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山椒の実

Category: Internet

SNS暴力 なぜ人は匿名の刃をふるうのか (毎日新聞取材班)

2020年の本。あれから5年。悪化してるよね。どうだった?

いろんな物語を集めた、マスコミの取材班が作ったありがちな本。出自的に常識的な内容になることから、面白さはないが安定的に時代を理解できる、という利点がある。NHKの本とかは結構パンチがあることもあるんだけどね。

読んでいていろいろな出来事を思い出す。ネットの世界は時間が過ぎるのが早すぎて、もはや矢だ。光陰さながらだ。…というか、そのものだが。

思うに、人類の脳がポンコツに過ぎなかったということを白日の下にさらしたのがSNSという見方もできるのかもしれない。学問の力でごまかそうとしたものの、過去最高レベルの学力を誇る現代でもダメだったワケで。こりゃディープステートの陰謀とかで片付けられたほうが絶望は浅い。

なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図 (渡瀬裕哉)

選挙プランナー? っていうのかな、そういう活動をしてきた著者が現代の分断を説明する。米国でも活動してきたらしく、米国の事情にも詳しく触れている。この本は全体的に、選挙中心の考え方でできている。選挙と民主主義が世界を構成するという世界観で書かれているというわけだ。

序盤のつかみが非常に良かった。選挙の基本原理は分断を煽ることだ、と。現状のレギュレーションで成功するためには仕方のないことなのか。それがつける傷は深いぞ。こりゃ罪深い。罪深い必然。民主主義の行き着く先なのだ。あたかもエントロピーが増大するかのように? マジかよ…

サイバースペースの地政学 (小宮山功一朗、小泉悠)

2024年のチバシティ・ブルーズ。まあギブソンあんまり合わなかったんだよね、ニューロマンサー、途中で挫折して最後まで読んでないんですよ。若かりし頃のちょっぴり痛ましい思い出。つまり同じSF者同士でも、ギブソンに毒されてるやつとは話が合わない可能性があるんだよな。

SF風ノンフィクション? モキュメンタリー風にしても良かったかなあ。語り口は果たして私には合わなかった。他に何の感想も浮かばない。書いてあることには特に意外な内容もなく、淡々と知られている事実をなんかそういう系の文体で綴っただけという。それでも、前半は割と良かったかな。キレまくっている海底ケーブル、ケーブルシップが希少で修理が大変、みたいな。実際に海底ケーブルが切れると大変だろうなっていうのは思う。

インターネット文明 (村井純)

古代インターネット文明では、男も女も暇さえあれば早朝から深夜までレスバに明け暮れていた。この本は、そのような文明史について記述している。まったく最近の若いもんはネチケットも知らんでのおw

なんていうわけではなく、インターネットあれこれを書いている。昔話から最近の話まで。インターネットもできてからもう50年も経つんですね。そのうちウェブが30年。数字に衝撃を受ける。私がインターネットに初めて接触したのは…と語りたくなる数字だ。

ヴィクトリア朝時代のインターネット (トム・スタンデージ)

電信の歴史を辿って今のインターネットを思う話。ネットワークはいつからある?

このタイトル(victorian internet)はもしかして、ヴィクトリアズシークレットと掛けてるのかな? 内容は、かかってない気がする。

通信塔を使った光学信号の伝達からモールス信号による電信に移り、電話の登場で廃れていく。その間の電信時代の壮大な物語を手短にまとめている。かなり興味深い話だった。

私もエンジニア歴はそこそこ長いのだが、モールス信号を解さない。世代的にはもうそんな感じで、自分の頃にはもはやエンジニアが実用する場面はなくて、あるとすれば趣味の領域だった。まあ領域を限定すれば実用している人々はまだいるんだろうけどさ。エジソンの少年時代とか、そのあたりの時代だからなあ。

ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち (吉川徹)

児童精神科医による現代の病? についての解説。あまり知見も確立していない分野であることもあり、いろいろなことが羅列されてとっ散らかった印象。つまみ食いして読むことを前提としているのかも?

