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山椒の実

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 (井川 意高)

あの100億スッて伝説になった不死身のギャンブラー、大王製紙の会長が書いた懺悔録(?)。懺悔録とは言ってもあんまり反省してない。正直そんなに悪いことしたわけじゃないと本人も思ってるだろうし、実際私も金持ちがギャンブルでスるというのは特段悪いこととは言えないと思うよ。

まあ100億という金額はスッた額で、自身が過半の株式を持つ子会社の余剰資金を借りたカネの総額は85億とかそのくらい。明るみに出た時点での残債は55億くらいだったらしいが。で、100億で何をしたかって、マカオに毎週末もうでてバカラに明け暮れていただけ、というね。ホント、他愛もない。摘発されたってゆうけど、それ悪事なの? っていうね。

カジノのシステムについてもいろいろ書いていて、そこもかなり興味深い。この人が言ってたカジノではVIPにジャンケットというやつがつくのね。すごく怪しいw

取り調べた検事の感想はもっともで、こんだけカネがあるなら悪徳政治家に闇献金したり何らかの悪事に私腹を肥やしていてくれれば大きな事件だったんだろうけど、創業家の会長が賭博に狂って資産を溶かし続けてただけ、しかも特に隠し立てすることもなく正規の帳簿で借りてたというね。監査法人にも普通に見つかって適当に個人の事業で云々…と切り抜けて。まあこういう人は持ってる株を吐き出せば借金も即座に返せるわけで、一族が経営から手を引いて株を引き渡したことで、返済は利子付きで済ませたらしい。あっさりしてる。

経営自体はうまく行ってたし、抄紙機関連で設備にカネがかかるから大王製紙グループは余分にキャッシュを持つ習慣をつけていたらしい。それを逆手に取ったという。大王製紙ってエリエールとかおむつのグーンとか、割と身近な製品があるけど、そのへんを開拓した話とかも載っている。成功者の自叙伝と考えて読んでも普通におもしろい。

しかしこの清々としたギャンブル好きはホント最高な奴だな。あこがれるよ。いいカネの使い方したよね。ギャンブラー心理というものもちゃんと理解できているし、その上で理解に従わずにバカラに全てを費やすわけだから。やって楽しかった、捕まってやめられてよかった(←ちょっと…いやかなり残念さをにじませつつ)、登場人物の誰もがハッピーになる。

社長の交遊録としてもなかなかのもの。いろいろな人物が出てくる。堀江さんが座布団を差し入れた話は印象に残った。拘置所は床が硬いらしいから。

あとは…例のノンフィクションライターの某は…腹を切って死ぬべきだね。