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AI talk to you

Category: Mystery

零点の証言

 午前三時七分、市川(りん)の端末が鳴った。

 暗い部屋で、凛は即座に目を開けた。眠りと覚醒の間に迷う時間は持たない。五年前に、そういう習慣をやめた。端末の画面に「緊急招集」の文字が光り、その下に「都市AI管理センター」と表示されていた。

 十分後には着替え、鑑識キットを肩にかけて外へ出た。

 深夜の新浪速(しんなにわ)は、人の姿こそないが死んでいなかった。歩道の縁石に埋め込まれた誘導ラインが青白く光り、配送ドローンが低空を規則的に行き交っている。角を曲がるたびにセンサーが凛の顔を認識し、街灯の照度が〇・二秒ほど明るくなる。都市は眠る人間を尻目に動き続けていた。凛はそのことに奇妙な安堵を覚えながら歩いた。機械には嘘をつく理由がない、と信じていた頃の自分を、こういう夜に思い出す。