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山椒の実

Category: History

不格好経営 (南場智子)

DeNAの創業者が語る。まー創業者の言葉ってのはだいたい面白いよね。DeNAといえばビッダーズやモガべーならぬモバゲーです。私はソシャゲもやらないしDeNAの顧客ではなかったんだけど、今や彼らはブレイブサンダースのオーナーですからまあ、今は私も顧客なのか?

この本は失敗談を赤裸々に笑い語ったという形式ではあるが、成功した企業なので最後はまあ…そうなるよね。悔しくて今でも根に持っている…みたいな話はないし、失敗談もありがちな話が多いかな。結局は人が頑張ってどうにかするしかない。頑張ったんだねぇ。

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (鴻上 尚史)

特攻隊で9回出撃して生き延びた、佐々木友次さんの話。そういう人もいたんですね。すげー。その話は生々しい。

素人の司令官に宴会に呼ばれたせいで出撃することなく死んだ隊長。その隊長が残した爆弾を解き放つ仕掛けを使い、爆撃を成功させて戻る。すると上の人が面罵するわけです。で、とにかく死んで来いと命令されて何度も出撃するが、色々あって戦果は上げつつも帰還を繰り返す。

その司令官は「自分が最後の機に乗って特攻する」と常々宣言していたが、戦況が悪化すると真っ先に味方を騙して勝手に逃亡するというね。

勲章 知られざる素顔 (栗原 俊雄)

勲章に関する本。なんでこんな本を読もうと思ったんだか思い出せないが、とにかく読んだわけだ。知識はあまり入ってこなかった。

著者としては勲章に対して批判的な考えを持っているのかな。そこはひねくれているとも感じられるが、一定の理もあるなと思った。

つまり、軍人向け・公職向け・一般向けで分けていいんじゃないかと思うね。現状、公職と一般がごちゃ混ぜになっているから問題になる。公務員続けた人と民間で大きな功績があった人ってのは直線上で上下を決めることはできないんじゃないか。軍人にしても同じ。それは交わらない別の軸での評価であって。それから職責の軽重があるが、そこは報酬で報いていると思えば、勲位で差をつける理由がない…んだろうけど、だが総理大臣みたいな人と同じ勲章をもらうわけにはいかんよね、という感じもあるでしょ。職責を超えた率というのがあったとして、その率が勲位の重さに比例すればいい…のかな。

父の詫び状 (向田 邦子)

日本三大邦子の一人、向田邦子の代表作ともなったエッセイ集。文章の達人が、自分の子供時代を振り返る。昭和だよね。平成が終わりに近づいて、昭和を思う。そしてこの本を読めばそこに昭和がある。

昭和から平成にかけての時代は人類史にとっても激動の時代だと認識しているんだけど、どう捉えたら正しいのかまだ戸惑っている部分が自分にはある。昭和という時代を認識するにあたって読んでおきたい本ではあった。

暴力が終わる時代? という捉え方ができるかなと思った。今時はこんな風に子供に暴力を振るったら捕まるわけだよ。

「日本の伝統」の正体 (藤井 青銅)

日本の伝統と言われるものは数多いが、それほど長く続いている伝統ばかりではない、という事例を次々に紹介する本。雑学として多くの事例を知ることができて役に立つ感じ。

自分は伝統が長ければ尊いという思想はなく、むしろ新しいものの方が良いはずでしょ、という思想に近い。だけど歴史的なものを無視するつもりはなく、平均的な人よりは歴史が好きっていうのもある。というわけで楽しく読むことができた。

なるほどと思ったのは正座の項。正座が発明されて丁寧なものとされたのは、普段思っているよりも最近というね。普段から実に馬鹿馬鹿しい座り方だとは思っていたが。和式便器の座り方は足首の柔らかさとか脚力全般を鍛えるには悪くないと思うけど、正座はメリットが何もないよね。←実際はウォシュレットなしで生きていけないし、和式便器を好んでいるわけではないですが。

ロビンソンの足あと 10年かけて漂流記の家を発見するまで (高橋 大輔)

ロビンソンクルーソーのモデルとなったセルカークの暮らした場所を探る冒険。前半のストーリーが期待を高め、後半の発掘作業が学問と歴史の奥深さを知らしめる。

いい本を読んだなー、という感想を持った。考古学は私が考えていたほどいい加減なものではなかった。ここまで探求した者だからこそ書ける、最後の描写の臨場感ね。

セルカークその人は気難しい船乗りで、乗ってたのは私掠船という公認海賊。あまり近くにいて欲しくない人物像ではある。

知られざる皇室外交 (西川 恵)

天皇が皇太子時代から含めて外国に赴いたり、あるいは客人をもてなしたりする。その中でどのように振る舞ってきたのか、ということを記した本。

まあこれ、すごい話ではあるよね。一人(皇后もだから二人か)の人間にそれをさせて、その上で成り立つものがある。常人にはとても真似できない。

あと、自分も節目節目で短歌でも作ろうって気になるよね。これからスポーツ観戦の感想とか本の感想を書くたびに短歌作るようにしようかな。

心ある人の心を知らぬまま これまで僕は生きてきた

上杉謙信 (吉川英治)

青空文庫シリーズ。吉川英治がラインナップに加わり、俄然強力になった青空文庫ね。三国志に行く前にいくつか読んどこうと思っている。

この本を読んでまず驚くのは読めない/意味の分からない熟語があることだ。最近だとこういう経験は少ない。日本語なら難しそうな熟語でもなんとなく意味が分かるものだが…「各二の字点」? 「かくにの…」? どーゆー意味なの?? ただしこれはビューワの問題だった。「二の字点」は「々」の旧字か何かかな。Unicodeにありそうだけど…「〻」これか?? 読み終わったあとまで分からなくて、乱されてしまった。各々(おのおの)と読むべきだったのだ。まさかね。

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった (マルク・レビンソン)

あの、輸送に使うコンテナで世界に革命を起こしたマルコム・マクリーンの物語。…を中心に、コンテナ革命について述べた歴史書。著者は多くのことを調べ、多くの文字を費やしているので何度となく眠くなった。だが考えてみれば、これは確かに大きな革命だ。産業構造を大きく変えて、安いものを大量に使えるようになった。ユニクロの服を着ているのも、中国産の日用品が安く買えているのも、コンテナによる流通革命のおかげなんだよね。

平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世 (桃崎 有一郎)

平安京というものに関する研究結果と考察。平安京なんて最初からいらんかったんや!

サイズもおかしいしデザインもおかしく使いにくい。フルに完成させることもできず捨てられて今に至る。いろいろとおかしなところはあるみたいですね。朱雀大路の話とか知らなかったな。何も考えずに模倣でデザインすると痛い目に遭うって話だよね。これはもしや、ソフトウェア開発のエンジニアにとっても耳に痛い話?

自分はあまり知識がないもので、二条城が昔は内裏だった土地ってことなのかな? 今の御所とか祇園とかはどういうところなんだ…