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山椒の実

突変 (森岡浩之)

突然、異世界に移ってしまうSF話。これがそういう説明では言い切れないほど書き込み量もあって、本としては分厚い。しかし読みやすくて内容もある。ストーリーの流れ方もスムーズかつドキドキ感を忘れさせない。これには思わず一気読みですよ。非常に良い読書体験だった。

まあ突然と言っても世界で見ればちょくちょく起きていて、人々の間にもある程度の備えがあるわけ。言わば裏側と入れ替わる形なんで、過去に裏返った地域の情報が出回っていたりする。日本でも、久米島が裏返り、次に大阪が丸ごと裏返ったりしている。その中で関東の狭い町内だけが裏返ってしまった…そこでどうする、という感じになる。物語としては表の日常や人生があって、徐々に裏返る設定が明らかにされつつ、それは起き、そして…

こりゃいいもん読んだわ。もしかしたら今年のベストになるかもしれない。よくできてる。

まあ結局いろいろ謎のままで終わった人物もいますけどね。

ラストも印象的。再会と別離。最後にそこを描いてくれて、良かった。