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山椒の実

Category: Scam

暮らしのなかのニセ科学 (左巻健男)

ニセ科学がはびこる現状について述べた本。この本が7年前か。今はもっと激しい陰謀論が渦巻いていて、この本のような活動もむなしく、状況は悪化したと言えるだろう。いやはや、ひどい話だ。

この本では、ダイエットや健康系のやつから怪しい水やらEMやらマイナスイオンまで、やばい話のオンパレード…それが紹介されている。こういう、デタラメだけど科学っぽさで人を騙す輩というのはどういう倫理観をしてるんだろう。それを想像しながら読むわけだけど、うーん…金儲けのエナジーなのかなあ。それだけで説明がつくんだろうか。大企業もやってるからね。コンプライアンス委員会とかないのかな。どうなってんだ。世も末ですよ。

地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団 (森功)

積水ハウス事件で有名になった地面師の世界を追った話。

すげー世界もあったもんだな。他人の土地を勝手に売って儲けてしまう。まあ詐欺の一種なんだけど、死にそうで身寄りがない土地持ちの土地が狙われやすいのかな。相続人がいなければ競売にかけられて国庫に入るべきお金が詐欺師たちの懐に入るという感じ?

いろんな手口がありつつ、なぜか捕まらないし、捕まってもすぐに釈放されたり、割と微罪なのよね。金額は大きいんだけどな。おそらく詐欺師も普段は普通の不動産ブローカーみたいな人間なんだろうな。それで合法に行けないけどやれそうな時にやっちゃう、みたいな?

老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体 (鈴木大介)

振り込め詐欺グループの実態を記したもの。金持ちの老人を騙して小金を受け取る。それは現代の義賊か、それとも…?

かなり高度に組織化され、分業も進んでいて捕まりやすい部門(受け子)を何重か噛ませることによってプレイヤーと呼ばれる騙し屋の部門は捕まりにくくなっているらしい。そしてこの本の時点でオレオレとも言わないし振り込みさせるってワケでもなく現金取引らしい。ターゲットをかなり詳細に調べた名簿を使う&自前で名簿の情報を充実させる調査を入れたり。

犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼 (雫井脩介)

あの巻島が帰ってきた! このシリーズいいですね。

今回は振り込め詐欺+営利誘拐。振り込め詐欺をする奴らが誘拐にも手をつけるとどうなるか。両者は水と油みたいな感じで導入に苦労している感じがあるけど、さすがにこの著者の序盤は素晴らしく引きつけられる。

さらにこの本に限っては結末も綺麗で、読み応えもあって悪くない。犯人側の描写がかなり多く、それも良い。どっちも頑張れーと応援してしまうんだよね。設定的にもなかなかありふれた悲劇の人物で、感情移入してしまう人は多いのでは。「自分も一歩間違ったらこの犯人と同じ境遇になっていたとしてもおかしくない」感が非常に強く感じられる設定なのよね。