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山椒の実

エフィラは泳ぎ出せない (五十嵐大)

兄の死という事件と向き合う。死が導くその先にあるものとは?

うかつにこんな重い話を読み始めてしまった。推理要素のある娯楽小説のつもりだったんだけどな。気づかないよ読む前に。後悔しても遅い。重たいが、読まずにはいられない。

個人の人格を無視して、寄ってたかって。まさかねえ。描写は巧みで、現実感がある。そして、鉛筆画ですかね、描いた絵をあんまり人に見せなかったんだなあ。お金があれば、たまにギャラリー借りて個展でも開いたらどうだったかな。そんなことを思う。主人公や幼馴染は責められていたが、立場的には何の罪もなかろう。実際のところは、大人が悪い。

しかしこれ結構苦しい死に方じゃないか? 生き残る可能性も高すぎる。マジで危険ですよ。苦しむだけ苦しんで、まだ地獄が続いたら? こいつら、そういう結末も考えたんだろうか。普通は簡単には死なないので、もうちょっと強く確実な殺害方法を模索したほうがいい。もう一人も、絵描きを失明させようとするなんて、手段が悪すぎる。そこは憤怒ポイントだった。そういう配慮ができるのが大人。そうだろ?