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山椒の実

Category: Internet

ヴィクトリア朝時代のインターネット (トム・スタンデージ)

電信の歴史を辿って今のインターネットを思う話。ネットワークはいつからある?

このタイトル(victorian internet)はもしかして、ヴィクトリアズシークレットと掛けてるのかな? 内容は、かかってない気がする。

通信塔を使った光学信号の伝達からモールス信号による電信に移り、電話の登場で廃れていく。その間の電信時代の壮大な物語を手短にまとめている。かなり興味深い話だった。

私もエンジニア歴はそこそこ長いのだが、モールス信号を解さない。世代的にはもうそんな感じで、自分の頃にはもはやエンジニアが実用する場面はなくて、あるとすれば趣味の領域だった。まあ領域を限定すれば実用している人々はまだいるんだろうけどさ。エジソンの少年時代とか、そのあたりの時代だからなあ。

ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち (吉川徹)

児童精神科医による現代の病? についての解説。あまり知見も確立していない分野であることもあり、いろいろなことが羅列されてとっ散らかった印象。つまみ食いして読むことを前提としているのかも?

それでも、大事なことは見えてくる。自分を省みて、考え直させてくれる内容もあった。

最近書かれた本なので、最近の話題にも触れられている。COVID-19の影響であつ森が流行ったとか、そういうの。

自分の子供もゲームは大好きだし、親としてはやりすぎは気になるところ。そもそも子供は約束を守れないものであるという話には感銘を受けた。実際うちでも守れていないが、それに対する怒りは感じる必要のないものだった。男子なら約束したことは実行されたも同然、という感覚があるんだけど、それは大人の男に限定の話だった。…男だの女だの言うと最近は良くないのかな?

正義を振りかざす「極端な人」の正体 (山口真一)

高校から大学にかけての時代、私は中庸でありたいと思っていた。今でもそう思ってる。この単語は「凡庸」と混同している人も多いのだが。本来の意味は、偏らないこと、そして変わらないこと。それを保てなくなることをこそ、私は恐れるのだ。自らの老いにより判断力は日に日に鈍り、ネットの気を利かせたお節介なパーソナライズにより受け取る情報は偏っていく。それに抗うために、この本から何らかの示唆が得られるかどうか。

別に応援してるスポーツのチームの情報をパーソナライズしてくれるのはいいんですよ。今は競技で括るような雑なカテゴライズじゃなくて、チームで見てくれるし。ただ、時事問題みたいなものはもっと広く知っておきたいわけよ。いろんな意見と対立軸、論点を押さえておきたいと。

ネット狂詩曲 (劉 震雲)

中国というちょっと特殊なネット環境にある国家の中で、ネット上で話題になった事件を集めてつなげた小説。割と楽しめた。

まあ現代にもなってすごい世界もあったもんだね、という気持ちになる。序盤は翻訳の問題か著者の問題か、説明的な文章が並んでいて文章力に不安を感じてしまったが、後半はかなり良くなった。

中国語と日本語で共通の言葉があるんだけど、言葉のニュアンスはかなり違うものがあるんだね、とも。「矛盾」とかね。

たぶん中国本土では「あーあの事件か」ってなって楽しめるものなんだろうと思うけど、日本人にとっては共通の話題ではない。そこに寂しさも感じる。まあ日本でもネット上で話題になった事件って色々あるから、こんな感じでまとめて小説にしてしまう作家が出てくるんじゃないかと思うね。そういうのって割とウケるんじゃないか? しかも新しいネタは次々に出てくるわけで、シリーズものにして楽しんだりさ。

ネットで人生、変わりましたか? (岡田有花, ITmedia News)

いわゆる「IT戦士」として人気を得ていたITmediaの(元)記者の記事を中心に2007年にまとめたもの。解説も2007年時点のものなので、古臭さは否めないところ。2つの時代(元記事の時点と解説の時点)の当時を交互に思い出しながら読むしかない。はてな押しが激しいがまあ、当時はそういう感じでしたしね。

おおまかには、ネットに救われた個人を描くシリーズ、と言えばいいのかな。クリエイターとかブロガーとかビジネスが不得手な起業家とか。

ファーストペンギンの会社—デジタルガレージの20年とこれから

デジタルガレージの社史みたいな本、ということだが、インターネットビジネスにおける日本のエース、伊藤穰一(Joi)とその仲間たちの昔話や座談会記録みたいな本。前半部がデジタルガレージの社史っぽい文章で、後半部が座談会。

ファーストペンギンというのはよく言われる言葉で、海に飛び込む1羽目のペンギンの勇気を褒め称える言葉。餌を得るために恐怖を振り切る。ためらいなく先陣を切る勇敢さを評する表現。

前半部はさらっとしたものだったけど、それなりに楽しく読めた。IT業界らしく、めまぐるしい。栄枯盛衰。カカクコムや食べログは一線で続けてるけど、infoseekは楽天に移ってからはさっぱり? テクノラティは以前は私もよく使ってたけど(日本版は)今はサービスしてない。ブログ検索はGoogleのやつもほとんど死んだも同然になってるし、流行らないんだろうな。kakaku.comがビジネスになって買収された流れは当時けっこう衝撃あったよね。

ウィキリークスの内幕 (ダニエル・ドムシャイト-ベルグ)

WikiLeaksのナンバー2で広報担当みたいなことをしていて、ジュリアン・アサンジと喧嘩別れした著者が書いた本。

まあ喧嘩別れした一方の主張だけだから、その辺の内容は差し引くとしても、WikiLeaksの内部事情を書いた読み物としては単純に面白かった。技術的にもある程度まともな状態だったみたいだ。まあ、最初と最後の方はムチャクチャだったみたいだけど。

著者はこの本を記述した時点ではオープンリークスを立ち上げたところみたい。オープンリークスはこの本で初めて聞いたくらいで、あまり存在感がないよね。ドイツ語サイトしかないのかな。

日本インターネット書紀 (鈴木幸一)

日本書紀っつったら国生みとかヤマトタケル、だよねー。

この本は日本の最古参インターネット企業、IIJの創業者がつづる、日本のインターネットの歴史。まあ謎の規制との戦いですよね。

IIJが今まで生き残ってこれたのは、当時(1992年)インターネットで食っていけるなんて思ってる人は日本に他に誰もいなかったわけで、そこに着眼した時点で勝ちなわけです。企業を起こすには見通す目が必要。あとはタイミング。タイミング的にもベストに近かったはずだが、やはり規制との戦いがね。