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山椒の実

ゾンビのいた季節 (須藤古都離)

ChatGPT調べによれば、ゾンビは夏の季語として使えるだけの性能が確認されているとのことです。そして冬は冬眠するやつもいるとか。知らなかったー、ためになるなぁ。

呪われた銀山跡を舞台にした、まるで美しい映画のようなストーリー。その安定かつスリリングなストーリーテリングで、さすがの技巧が冴え渡る。ゾンビから逃れて核シェルターに立て籠もった著述家が書く物語とは。

なんだこれは。まずは視点がたくさんありすぎる。小説家、マフィア、ギャング、編集者、警察官、映画人、軍人、マニア。人数の少ないジェスローの中にもいろんな家族がいてそれぞれのキャラクター、生きる世界がある。群像劇というか…多少混乱したがどうにか読み進めた。最後は前代未聞の無撮影爆発エンド。そんなのってあり? かえすがえすも教会は撮っておきたかった。あんだけ燃やすことを熱望していたのに。

だいたいゾンビ化しておいて生き残ろうとは厚かましい話なんだが、生き残ったやつは全員、よく死ななかったなと思える。ベトナム帰還兵の活躍はかなりアツかった。

まあそれはともかく、自分の好みの小説。しっかり楽しめた。作中で書いた小説はどんななんだろう。