紙の梟 ハーシュソサエティ (貫井徳郎)
現代日本に舞い降りたハムラビ法典「死には死を」つまり殺人即死刑。そういう世界の物語。ペーパーマリオの小説版だと思って油断していると度肝を抜かれることになる。とても良かった。いい本を読んだ。短編4つと、長編1つ。
設定は設定に過ぎないので、登場人物や事件は設定を舞台装置にしつつ、独自に進んでいく。序盤の短編で設定の裏をかく犯罪やクローズドサークルもの、イジメ自殺とテーマを変えながらの進行で舞台に慣れさせてのハードボイルドな長編につなげていく。
この本は、なんと言っても最後の長編の後味だよね。頂き女子のマニュアルに沿ってればあるいは異なった結末になったかもしれない。いや実際はフィクションだから著者のさじ加減なのは分かってますよ私だって。
あとは…罅とか、難しい漢字が出てきてとまどった。他はそうでもないのに、唐突な印象を受ける。カタカナやひらがなではフィットしないと思ったんだろうなー。ただ使用頻度は低いし、読めない派が多いと思う…思って青空文庫を検索してみたら、意外といろんな小説で使われていた。読めないのオレだけか。