痛みには性格がある。
包丁みたいに一気に来るやつもいれば、借金取りみたいに、朝の六時にチャイムを連打してくるやつもいる。あの日の痛みは後者だった。しかも丁寧に、玄関ではなく体の内側から。
最初は、腰の奥に小さな釘が一本打ち込まれたみたいな違和感だった。寝返りを打てば抜けると思った。抜けない。布団を蹴って立ち上がると、釘はきゅっと回され、私の中でネジになった。時計は六時十二分。月曜。最低な曜日に、最低な客が来た。
痛みには性格がある。
包丁みたいに一気に来るやつもいれば、借金取りみたいに、朝の六時にチャイムを連打してくるやつもいる。あの日の痛みは後者だった。しかも丁寧に、玄関ではなく体の内側から。
最初は、腰の奥に小さな釘が一本打ち込まれたみたいな違和感だった。寝返りを打てば抜けると思った。抜けない。布団を蹴って立ち上がると、釘はきゅっと回され、私の中でネジになった。時計は六時十二分。月曜。最低な曜日に、最低な客が来た。
炭が、ぱち、と鳴った。
夜番の詰所は、廊下の角にへばりつくようにある。几帳の裾から入る冷えは遠慮を知らず、壁際の火桶だけが、ここはまだ人の居るところだと赤く言い張っていた。
乙丸は、その火桶へ両手をかざしたまま言った。
「わしは今日、三度、死にかけた」
向かいの末成がすぐ食いつく。
「三度とは小さいな。おれなど五度だ。いや六度でもよい」
「勝手に増やすな。六度も死にかけるやつは、もう一度くらい本当に死ぬ」