始まる前に、次男に「みにくいあひるのみにくいってどういう意味か分かる?」と聞いたら、予想通り「見えにくい、よく見えない…」と言っていましたので、「そういう意味もあるけど、この場合はきれいじゃないってことだよ」と教えてあげました。
そしてこの「みにくいアヒルの子」。正直泣きそうになりましたね。ちょっと重くるしい、悲しい話なんですよね。隣家のクソババアとしか表現しようがない奴に生まれる前からの「どうせこいつ七面鳥だから捨てちゃいなよ」攻撃(←本当にクソなんだよこのババア!)にもめげずに育てていた母親が、あるときつぶやくんです。「この子さえいなかったらうちはもうちょっと平和なんだけどな」と。近所でいじめられ、兄弟にもいじめられ続けてもなお母親を信じていたはずの子が、それを聞いてしまったわけです。そして家を出て行く。親も追いかけてきませんのね。このくだりは本当に辛い。小さな子どもと一緒にこれを見た母親たちは何を思うのか…
そして世間の荒波に揉まれて…これ、アンデルセンが自分自身の半生を描いたものらしいです。誰にも理解されずに過ごした少年時代を経て、小さな家を出て世間の不条理を知り、そして初めて認められたっていう話。しかし、あの渡りのガンは撃たれて死ぬ必要あったんでしょうかね?
劇を見た後に菊池寛の訳を青空文庫で読んでみましたが、劇は子供向けだったけれど、かなり原作に忠実に作ってあったことがわかりました。大人が見ても本当に悲しかった。子供にその心情が通じてたかどうかは分かりません。
同じように生まれつき何らかの障害がある子が親元を離れて冒険をして…という話だと私がどうしても思い出してしまうのは「ファインディング・ニモ」なんですが(笑)、ニモとはだいぶ趣が違いますね。