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山椒の実

マイクロスパイ・アンサンブル (伊坂幸太郎)

音楽イベント関連コラボ小説。こないだも似たのを読んだなー。実際ヘビー級チャンピオンの話が健在だから、同じ世界の話なのかもしれない。

グライダーの物語。エンジンを積んでない飛行物。飛ぶ豚、飛ばない豚、そしてグライダーで飛ぶ豚の3種類がいるってことだな。

カートゥーンじみたナノスパイ大作戦と現実の若手サラリーマンの2サイド構成で物語は進む。猪苗代湖で。

現実編はワリと良かったな。謝罪のプロもいい味出してたし、グライダーの若者も失敗もあったがしっかり成長を見せた。

ある少女にまつわる殺人の告白 (佐藤青南)

インタビュー小説。虐待されていた少女の関係者が東京から来た謎のインタビュアーに語る。児相職員、少女の友人、母親の職場、etc…凄惨な過去を掘り返すことで真実は明らかになるのか。

不穏さはあっても殺人行為自体がなかなか出てこなくて、誰が誰を殺したのか、というところが一つ謎になる。誰であってほしい、こいつは死なないでほしい、と思いを巡らせながら読むことになるのだが、果たして結末は。まさかの…

ラストはかなりのものが来た。それぞれの末路、インタビュアーの正体。衝撃的で良かった。インタビュー小説にはこれがあるからなー。

巻きぞえ (新津きよみ)

死体にまつわる、ちょっとした短編集。死体かー。ちょっとした、と言うには重いかもな。

中身はまあまあな感じだった。パンチがもうちょいあったらなあ。あるいはもうちょい長い話にしても良かったんじゃないかと思えるテーマも。

中では、絶縁状態の父親が行き倒れた話が良かったかな。宝くじのくだりとか。彼は死後評価を高めた。自分に置き換えてみると、そういう死に方も悪くないなと。謎めいていて物悲しく孤独で。

穢れた聖地巡礼について (背筋)

今をときめくホラー作家の背筋…ハイキンではなくセスジが正しい読み方なんでしょうね恐らく作風からして。トレーニング系の本も出してればどっちなんだ、となるかもしれませんが。デビュー作(?)の近畿地方のやつはカクヨム(?)の連載後半くらいかな、話題になってた時に毎日更新チェックして読んでた頃があった。かなり良かったし、あれでモキュメンタリーというジャンルが盛り上がったという面があるのではないか。この令和の世に。

連続殺人鬼カエル男 (中山七里)

フロッガーっていうゲームを知ってます? 川を渡るやつ。なんか覗き込んでジョイスティックがあるようなハードウェアがありまして、私は子供の頃にそれでだいぶ遊んでた時期があります。スマホゲーならクロッシーロード? みたいな。このカエル男はどうか。一体誰が、なぜカエル男なのか。

蓋を開けてみれば、猟奇的な連続殺人事件を追う警察のコンビ。いやー気分が悪い。殺し方、遺体の扱い方、そして被害者の選び方…どうなんだ。しかもこれでシリーズ化は無理があるんじゃないの? これでシリーズ1作目だ。2作目が思いやられるよ。

さかさ星 (貴志祐介)

ホラーじみた話。拝み屋が呪物を次々に発見し、発見し、発見し、発見し、発見し、いや発見しすぎでしょ。程があるはず。ないのか。まるでオールスター大感謝祭だ。なんか多いっすけど、これって今日はなんかのイベントなんすかねー、と警備の人に尋ねたくなる。特級呪物が多過ぎて覚えきれない。歴史の闇、家系の闇。絶景祈らむ…

呪われ過ぎでしょう。どんだけ悪業を重ねたら子孫がここまで呪われるのだろう。マジで死に絶えてますよとっくに。よく生き残ったな子孫。余徳というやつかな。それをすり減らして現代に至ると、そういう話? 何の徳だよ。

推しの殺人 (遠藤かたる)

関西の地下アイドルグループが社長を殺してどうにかする話。音楽性の違い、コロナ禍、ヲタのウザ絡み、ヨゴレ仕事、社長の死…それらを乗り越えて頂点を目指すのだ。がんばれー

未成年飲酒やタバコのほうも問題になりそうだが、とにかく読者は一丸となって頑張るベビスタを応援せずにはいられないんだ。危機が導く絆、その結束力。そして迎える結成4周年のめでたさよ。乗り切れ、乗り切ってくれ…!

しかし教師の説教シーンが酷かった。なんちゅうやつだ。再登場させるのは趣味が悪い。

アニータの夫 (坂本泰紀)

アニータって珍しい名前なのか分からんけど、アニータ呼びで日本全国通じる該当者は一人しかいない。日本で最も有名なチリ人。あの騒動からだいぶ時間が過ぎたが、本が出た。彼の伝記だ。彼のほう、夫の伝記。

この本は朝日新聞での連載を書籍化したもの。単著なんだな…チームでは対応しなかったということか? 取材期間がやたらに長い。

事件自体は組織構造に不満を持ち、夜の遊びを覚えた男が公金を横領した挙げ句、女に全部巻き上げられたというもの。長年発覚しなかった事実が示すように、横領されたのは公社が無意味に留保していた、ただただ無害なカネ。いわゆる裏金だよね。儲けを出さずにやる建前なのに、プラスを出して隠すっていう。なんて悪だろう。

エンド・オブ・ライフ (佐々涼子)

在宅看護/看取りをしている医療者の物語。著者の葛藤もあって深い話になった。死を見つめすぎて書けなくなったみたいな。あなたが死を見つめるとき、死もまたあなたを見つめる。。。

この本はそれを乗り越えて書かれた。多くの患者を看取ってきた看護師自身がステージ4になったとき、何が起きるのか。

取材期間が長い。元々は在宅医療を書きたくて、なかなか書けないうちに取材対象の看護師が医療対象になった。本としては2つの時間軸ができ、交錯させる構成が取れた。著者の実家の介護についても触れられている。これが3つ目の軸。

アイネクライネナハトムジーク (伊坂幸太郎)

連作短編集。この著者名で繰り広げられる物語としては意外性がある。ちょっとした恋愛が始まる話のシリーズかなと思ったけど、何かと壮大な話になった。世代が交錯し、子供は生まれ育ち、それぞれの出会いをする。

まーでも日本でボクシングのヘビー級チャンピオンが誕生するところなんかは恋愛小説ではなくSF小説と言ってもいいかもしれない。割と楽しく読めた。まあこの空気感だから、大したクライマックスはないんだけどね。そもそも1番のクライマックスが回想シーンだったというw