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山椒の実

Category: Books

名探偵 円朝 明治の地獄とマイナイソース (愛川晶)

幕末から明治にかけて活躍した落語家が晩年に優れた洞察を見せる。神楽坂のあたりが舞台で少しは親しみがある。サブタイトルのマイナイソースはマヨのことでした。

円朝の弟子の息子の駆け出し料理人が事件を回して、円朝が華麗に解決する。元勲系の偉い人との交流もあり。

割と楽しめたなあ。明治の空気感と、小さくて大きな謎解き。

百年の孤独を代わりに読む (友田とん)

フザけた話だよね、代わりに読むってどういうことだよ? まあ元ネタの本は読んだことがなくて、どっちを先に読んだ方がいいかとかあるんだろうな…と思いながらこの本を先に読むことにした。

この本の感想を書きたいところだけど、代わりになってあげたい、と思うことって実際はほとんどないと思うんです。だって経験っていうのは個人の中に宿るものであって、他人が肩代わりしたら意味がないっていうか。個人を形作るべき積み重ね、積み上げを奪うのは良い行いではないんだよね。注射を嫌がるからって代わりにインフルの予防接種受けますか、っていうね。それやって対象者の免疫上がるわけないよね。目的を達成できない。

四日間の奇蹟 (浅倉卓弥)

元ピアニストと天涯孤独の少女の物語、かと思いきや、突然始まるヤラセ劇。いやーこれはヤラセでは? どうなんだ。どっちなんだ。判定に迷いが生まれるぜ。大したもんだ。

つまりこれ、神様はいる、ってことなのか? まさか?

一見矛盾するような気持ちも両立する。ってところは良かったな。矛盾こそが人間らしさとも言えるのでは。名残惜しい4日間の記録は少ない。絶望の物語でもあり、救済の物語でもある。

自分は一人で死ぬのもいいなって思った。

十角館の殺人 (綾辻行人)

10角形はデカゴンと言うらしいです。

館ものミステリの傑作と名高いこの本。孤島でミステリ研の大学生が殺戮の渦に突入する! このデカゴナイトに誰が生き残るのか…?

ミステリの作家名がニックネームなので分かりやすさはあるが、本名で呼ばれる場合に誰が誰よ、というのがある。しかし終盤の名乗りは熱かったぜ。私の中では、名乗りが熱い作品=名作、という公式があるが、それがまたも証明されたわけだ。ふー。エラリイ、君のカードさばきがこんなところで披露されたらもう…

○○○○○○○○殺人事件 (早坂吝)

前代未聞のタイトル当て推理小説。孤島ミステリなんですが。この字数のタイトルがネタバレとなるとしたら? それがこの本だ。

サークルクラッシャーは誰だー、一体誰なんだー!?

最終的には、そーゆーことするんすか。いいんですかそうゆうの? となった。モードが変わったときにイヤな予感はしたんだけどね。そっち行くのかよ、と。しかしこの作品に関してネタバレせずに何か語るのは無理があるんだろうな。説明に不可欠と思えるような、使えないワードがいくつもあるので。メフィストフェレスとか。

誰が勇者を殺したか 勇者の章 (駄犬)

誰殺の3作目。結局これ、推理小説の要素はないんだよな。タイトルはフーダニット丸出しなんだけどね。

ローカル勇者の二つ名を持つ王子とその信奉者たちの物語。1作目と同じ時間軸(?)ですね。

オレは前作(2作目)のほうが好きだったな。今作は結局、勇者勢が弱体化して終わりだしなあ。

しかしファンタジーのこういうのって、どういう構図なんだろうな。現実では好戦的すぎる現生人類が近縁種を絶滅させまくったせいで、魔人的な知性存在がいないわけじゃないですか。一番近くてチンパンジーとかですからね。家畜になっている種はいくつかあるけども。もし現生人類がもう少しおとなしい種だったら、こういう世界は現実であったのかと思うと、SFなんだよね。まあ物理を超えた魔法要素があるから、それがファンタジー? そういう意味ではフォース設定があるスターウォーズはジャンルとしてはSFではなくてファンタジーなのかなあ。

北緯43度のコールドケース (伏尾美紀)

北海道の警察の話。ドクター持ちの女性刑事だが、なかなか専門を明かさない。しかもキャリアじゃないという。刑事課だったり生活安全課だったり、異動も忙しい。陰謀渦巻く警察組織で、この先生きのこるには、何が正解?

誘拐事件と死体遺棄事件と売春組織と捜査情報漏洩と…時間をかけて事件を解決していく。その先にある真実とは?

いやー良かった。いや良くはない被害の多い事件ばかりだけど、小説としては良かった。師匠ー、置いてかないで下さいよー。そうだな、これは繰り返し師匠に置いて行かれた弟子の話でもある。

誰が勇者を殺したか 預言の章 (駄犬)

続編。もうひとりの勇者の物語。前作より良かったかなー。あの日から時間が止まってしまった冒険者たちの、敗者復活戦の話。

普通に考えたら、2作目は魔人側の話だよね。使役動物をうまく使って非力な蛮族を征伐して領土を回復しているうちに勇者とかいうフザけた称号を名乗る暗殺者が現れて、英明な王の命をしつこく狙ってくる。天下統一の偉業を邪魔する蛮族め! それを正々堂々、撃退する話。じゃない。

成功版の勇者と対面するシーンは違和感があった。あそこはルークさんと見間違って欲しかったな。本人だと思うほうがおかしいだろ。ちょっとしか見たことないのに。

殺意の対談 (藤崎翔)

ヤバい人しか出てこない、和やかな対談小説。饒舌な心の声が本文だが。

中でもやばいのは誰だろう。SMLのボーカルかな? いやあれはそれほどでも。じゃありなたんか? トッシーか?

これ作者あの艶ブルマの人か。なるほど。どおりで。だから安心して読んだけど、安心しちゃダメなんだろうなこの話。

誰が勇者を殺したか (駄犬)

あー、ラノベってこんな感じなのね。なるほど、と。共作みたいな表記になってたけど、一人はイラストレーターだった…そうなのか。イラスト集でもあるのか? 絵本のノリに近いんだな。私はKindleの白黒画面で文章を読んだのでイラストの良さは判ずることができず、単に文章の小説として読んだ形。悪くはなかったな。

根性でどうにかなる範囲を超えた根性で根性を根性する。そういう話だった。狂ってる。いや無理だって。無理だと思ったら、そこが限界なんですよという話でもあった。