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山椒の実

Category: Classic

100万回生きたねこ (佐野洋子)

日本を代表する絵本。ねこの話で、意味がわからなくても感動するという不思議な絵本。

これいろいろな考えを持つ人がいるんだろうけど、結局「生きてない奴は死ねもしねえんだよ!」ってことなんじゃないかと思った。こいつやっと生きることができた、だから死ねたんだと。

このねこ、100万回飼われて…まあ100万は比喩だと思いますけど…全部の飼い主を嫌いだったんですね。でも飼い主は全部このねこを好きだったんです。で、死ぬと泣くんです。そして(恐らくは丁寧に)埋葬する。でもねこは飼い主が嫌いだった。

賭博者 (ドストエフスキー)

文豪・ドストエフスキーの異色作。本人の体験を元に、バクチに狂った人々を描く。書いた経緯がいいよね。バクチ旅行ですってしまい、出版社に泣きついて速攻で書いた(口述筆記)とのこと。さすが俺達のドストエフスキーだよ。そう来なくちゃね。

バクチの描写が良かった。バクチの場面だけは生き生きとしている。それ以外の場面はまあ、普通にドストエフスキーだな。周囲の人物の怪しさもいい。どの人物を取ってみても、まんべんなくあやしすぎる。最後まで何一つ明らかになってないし(笑)。大した伏線が張り巡らされているわけじゃないし、物語とかそんなこんなには意識を向けることなく、賭けまくる。そしてラストもいいよね。やっぱそうでなきゃドストエフスキーじゃないよ。さすがだぜドストエフスキー。俺達のドストエフスキー。

オズの魔法使い(ライマン・フランク・ボーム)

題名は非常に有名だが読んだことのなかった名作。しかしオズがあんな体たらくとはね。がっかりだ。作者はなんでこいつをタイトルにしたんだろう。

オズの魔法使い

登場人物採点ひとこと
オズ4.0あまりにも無力! 使えない奴。しかも逃亡!?
ドロシー5.0魔女を倒したのは幸運にすぎないが、幸運を呼び寄せた
トト5.0しゃべれないというハンデを克服できなかった
かかし(MoM)6.5無敵! あまりにも無敵!
ブリキ5.5木こりとしては標準的な活躍
ライオン6.0ほんとにほんとにほんとにほんとにライオンだー
ネズミ女王5.5けっこう活躍したよね。印象には残らないけど
飛行サル5.5飛行する…サル! ちょと何を言ってるのか分からない
魔法使い東5.0登場時にはすでに事故で死亡…哀れな
魔法使い北6.5魔力で言えばこいつが最強…だがオズの真相を見抜けず
魔法使い西4.5一度は主人公に勝利するも水に弱い…パンでできてるの?
魔法使い南6.0こいつが主人公でも良かったんじゃないの?
カンザス人4.5活躍の場を見せられず

思うに(オズは置いといて)魔女の魔力で比較すると北南の良い魔女は西東の悪い魔女を圧倒している。特に北の魔女の魔力は卓越していて、おでこへのキスだけで悪い魔女に手出しできない手下を作れるわけだ。ここまでの戦力差があるのに、しかし西東を滅ぼさずにおいたということは何かを暗示しているのでは? そしてその均衡を部外者のドロシーが偶然にも崩してしまい、世界の平和が乱されたという構造だ。北の魔女がドロシーに味方しつつも靴の使い方すら教えないというのは、部外者に対する親切心と敵対心の葛藤が見られる。