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山椒の実

吠えない犬 (マーティン・ファクラー)

日本にジャーナリズムがどのように政治に打ち負けるようになったのかを記した本。著者はニューヨークタイムズの記者の人。ジャーナリズムを殺しにかかったというのは安倍政権の一番暗黒な面では。トランプの戦略もメチャクチャではありつつ狡猾だったようで、まあ対比させて論じられてしまうのは妥当なのかもしれない。

それでだ。ジャーナリスト世界がこんなに脆弱なものだったとは。まあ思ってはいたけど、こうやって突きつけられるとやはり改めて感じるよね。自分の感覚ではネット世界の言論の歪みに関しては電通の仕事が大きいんじゃないかなと。ジャーナリズム世界ではどうなんだろう。確かに誤報があったりはするけど、偉い人の失言なんかとの頻度の違いで言えば、新聞の方がまだヒット率は高いでしょうよ、と思っているけれども。

おれ、インターネットが始まった頃はこんな世界になるなんて思わなかったんだよね。この自分の先見の明のなさが悔しい。おれはインターネットによって世界は理想郷に近づくと思ってたんだ、割と本気で。それが実際に起きたことはどうだ。我々のインターネットは分断の先端にいるじゃないか。先んじてそれを見通していたとして自分に何ができたかは不明だけど、悔しいじゃないか。