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山椒の実

Category: Social

なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図 (渡瀬裕哉)

選挙プランナー? っていうのかな、そういう活動をしてきた著者が現代の分断を説明する。米国でも活動してきたらしく、米国の事情にも詳しく触れている。この本は全体的に、選挙中心の考え方でできている。選挙と民主主義が世界を構成するという世界観で書かれているというわけだ。

序盤のつかみが非常に良かった。選挙の基本原理は分断を煽ることだ、と。現状のレギュレーションで成功するためには仕方のないことなのか。それがつける傷は深いぞ。こりゃ罪深い。罪深い必然。民主主義の行き着く先なのだ。あたかもエントロピーが増大するかのように? マジかよ…

母になって後悔してる、といえたなら 語りはじめた日本の女性たち (高橋歩唯, 依田真由美)

あのイスラエルの本に関するNHKの特集を本にしたもの。日本でもインタビューを敢行。インタビュー対象の多様性については、イスラエルの元ネタと比べてどうか。会社などで働きたかったのに子供を生んだから働けない人生になった母親が多いのはそうなるだろう。気になるのは氷河期世代が多いこと。そして父親は家事をしない。この世代の父親には育休制度がないのよね。自分もそうだが、先進的な会社が男性育休を推奨し始めたか始めないか、そのくらいの時期。制度化されるのはもっと後のことだ。私の時も、確か積立休暇みたいな、入院するときに使うための休暇制度? みたいなやつしかなかった記憶がある。あと、祖母になっている人は対象者に入っていなかった。世代の多様性は低い感じか。

私は、どっちかというと社会的というよりも本能的に母親になることに違和感があるケースに興味を感じる。そういうのってあるんじゃないかと思っていて。本能的母化拒否。確率的に発生するのでは。この本でも、そういう人もいた。哺乳類に植え付けられたバグではなかろうか。野生動物にもそういう個体がいるんだろうな。太古から続く謎? 一見、種の生存には不利だが、実は有利な面があったりして。どんな理屈があるのか。

母親になって後悔してる (オルナ・ドーナト)

後悔ほど無意味な感情は珍しいよね、という感覚があります。過去はすでに配られた手札であって、これで勝負するわけですよ。個人レベルではそう。ただ公共のため、後続の人のためにスタートラインの不当さを訴える必要性は大きい。

イスラエルは先進国ですが、出生率が高いみたいですね。女性に対して母親になるような圧がかけられている。おそらく男性にも父親になるような圧があるんだろう。結婚して子供作って家買ってはじめて一人前、みたいなアレ。