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山椒の実

Category: Technology

世界失敗製品図鑑 (荒木博行)

多くの金と労力をかけて失敗していった製品たちを振り返って小賢しく分析を加えた本。懐かしいものもあり、実際に私が買った製品もある。あったなあ、と。そうすると、一概に失敗したとも言い切れないんじゃないか。

私は今までクソ製品も買ってきたけど、そういうマイナーな、スケールの小さいクソ製品はこの本には出てこない。でかい話を選んで、大企業のやつばかり。しかも反省をもとに後継機が大成功していたりするし、悲壮感はない。

日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術

いやなんで2017年のを読んでんのよ。

と言いたくなるのだけど、最新のものではなく答え合わせの途中に近いような予測を見ることにも、意味はあるだろう。川崎が初めて大きなタイトルを取ったこの年を考えるのは、ほどよい感じではないかな。中村憲剛がグラウンドに突っ伏して泣いたあの日、俺たちが描いていた未来図。あの時J2に叩き落とした大宮がJ3まで落ちた挙句レッドブルに買収されたり、千葉はJ2に定着していまだに…

LLMという言葉はまだGPT-1も出てきてない頃。ベースになったTransformerが発表されたのが2017年と言えば感覚が掴めるかな? 機械学習だ、強化学習だ、囲碁将棋のAIだ、などと言われていた頃だね。

「消せるボールペン」30年の開発物語 (滝田誠一郎)

フリクションボールの開発秘話。断片的に知っていた、英雄達の物語。苦節30年。技術とアイデアで人類を良き方向に導いたその歩みは、まさに英雄伝説と言えるだろう。

温度で色が変わる温度計とか、子供の頃に持ってたなあ。その流れをくむのか、このフリクションボールは…

ちょっと高いんだけどね。あと署名するときとかに使えないから、そういう難しさはある。私はボールペンで書くときはそもそも消さないし。考えるときはvscodeやgoogle keepで書く。

技術は戦略をくつがえす (藤田元信)

近代の戦史において、技術の向上が戦略の上を行くようになったという事実を元に教訓を得ていく話。割と興味深いと思った。自分は技術にばかり目を向けていたんだけど、戦略との対比という考え方は思っていなかったので。

ちょいちょい良い感じの雑学を絡めていくのも好感が。「タンク(戦車)」の語源とかね。ちょうど今の仮面ライダーで「ラビット」「タンク」「ベストマッチ」というのがあるらしくて、「ラビット」はウサギだよ、「タンク」は水槽とか戦車…どっちなの、みたいな話をしていて、私はさっそく、戦車の「タンク」の語源について子供に語って聞かせてあげました。まあ信じたかどうかは不明ですね。普段、よく真面目にデタラメを教えてたりするんで。

テクノロジーは貧困を救わない (外山 健太郎)

マイクロソフトのインド研で働いてテクノロジーと教育について考えた本。文章が多い。その割には言いたいことは最初の数ページで終わっている気がするのだが。で、このタイトルよ。私はテクノロジーの信者ですからね。テクノロジー以外のものが貧困を救えるとでもいうのか。と思って読み始めたのだけど、、、

テクノロジーは色々なものを増幅させる。勤勉を、怠惰を、快楽を、苦悩を。かなり納得のいく論だった。基本、手綱を握るのは人間であって、テクノロジーはそれを効率化させるための手段に過ぎないのだよ。言いたいことは単純なものであって、それだけにいろんな実例や考察を加えないと説得力が薄くなることは事実。それにしても文章が多かったね。後半はさすがに流し読みだった。

2040年の新世界: 3Dプリンタの衝撃 (ホッド リプソン, メルバ カーマン)

3Dプリンタが今後どのように生活を変えていくのかを語った本。使い方ガイドとかそういう話ではなくて、こういう技術があってこう発展しているから将来はこういうことができるようになる、という感じの書き方。

中身を読んで、今後起きる革命について思いを馳せた私は、半分ほど読んだところで部屋を歩き回りながら物思いに沈み、そして安い3Dプリンタを発注するのだった。まあ発注したものは入荷が遅れたため、まだ来てないんだけどね。でも発注後はその日に備えて123D Designでモデリングの練習に明け暮れる日々。これがなかなか難しい。結局残り半分を読まずに図書館に返却した。3Dプリンタで遊んでああだこうだという話に関してはまた別の機会に語ることがあろう。その過程で少しはソフトウェアを書いたりすることもあるであろう。