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山椒の実

Category: Mystery

剣持麗子のワンナイト推理 (新川帆立)

あの弁護士の短編集。謎の男が謎を呼ぶ。眠らずに働く。寝不足はいい仕事の敵だぜ。美容にも良くねえ。

常連の刑事は何なんだ。無理があるのでは。終盤の、謎の男の謎が明かされていくところも、うーん、なんというか。

やっぱ長編のほうがいいんじゃないの。そう思ったが、運動会の回は割と良かった。まあ内容は良かったが推理小説じゃないよな、というたぐいの良かった、だが。

あとは、弁護士が忙しい世界なんて、ろくなもんじゃねえな。そんな感想も。推理小説の世界では、私立探偵は家賃の支払いに窮するほど依頼がなくて暇…というのが定番だが、弁護士もそのくらいでいいんじゃないのかね。

鍵のかかった部屋 (貴志祐介)

密室と泥…防犯コンサルタントと弁護士のシリーズ。伝説の空き巣も出てくる。だいたいふざけてるけど、欠陥住宅の話とかはふざけすぎてると思った。

あとはトンチキ劇団のシリーズもある。これもふざけてるよね。またか。毎回誰か死んでんな。人生とは。

そんな密室系推理小説シリーズ。楽しく読めた。密室が密室を呼ぶんだよなあ。多重密室も多発。

スケルトン・キー (道尾秀介)

登場人物の何%までならサイコパスにしても物語が成立するか、みたいな話だった。

サイコパスは推理小説…というかバイオレンス系の小説にはよく出てくるけど、強すぎじゃないか? 本当にそんなに強いのかな。恐怖を感じず、心拍数が上がらない、というのは精神状態が安定しているということが言えるのか、どうなのか。

この小説の中では恐怖を感じないというよりも痛みを感じない、という描写に近かった。

目には目を (新川帆立)

いろいろ違和感を散りばめたミステリ。お前は誰、とかなんで? とかこいつじゃないよねとか、そういう要素が多い。

そして良い本によくある、名乗りが熱いやつだった。痺れたね。そこからラストへの道も良い。全ては一筋縄ではいかない。単純に見えるやつであってもね。

救いのない話ではあった。ないようでいて、あるのか。自力救済の闇を照らす光が。

六人の嘘つきな大学生 (浅倉秋成)

ニンジャスレイヤーのクルーカット回、そしてプロパガンダゲームの兄弟みたいな、就職活動のサバイバルの謎を追う推理小説。人生で一度嘘をついたことのない、オレのような人間には刺激が強いかもしれない。

しかし、こんだけ大掛かりにやって採用少なくねえか? 無理があるだろ。テック部門は普通に採用してて安心したが。コスパとかそういうの、ないのか。

自分の就職活動を思い出す。波乱万丈、順風満帆、このVUCAの時代にあれやこれや。まあ完全にいわゆる氷河期のピークに近い頃だったんだよね。当時から全国エース級のこのオレであっても、なかなかすんなりとは決まらないのが俺たちの時代だ。この段落の中で氷河期ピーク就職ってとこ以外があらかたウソなんすけどね。そんな自分語りをしたがる題材ではある。最後は綺麗にまとまった。しかしオレもよく死ななかったよな。実力があり過ぎて死ねなかった説あるな。

あなたが殺したのは誰 (まさきとしか)

謎を突き詰めて、関係のなさそうな事件の関係を明らかにするシリーズ。今回は誘拐殺人事件、いや殺人誘拐事件と強盗殺人と事故とバブル期の離島リゾート破綻頓挫の末の自殺火事傷害致死駆け落ちと…どうやって関係するんだこれらが。これだけの要素の関連がどうなってんのよ。

いやーすごかった。早合点と勘違いが甚だしいが、突き詰めるべき理由がある。遺体を見つけたところは凄みがあった。捜査能力が非常に高い。

彼女が最後に見たものは (まさきとしか)

いくつかの死をつなぐ糸。家族とのつながり、承認欲求。今回もあのコンビが解き明かしてゆく。幸せとは。

幸せアピールがどれも他力本願というのがまずいよね。ダーリンがあれくれたみたいな。それで承認てのはさすがに虚しくないか? そうでもないのか? 自分が成し遂げたことを誇れよ。自分の力でさあ。承認すんなそんな投稿を。そんな感想を思った。メーカームーブメントが必要だ。全く近頃の若いもんはw

誰もが確固たる自分を持っているわけではないのは想像しているけど、いつまでもティーンエイジャーみたいな人生は過ごせないんだよ人間ってのはよ。ガミガミガミ…

微笑む人 (貫井徳郎)

これはミステリ? なのか? 謎が謎を呼び、予断と推測で悪人を作ってゆく。最後はさらなる謎が提示される。うーむ。証拠もなく心象だけでこんなことをしていいのか。犯人の内面に迫りそうで迫れずに、しかし迫ったことにして終わる。探偵役が小説家ならそれで許されるのか。そんなことあるのか。もうちょっとちゃんと捜査して推理した方がいいと思うんだよな、推理小説ジャンルなら。状況証拠ですらないってのは、どうなんだ。

ただこれがジャンル違いということであれば、話は別であって。解決しない謎を提示して、消えない残響を読者に残せばそれでいいという話でもある。