知るべきもの、知るべきでないもの

宿泊拒否のアイスター、学生の抗議文をHPに掲載(asahi.com)

熊本県南小国町のホテルがハンセン病歴を理由に国立療養所入所者らの宿泊を拒否した問題で、ホテルを経営する「アイスター」(東京)が8日、大阪市の男子大学生(20)の抗議文を自社ホームページ(HP)に公開した。抗議に対し、同社の秘書室長が入所者らを元暴力団員にたとえて拒否理由を説明する返事を送ったが、この内容が報道され、誤解を避けようとしたという。学生は「事前に連絡はなかった」としている。

私はこの事件を理解したくて、アイスター(ai-star.co.jp)のページから、一連のやりとり(ai-star.co.jp)を見て、この学生のページ(geocities.co.jp)を見たけど、これは学生側が勝手に自分のページに都合のいい部分だけを掲載して、恐らくはメディアに一方的な情報を流した(学生のWebページにそれがほのめかされている)ことに対する対抗措置なのだと知った。ちゃんと知るには全部のやりとりを読む必要がある(私はまだ読んでいない)。

こういうのは一方的な報道だけでは知ることはできない。何度でも言うがWebなんだからリンクくらい使え>朝日新聞のバカ!

「アイスター」という会社はけっこうあるのでどれが正しいのか迷う。

私はこの全文掲載は悪いことではないと思うけど、住所や氏名、メールアドレスを全部晒したアイスターはダメだ。個人を特定できる情報だけを黒塗りしておけば批判は受けずに済んだ。

朝日.comは読者に知るべきものを知らせず、アイスターは知るべきでないものまで知らせた。罪深さは同じくらいかな。…うーん、ちょっとアイスターが重いか。

(追記) 2004-02-10 09:48

変なものにまで突っ込みたくはないが、この学生さんのページ、変だなぁ。geocitiesなのに他人(鈴木さんっていう20歳には見えない人)のページの一部として作っている。無料で借りられるのに。

(追記) 2004-02-10 09:54

この自分の文章を読み返してみたけど、誤字を1つ修正した以外になんか妙な感じがした。というのは、この文章には宿泊拒否の問題に関する意見は入ってない。一応書いたほうがいいのかな…今はやめとこう。

(追記) 2004-02-13 25:53

最大5日間の営業停止という処分になるらしい。旅館業法違反(宿泊拒否)、とのこと。

遅ればせながら全文を読んでみた。お互いの立場と内容は理解できたつもりだ。いろいろ考えさせられる内容だった。とりあえず思ったのは、相手が学生でよかった、ということ。ああしたことは社会人には言えないかもしれない。相手に合わせて自分を曲げることが必要な局面というのがあることを知っている。

私は製造業でお客さんと向き合うことのほとんどない部署に勤めているのでわからない部分もあるが、客商売の正義と一般的な正義が相反することがあるのだろう。

客側としては、私もたまに休暇で旅行することもあるが、何も知らずに旅先で温泉宿に泊まったらハンセン病の元患者の集団客がいました、とする。何も考えずにのんびり何度も風呂に入ってリフレッシュできると思っていたら、そこが真顔で自分と向き合う必要があるようなシチュエーションになっていたというわけだ。例えばノートPCを持って行って回線とGoogleがあれば、つまり情報があれば、彼らの生きてきた歴史と痛みに思いを致すことによってさぞかし貴重な体験にすることができただろうが、突然であれば不愉快(せっかくのんびりしに来たのにぃ)になるかもしれず、不愉快になる客が全くいないとは言い切れない。それが現実だ。マスコミや学生は「それは客が悪いんでしょ」と言うかもしれないが、それは違う。情報の与え方が悪いのだ。

ハンセン病についてはずいぶん報道されたけどみんなに理解されているかどうかは疑問で、いっそうの啓発が必要というのはある。だからこそ彼らはさかんにTVに出ていた。あれは一種の勝負で、自由になった後に単に隠れて暮らすという方法もあったけど、それが嫌で理解を求めるという勝負をした。だからTVが取り上げなくなった今は、街に出る必要がある。裁判で国には勝ったけど、まだ国民には勝ってない。

宿泊にしても、例えばみんなの部屋にわかりやすく説明したリーフレットを置いておくだけで他の客が受ける印象はずいぶん違う。熊本県があらかじめ知らせておけばそういう対応で他の客に理解を求めることが可能だった。いいホテルなら時間があればそのくらいしてくれたかもしれない。そしてそれほどいいホテルでもなく、時間すらなかった。

その後のホテル側の対応がほぼ最悪に近いことは周知の通りである。もっとマシな方法があったに違いないのに、やることなすことダメで、しかもダメな点が非常に分かりやすい。マスコミに叩かれるべくして叩かれたと言える。

誰が悪いんでしょうか。

私はやはり情報の与え方が悪いのだと思います。そして情報を持っていたのは熊本県だ。ホテル側ももっといい対応を選択できたはずだが、熊本県がうまくやれば悪い対応を選ばずに済ませられたはずだ。私には気配りがないので、もし私が熊本県の役人であってもやはり悪い結果になったのではないかと思うが、どっちにしても残念だな。役人に利け者がいればみんながハッピーだったに違いない。

追記していっても結局タイトル通り、情報を知ることの話になった(偶然です)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です