とりあえず、凄い本だった。こういう本が読みたかったんだよ俺は。そういう、冒険でもあり正義でもあり歴史でもあり…まさにこれぞ名著。生きててよかった。

第二次世界大戦でゲシュタポのコロスリストに載り、日本軍とも戦った白人の英雄が失明し、小説家となり、視力を取り戻したのちにやったこととは…薬と顔料で皮膚の色を変え、黒人として生活を体験して日記を公開するという…行き先は、人種差別が激しかったころの、その中でも最も苛烈な米国南部。何が起きたのか。のっけから興味津々よ。記述が生々しい。現代にも通じまくる。すげーわこいつ。マジで。私はなぜ今までこの本を知らなかったのか。

まーね、相手の立場に立たないと気づかないもんだよね。それは真実だ。正義を為すにはこういう体験が必要だ。万人にはできないから、文章の達人がこういうことをしてくれるのがベスト。まさにそのベストがこの本なんだよ。そのためにこの著者はこの本の発売後、万難を受けることになる。世間に散らばる白人差別主義者の怒りを買ったのだ。

妻子をメキシコに逃がし、親まで引越しを余儀なくされる。まあこの著者の家族もよく耐えたよね。実際は荒れたんだろうと思うよ。正義のためとは言え、理不尽だもんな。俺なら激しく反発するだろう。家族に犠牲を強いるのはあんまりだ。

しかしねえ。こういうことしてる国に惨敗したのか、我が日本は。当時の日本だって褒められるような状態じゃなかったとは思うけどさ。そうそう、米国人でも、軍人は人種差別しないという話もあった。まあそうだろうな。文字通り命を預けるシビアな世界ではこういう差別みたいなお遊びをやっている暇はなかろう。