エンド・オブ・ライフ (佐々涼子)
在宅看護/看取りをしている医療者の物語。著者の葛藤もあって深い話になった。死を見つめすぎて書けなくなったみたいな。あなたが死を見つめるとき、死もまたあなたを見つめる。。。
この本はそれを乗り越えて書かれた。多くの患者を看取ってきた看護師自身がステージ4になったとき、何が起きるのか。
取材期間が長い。元々は在宅医療を書きたくて、なかなか書けないうちに取材対象の看護師が医療対象になった。本としては2つの時間軸ができ、交錯させる構成が取れた。著者の実家の介護についても触れられている。これが3つ目の軸。
生きたようにしか死ねない、みたいな表現があり、印象的だった。それが全体テーマにもなっている。
あとはスピリチュアル・ペインという概念というか。通常の精神的な苦痛とは違って、生きてきた意味に疑問を持つような、魂の根源みたいな系の苦しみらしい。そういう分類もあるのか。身体的と精神的の2種類しか意識になかった。あとは社会的な苦痛というのもある。
最終的には、主人公から著者に与えられたテーマ、在宅医療についてのある種の結論が出る。どんな死に方がいいのか。生きるようにしか死ねないとしたら、それはどんな生き方がいいのか、という問いでもある。主人公は数多くの患者を在宅看護し看取ってきた。そして自ら理想の生き方を選び、生きて、死んでゆくのだ。そもそもだが、誰だってそうあるべきと言える。たとえ死に臨んでいなくとも。
著者はどうするのか。読者はどうか。生まれて、死ぬ。それだけのことに誰もが必死で夢中になる。これまで生きた人はたいてい死んでるからね。オレは飛ばなくても特別な豚…どう死ぬ。どう生きる。誰でも自分自身、セルフイメージというものがあるのだけど、スパッと何かを言い切れる話でもない。