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山椒の実

Category: Mystery

怪奇四十面相 (江戸川乱歩)

二十面相シリーズ。二十面相が脱獄して明智・小林に戦いを挑む。大捕り物もあり、替え玉もあり、無人島にも行く。がんばれ僕らの二十面相。まあ、最後は負けちゃうんだけれども。でもまた脱獄して戦うんだ。二十面相は絶対に諦めない。

この本では二十では足りぬとばかりに四十面相を名乗る。早速のトリック、そして息をつく間も与えられぬ中、出来る限りの準備をして探偵に挑む。ここまでの悪条件でこれほど周到な段取り、準備ができるというのは超絶優秀なんだろうな、この人は。それを上回る明智・小林。二十面相という人は確かに部下を率いているんだけど、部下は名前がついているほどの大物がいないんだよな。そこが不幸か。ワンマンでは明智・小林のツープラトン攻撃に対応できないんだ。

心理試験 (江戸川乱歩)

明智小五郎シリーズの第2作。割と良く出来ていると思ったが、ラストが急で、デウス・エクス・明智みたいな感じの印象になってしまうのが難点。

しかしこの事件、これで解決でいいのかな。中世を生きる現代日本司法の自白偏重の先駆けとなった作品と言えてしまうのでは? という懸念も。

やっぱ少年探偵団シリーズのほうがいいなと思ったよ。

D坂の殺人事件 (江戸川乱歩)

明智小五郎の初登場作品。なかなか凝った作りになっている。楽しめた。

この頃の明智小五郎はまだ変装もしないし武闘派でもない、ただの書生。書生ってどういう立場なんだろうな。学生? それとも今で言うニート?? 語り手も同じ立場のようで、喫茶店で時間をつぶすカネくらいは持っていたみたいだが。

少年探偵とか出てこない、純粋に大人向けの話。SMとか出てくるもんね。ラストもそれほど鮮やかではなく、小林くんが刑事だったりして(小林少年の父親かなんかかな?)。

少年探偵団 (江戸川乱歩)

またも青空文庫で少年向け古典小説。

しかしまあ、子供向けとはわかっていてもグイグイ引き込まれるストーリーテリング、そのテクニック。凄い。今でも色褪せない。永遠とはこういうことを言うための表現なのかもしれないね。

まあ言葉狩りが進んで最近だと許されない表現もチラホラ。それも含めての古典、だよねー。まさかまさかで最後の爆発オチも今後に期待を持たせてくれて熱く、良い。やっぱ江戸川乱歩は凄かったんだな。

怪人二十面相 (江戸川乱歩)

言わずと知れた名作。少年探偵。小林くんだな。そして明智小五郎。懐かしいなぁおい。

最近青空文庫に入ったんだよなこれ。ということで早速ダウンロードして読んでみた。小学校時代に読んだんじゃないかという記憶があるけど、けっこう覚えてるもんだな。かなり思い出せる。時代的にはちょっと前の話にはなるものの、それなりに舞台がしっかりしていて描写もほどほどにリアリティがあって、けっこうちゃんと読ませるよね。子供でもここまでのものを読むんだな。情操教育的にも素晴らしいんじゃないか。

鳩の撃退法 (佐藤正午)

佐藤正午の小説。佐藤正午は決して期待を裏切らない、ということが改めて証明された気がする。

主人公が小説家で地の文もその小説家が書いた文章というていになっていて、古本屋や床屋のおやじ、女たち、本通り裏のあの人など、いろいろな人が出てきて小説家と小説を翻弄する。まあこの設定で確実にあるであろうという混濁を織り込みつつ、最後はすっきりまとめてくる。読後感は何とも言えないもので、スッキリ感はないけど納得している自分もいて、しかしいやこれは…という思いも持つわけで。だいたいこれさ、直木賞て2回も受賞できないでしょ?

パズル・パレス (ダン・ブラウン)

ダ・ヴィンチ・コードのダン・ブラウンのデビュー作。NSAが舞台ですね。

計算機やそれを取り巻く人々の描き方の不自然さは置いておくとして、まずはその…エンセイ・タンカドですよね。日本人。もしかしたら広島には多い苗字なのかもしれない、と思う気にもなれないこのネーミング。日本語に訳すときになんとかならなかったの、と思ったけど、読み進んでいくとそういうわけにもいかなかったことが分かるという…この名前じゃなければいけない理由があるのだ。日頃から忍殺に訓練されているから不自然とすら思わない?

ロスト・シンボル (ダン・ブラウン)

ラングドンシリーズの第3作かな。ラングドンシリーズ…言わずと知れた宗教ウンチク活劇。今回もアメリカ合衆国の首都ワシントンDCを舞台にウンチクまみれのアクションで暴れ続ける。絵になりますな。CERNのやつ(天使と悪魔)とダ・ヴィンチ・コードを読んだのは1年以上前かな。先日の死都日本で久々にウンチク活劇いいなぁと思って、残るラングドンシリーズを読もうと。これで残すはインフェルノだけか。まあインフェルノもいずれ読む。

今回はアメリカ建国の父とかフリーメイソンとかそういう話。フリーメイソンの暗号でシンボロンを云々…。まあまずはそのウンチクですよ。詰め込んでくるからね。油断できない。最後はまたもボロボロになりながら悪を倒してなおウンチクを続けるというね。様式美? なかなか素晴らしい。設定や展開に納得行かない部分もあるんだけど、そこは別にいいや。ウンチクだけではなくて、ストーリーもちゃんと作ってきてるし。

アンダーリポート (佐藤正午)

15年前の殺人事件を、記憶を頼りに解決しようとする話。さすが「身の上話」を書いた佐藤正午。図書館で借りて、返却期限が迫っているのにもう一度読もうとすらしてしまう。主人公はいったい何者なんだ、というのはあるし、この女は結局どうなるのか、というのはあるんだけど、それもまた趣がある。まあ普通の人なんだけどね。普通で終わっていいのか、というね。

15年前、というのがキーになるのかなと思って読んでいた。殺人事件の時効が15年というのは今はなくて、昔の制度ではあるのだが、そういう設定なのかと。で、時間差があるので片方が時効になってもう片方が…みたいな展開になるのかと思ったんだよ。

人間の顔は食べづらい (白井 智之)

タイトルのインパクトを導いた設定で押し切ったSF推理小説、と思いきや、ちゃんとまともな推理小説として成立しているところが秀逸。まあ登場人物がみんな探偵気取りで、誰が本当の探偵役なのかという話ですね。ライトノベルの系統か、角川っぽい書き方ではある。

けっこう楽しめたが、ちょっとこの設定がやっぱ受け付けないんだよね。もっと文字数を使って重厚な感じにしても良かったと思う。