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山椒の実

名将名城伝 (津本陽)

全国にあったいい城をネタに四方山話を語る。津本陽が、だ。まあこの人の名前がなければ読む気にはならない内容だよなあ。それでも読んでしまうのだが。キン肉星宮殿と瓜二つと言われた大阪城も大トリに入っていた。サラリーマン時代はあの辺が通勤路だったらしい。なるほど。

まあ、読む前から「そんな感じ」だろうと思っていた、読んだ後も「そんな感じ」だったな、という感想。こういうの好きな人もいるんじゃないか。まあでも、本願寺と大阪城の話とかは悪くなかったな。やはり思い入れがあると熱量も違う。名護屋城についてはあんまりイメージがついてなかったのだけど、本書の記述のおかげでだいぶ構図がハッキリしたので良かった。他にも琵琶湖周辺の佐和山城や坂本城のあたりについても同様。

あとはやはり城が活躍するのは合戦なんだけど、城自体とは関係ない合戦の話が多かったかな。そこは少し残念なところ。どうしても城は合戦が仕事みたいなところがあるから、美術系の姫路城や熊本城よりも数多くの名将に攻められるという実戦に耐えた小田原城なんかの方がいいんだろうな。そういえば小田原城はロクに出てこなかった。武田信玄・上杉謙信・豊臣秀吉といった面々がシャカリキに攻め立てた名城なのに。おそらく関東以北にはあんまり興味がないんだろう。

あとは五稜郭とかも出てきて欲しかったところ。明治期に建設された、日本最後の城と言われる松尾城とか、あるいは館山城みたいな城…にはあんまり著者の好みはないだろうけど。