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山椒の実

Category: School

ふるさとって呼んでもいいですか:6歳で「移民」になった私の物語 (ナディ)

イランからビザなしで移ってきた一家。超過滞在の果てに、特別在留許可をもらって日本で無事に暮らせるようになり、そして…学校にもちゃんと通って大学まで出てる。本人も親も、頑張ったよね。この人はもともと頭が良かった、という部分も大きいと思ったけど。

文化と、国と…いろいろなことを考えさせられる本ですね。

現実として、私は千代田区にある会社で働いていますけど、会社周辺のコンビニとかチェーン店の店員はほとんど外国人です。県境をまたいで田舎にある自宅付近はまだ地元のおばちゃんや学生さんが主力だったりしますけど、田舎が都心の10年後を追いかけているとすれば、まあ全国そうなるのも時間の問題です。固有の文化の継承ってのも大事ですけれども、日本は古来より渡来の文化を融合させるみたいなところに心を見いだすのが好きだったりするんで、それがいい方向に転んで欲しいものですね。だから文化を持ち込んだ人々にはその文化を大事に伝えて欲しいなーなんて思っている。

いじめと探偵 (阿部 泰尚)

子供のいじめの問題で、こじれてしまった場合に頼ることができる存在として、探偵という職業があるようだ。こういうことに探偵が乗り出すというのはしっくりこないんだけど。ちょうど今「仮面ライダーW」をYouTubeで再放送してるしね。

あともう一つ、きっかけとしては、こないだキモい田舎のオッサンに若い女子が殺された事件があったじゃないですか。完全に根拠がないけど、あれって、いじめられてああいう行為を強要されてたんじゃないかっていう気がしたんだよね。それでお金が欲しいというよりも、アレで稼いだお金を渡せないといじめられてしまうので、どうしてもお金をもらう必要があった、という動機であれば割とあるかなと思ったんだよね。それほど不可解な行動をする事件だった、という印象が残って。

そしてぼくは銃口を向けた (飯塚 真紀子)

アメリカの病んだスクールカースト下位者が銃火器武装し、学校で乱射する。ハイスクールシューティング。それを丹念に取材してまとめた本。

中にはまさに中二病としか思えない奴もいたり、クソ女に騙されて二股相手を殺したという趣の異なる事件もあり。それぞれ、いくつかの条件が重なって、学校で発砲するに及んだ。

平時に住人が銃を持てるのが悪い、という結論は簡単に出せていると思うのだが。まーアメリカも荒野部が多いからね、土地の広さに対して保安官が足りてないという事情もあるだろう。しかし都市部でも荒野と同じ制度でやることに合理性があるのかな? ないよねバーカ、と思ってしまう。どうしても。

教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」 (内田良)

柔道や組体操の事故について警鐘を鳴らしていた学者の著書。Yahoo!ニュースとかでよく見ていて、かなり妥当な論述だと思ったが、その秘密はエビデンスを元に議論する社会学を源流とするためだった。実際、柔道の重大事故率については著者も最初はそんな風には思っていなくて、データを集めて分析したら理不尽なくらい突出していたという話。おかげで、子供の柔道の事故死は日本でも根絶されたようです。成果ですね。

この本で特筆すべきは、教員のことについての分析も含んでいる点。やっぱ活発な部活動の顧問の先生はきついよね。私は中学時代は水泳部で柄にもなく部長をやっていたわけだけど、顧問の先生が途中でいなくなったので、別の体育の先生に顧問やってくれと同期と一緒に直訴に行ったことがあった。元の先生も決して熱心ではなく水泳の知識もなかったのだが、顧問がいなくなると続けられないからね。で、実際は別の新任の先生がなってくれることがすでに決まってて、その先生は経験者だったこともあり、かなり熱心に指導してくれた。頼んだ先生は副顧問みたいな感じになって、結局フェードアウト…

桐島、部活やめるってよ (朝井リョウ)

途中で読むのやめようかと思ったんだけど、結局最後まで読んだ。オッサンには辛いんだよこういうのは。よく書けてるだけにね。映画のほうもかなり話題になっていたけど、なるほどと思わせる。

まあ人名が多くて覚えきれないのは、それはそれで。でも凄く良く書けてるんだよねこれ。高校生の内容のなさとか、内容ってやつへのあこがれみたいなものとか。私は男子校で病気をしつつも最後まで部活はやりましたけど…おまけに不本意なことに大学に入っても同じ競技を続けてしまった…それも不真面目に!

ラーニング・レボリューション MIT発 世界を変える「100ドルPC」プロジェクト

全ての子供にパソコンを。OLPC, XO, Sugarと世に出してきた人々を描く。成功も失敗も。Sugarみたいなものには注目したいと思っていた。Sugar on stickとかありましたよね。この本を読むとXOの技術的なことについてもある程度書いてあって面白い。ディスプレイがそんなふうになってるなんてね。

最初は壮大な夢で注目を集め、100万台以下では取引しないとか高飛車だったが、徐々に現実を見るようになっていく様子はある意味生々しい。教育に関してはかなりいいことを書いているように思うし、随所に挟まれる小話も面白い。50個のゆでたまごを食べる話とか、ファインマンの摩擦発光の話とかね。