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山椒の実

Category: Nonfiction

ねじれた絆-赤ちゃん取り違え事件の十七年- (奥野修司)

沖縄で起きた赤ちゃん取り違え事件を追う。看護師のミスで取り違えられて、幼稚園年長の6才で発覚し、交換で元に戻そうとしながらもなかなかうまく行かずに…文庫本の追加まで含めると最後は30才くらいまでなるから、17年どころの話ではない。

興味深い話ではあるんだけど、読むんじゃなかったと後悔した。いや、悪い本だと言っているわけではないです。このテーマでこの分量を読んでしっくり読み終われるほど成熟した人間になってないんだろうな、オレ。

無戸籍の日本人 (井戸 まさえ)

いろいろな理由で戸籍に登録されずに過ごすことになった人々が、どうにかして戸籍に登録したりする話。著者は元衆院議員で、自身の経験からずっと戸籍を得たい無戸籍の人の手続きを助けてきたらしい。戸籍がないと住民票やパスポートの発行も難しく銀行口座も開きにくく(不可能ではないみたい)、教育や就職にも不都合があるケースが多いらしい。義務教育すら受けられていないケースも多いとか。

まあ親にどんな事情があるとしても、無戸籍となった子供に責任があるはずもなく、責任のない人物が不利な扱いを受けるというのは正義に反する。そして親の事情というのもいろいろで、出生届を出せなかった親に責任を負わせるべきとは思えないケースも多い。

紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている (佐々 涼子)

石巻の日本製紙の向上が津波に飲まれて復旧するまでを描いたノンフィクション。壮絶な話ですけど、よく書けてます。

この本を読むきっかけとしては、成毛眞(MSKK元社長)が書いた「メガ」という本(写真集?)を読んだんですね。それ自体はあんまり楽しめなかったんだけどとにかく読んでたら、抄紙機のところでこの本について触れていたんですよ。それで興味を惹かれて読んでみた。

自分の子どもにも紙について語ってあげたくなったよ。「おまえらが読む本の紙にもなぁ、技術が詰まってんだよ!」

歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子闘病の十年 (永田 和宏)

歌人にして生物学者の著者が妻の闘病生活を描く。和歌を織り交ぜながら。日経のコラムかなんかに本人が書いてたのが、この本を借りてみた動機。一家で歌人だったんですね。私も我が子がポエムっぽい独特の表現方法を持っていると感じることがあるが、仮に将来ポエムで生きていきたいという話になったら…まあそのときは家族会議だわな。私には測定できない種類の才能。

なんというか、どう死ぬのがいいのかな、と読みながら思ったことであった。自分としては家族よりも先に死ぬだろうとなんとなく思っているので、残される状況というのはあまりピンとこないという要素もあり、先に死ぬ前提でシミュレーションだよね。耐えられる苦痛であれば顔に出さずに耐えてみせようし、耐えられない苦痛であればさっさと死にたい。結局はそれだけだ。

スコット親子、日本を駆ける: 父と息子の自転車縦断4000キロ (チャールズ・R. スコット)

日本縦断にチャレンジした親子の話。父は米国人のインテルの法人営業、母は日本出身の国連勤務、長男は8歳…というエリート一家だったが、ある日冒険を思いつく。父子で自転車で日本を縦断しようと。まじですか。インテルでは無給休暇が年に2ヶ月まで認められているらしい。その2ヶ月を使った冒険。認められてるって言っても無給だからなー。あとリーマンショックの直後で、クビになる可能性もあったらしい。

前後に連結した自転車があるみたい。後ろに子供が乗り、気が向いたらこぐことができる。テントを含む重い荷物。過酷な戦いがはじまる。原題はRising Sonっていうね。まー息子の成長のためと言いつつ自分のためでもあるんだよな。息子に対する苛立ちも非常に分かる。