それでも、大事なことは見えてくる。自分を省みて、考え直させてくれる内容もあった。

最近書かれた本なので、最近の話題にも触れられている。COVID-19の影響であつ森が流行ったとか、そういうの。

自分の子供もゲームは大好きだし、親としてはやりすぎは気になるところ。そもそも子供は約束を守れないものであるという話には感銘を受けた。実際うちでも守れていないが、それに対する怒りは感じる必要のないものだった。男子なら約束したことは実行されたも同然、という感覚があるんだけど、それは大人の男に限定の話だった。…男だの女だの言うと最近は良くないのかな?

正義を振りかざす「極端な人」の正体 (山口真一)

高校から大学にかけての時代、私は中庸でありたいと思っていた。今でもそう思ってる。この単語は「凡庸」と混同している人も多いのだが。本来の意味は、偏らないこと、そして変わらないこと。それを保てなくなることをこそ、私は恐れるのだ。自らの老いにより判断力は日に日に鈍り、ネットの気を利かせたお節介なパーソナライズにより受け取る情報は偏っていく。それに抗うために、この本から何らかの示唆が得られるかどうか。

別に応援してるスポーツのチームの情報をパーソナライズしてくれるのはいいんですよ。今は競技で括るような雑なカテゴライズじゃなくて、チームで見てくれるし。ただ、時事問題みたいなものはもっと広く知っておきたいわけよ。いろんな意見と対立軸、論点を押さえておきたいと。

ネット狂詩曲 (劉 震雲)

中国というちょっと特殊なネット環境にある国家の中で、ネット上で話題になった事件を集めてつなげた小説。割と楽しめた。

まあ現代にもなってすごい世界もあったもんだね、という気持ちになる。序盤は翻訳の問題か著者の問題か、説明的な文章が並んでいて文章力に不安を感じてしまったが、後半はかなり良くなった。

中国語と日本語で共通の言葉があるんだけど、言葉のニュアンスはかなり違うものがあるんだね、とも。「矛盾」とかね。

たぶん中国本土では「あーあの事件か」ってなって楽しめるものなんだろうと思うけど、日本人にとっては共通の話題ではない。そこに寂しさも感じる。まあ日本でもネット上で話題になった事件って色々あるから、こんな感じでまとめて小説にしてしまう作家が出てくるんじゃないかと思うね。そういうのって割とウケるんじゃないか? しかも新しいネタは次々に出てくるわけで、シリーズものにして楽しんだりさ。

ネットで人生、変わりましたか? (岡田有花, ITmedia News)

いわゆる「IT戦士」として人気を得ていたITmediaの(元)記者の記事を中心に2007年にまとめたもの。解説も2007年時点のものなので、古臭さは否めないところ。2つの時代(元記事の時点と解説の時点)の当時を交互に思い出しながら読むしかない。はてな押しが激しいがまあ、当時はそういう感じでしたしね。

おおまかには、ネットに救われた個人を描くシリーズ、と言えばいいのかな。クリエイターとかブロガーとかビジネスが不得手な起業家とか。

ファーストペンギンの会社—デジタルガレージの20年とこれから

デジタルガレージの社史みたいな本、ということだが、インターネットビジネスにおける日本のエース、伊藤穰一(Joi)とその仲間たちの昔話や座談会記録みたいな本。前半部がデジタルガレージの社史っぽい文章で、後半部が座談会。

ファーストペンギンというのはよく言われる言葉で、海に飛び込む1羽目のペンギンの勇気を褒め称える言葉。餌を得るために恐怖を振り切る。ためらいなく先陣を切る勇敢さを評する表現。

前半部はさらっとしたものだったけど、それなりに楽しく読めた。IT業界らしく、めまぐるしい。栄枯盛衰。カカクコムや食べログは一線で続けてるけど、infoseekは楽天に移ってからはさっぱり? テクノラティは以前は私もよく使ってたけど(日本版は)今はサービスしてない。ブログ検索はGoogleのやつもほとんど死んだも同然になってるし、流行らないんだろうな。kakaku.comがビジネスになって買収された流れは当時けっこう衝撃あったよね。