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山椒の実

暗闇にレンズ (高山羽根子)

動画を映すレンズと、それにまつわる一族の物語を軸にして、Side AとSide Bの落差と、つながっていく過程が楽しめる小説。特に、Side Bのリアリティがいいね。まるで学術記事さながらだ。ちょっとした表現へのあこがれで「さながら」言いたいだけだが。文章はまさにプロだねえ。上手い。相当な達者と言えるだろう。

途中から様子がおかしくなっていくのがこういう、優秀なSFだよね。ABそれぞれで動く物語。ラストも淡々として、それでいてすごい。余韻がある。

映像兵器とか、よく考えたなあ。まあこれ、途中で最も背筋が冷えたのは「貴方のクラブのリーダーは?」だ。これは凍る。ゾゾゾ…って感じ。いいのこれ?