。まあ好き嫌いは別れるかもしれない。私はちょっと居心地が悪いというかなんというか…まあ我々はなんだかんだでファミコン世代だからね。いいよね8ビット時代。著者はこれ、セガ派か。セガ派ってのは曲者が多くてね。大学の同期にもセガが好きなゲーマーで、そのままセガに就職した奴もいたなぁ。いまどうしてんだろ。

今の子はDSか。スマホか。うちはまだ買い与えてません。ゲームやるなら同じゲームをおれもやりたいと思っている。軽くひねってコテンパンにしてやるってんだよ。

歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子闘病の十年 (永田 和宏)

歌人にして生物学者の著者が妻の闘病生活を描く。和歌を織り交ぜながら。日経のコラムかなんかに本人が書いてたのが、この本を借りてみた動機。一家で歌人だったんですね。私も我が子がポエムっぽい独特の表現方法を持っていると感じることがあるが、仮に将来ポエムで生きていきたいという話になったら…まあそのときは家族会議だわな。私には測定できない種類の才能。

なんというか、どう死ぬのがいいのかな、と読みながら思ったことであった。自分としては家族よりも先に死ぬだろうとなんとなく思っているので、残される状況というのはあまりピンとこないという要素もあり、先に死ぬ前提でシミュレーションだよね。耐えられる苦痛であれば顔に出さずに耐えてみせようし、耐えられない苦痛であればさっさと死にたい。結局はそれだけだ。

スコット親子、日本を駆ける: 父と息子の自転車縦断4000キロ (チャールズ・R. スコット)

日本縦断にチャレンジした親子の話。父は米国人のインテルの法人営業、母は日本出身の国連勤務、長男は8歳…というエリート一家だったが、ある日冒険を思いつく。父子で自転車で日本を縦断しようと。まじですか。インテルでは無給休暇が年に2ヶ月まで認められているらしい。その2ヶ月を使った冒険。認められてるって言っても無給だからなー。あとリーマンショックの直後で、クビになる可能性もあったらしい。

前後に連結した自転車があるみたい。後ろに子供が乗り、気が向いたらこぐことができる。テントを含む重い荷物。過酷な戦いがはじまる。原題はRising Sonっていうね。まー息子の成長のためと言いつつ自分のためでもあるんだよな。息子に対する苛立ちも非常に分かる。

孤児列車(クリスティナ・ベイカー・クライン)

その昔、アメリカで孤児を集めて里親を探しに走った孤児列車というものがあったらしい。確かに慈善事業なんだけど、家畜の品評会のようなものを受けさせられる子供には残酷でもある。その歴史的事実を元に記された小説。売れて評判が良いらしいということから、恐らくハッピーエンドになってみんな救われるんだろうなと思って読むことにした。やはりバッドエンドで終わる後味の悪い小説は読みたくないもので。

その地獄から地獄へと向かう旅路。受け入れる里親は里親としての責務を果たさず、単に無償の労働力として扱い、孤児の人生をすり減らしていく。そして行き着く先で出会った救い。人生と人生の交錯。いろいろと考えさせられた。ヘビーではあるが割と安心して読めるところもいい。

2040年の新世界: 3Dプリンタの衝撃 (ホッド リプソン, メルバ カーマン)

3Dプリンタが今後どのように生活を変えていくのかを語った本。使い方ガイドとかそういう話ではなくて、こういう技術があってこう発展しているから将来はこういうことができるようになる、という感じの書き方。

中身を読んで、今後起きる革命について思いを馳せた私は、半分ほど読んだところで部屋を歩き回りながら物思いに沈み、そして安い3Dプリンタを発注するのだった。まあ発注したものは入荷が遅れたため、まだ来てないんだけどね。でも発注後はその日に備えて123D Designでモデリングの練習に明け暮れる日々。これがなかなか難しい。結局残り半分を読まずに図書館に返却した。3Dプリンタで遊んでああだこうだという話に関してはまた別の機会に語ることがあろう。その過程で少しはソフトウェアを書いたりすることもあるであろう。