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山椒の実

シャングリ・ラ (池上永一)

序盤を読んで、かなりの良作では? と思った。ニンジャスレイヤーにも似た世界観の狂った東京で。重金属酸性雨ではないが殺人スコールが降り注ぐ。スモトリとジュージツ使いが戦い、ブーメランが戦車を切り裂く。次世代兵器、経済戦争。これが真のニンジャのイクサだ。

主要人物の描写はいろいろと問題作になりうるなあ。常識人がいない。センシティブな表現が惜しげもなく並び踊っている。書かれたのはまだせいぜい平成中期までだなと察してしまう。令和でこの表現は成立しない。トシもとるわけだよ、ホントにさ。

それはともかく、ニンジャが出てあまりたくさんは殺さない感じで、途中までは悪くなかった。クライマックスに近づくにつれて、なんか死なないやつはどうせ死なないんだろ、みたいな感じで、しかもギャグ寄りになっていくという…二転三転と物語を転がすのはいいんだけど、そこにドラマがない。

そういう、連載でシリアス路線の評判が悪くて軌道修正したんじゃないの、とあらぬ疑いをかけたくなるような展開が続いた。ラストはそれっぽくまとめていた。

マジで序盤は良かったと思うんだよなー