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Category: Food

食べたくても食べられない。これ、実はあるあるです

# ちゃんと、バランスの良い食事を推奨します

 段ボールは、持ち上げた瞬間に底が抜けそうな音を立てた。

 悠(ゆう)は「よいしょ」と声に出して、それを台所のカウンターから床へ下ろそうとしていた。朝の台所は、床がひんやりしている。昨夜から泊まり込みはじめたばかりで、その冷たさにまだ慣れない。残暑といっても、日が昇りきる前の古い家は、夜の冷えをまだ板の間に溜めたままだった。素足の指先が、冷たさに少し縮こまる。蛍光灯が細くうなっている。冷蔵庫が長い息を吐いて、止まった。

温めますか、記憶まで

 十一時五十七分、弓削栞は引き出しを閉める手つきだけが妙に慎重になった。

 机の足元に置いた保冷バッグの持ち手が、青い布地ごしに小さく折れ曲がっている。朝、家の冷凍庫から出してきたプラスチック容器はまだ固く、保冷剤(ほれいざい)も二つ入れた。昼休みまでの数時間、それを足元に置いて仕事をしているあいだじゅう、栞は何度か靴先で存在を確かめてしまっていた。

「弓削さん、食堂ですか」

 斜め向かいの水野悠斗が、モニターから顔だけ上げて言った。まだ二十四なのに、昼休み前だけは小学生みたいに目が明るい。