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山椒の実

Category: Mystery

ステイ・ゴールド (池田久輝)

ハードボイルドもの。刑事と、比較的ありきたりな復讐物語…という構図。舞台となった京都っぽさは出ていない。私も京都周辺の地名に疎いので、なおさらわからん。偽名と本名の対応という謎が特徴か。

読むのに苦痛があったわけではなく、すんなり読めたけど、あんまり心は動かされなかったな。

あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選

後味の良さ優先のミステリのアンソロジー本。まあ短編だし割と出来の良いものが多い。謎は暴かれる。人は死なない。

まあちょっと軽すぎたかなー。後味がいいと言っても、大きな印象も残らない。死なないミステリ、しかも悪意が少なめ、なんて。この本の中の一番の悪人はあいつだろうけど、ちゃんと報いを受けて、捕まってるしねー。

姉妹本で、後味が悪いのだけを集めたやつがあるらしい。むしろそっちが先だったとか。ちょっと興味を引かれた。

楽園とは探偵の不在なり (斜線堂有紀)

特殊な舞台設定で探偵が舞う。舞台設定はある種のグロテスクなもので、天使と称される不気味な存在が飛び回り、2人以上殺した人物を地獄の業火で焼き殺すというもの。そこで揺れ動く人々の心理と、起きるはずのない連続殺人事件。探偵が解決に走る。

なかなか良かった。ハードボイルド風に寄ることもありつつ、そこに青臭い正義感も絡んでいく。

七つの棺 (折原一)

ライトなパロディ推理小説。密室殺人事件にフォーカス。だいたい無理があるのに、押し通しているこの感じ。

それぞれトリックと裏があって悪くないけど、元ネタを知らないので…知ってればもっと楽しめたかもしれないな、と思ってしまう。

こういう短編集のいいところは、寝る前に1編ずつ読んでくと1週間持つというところかなー。長編一気読みとかだと疲れちゃうケースに、ちょうどいい感じね。内容も文章も重厚じゃないので、軽い気持ちで読み始めて読み終われる…疲れないで済む。

紅蓮館の殺人 (阿津川辰海)

不自然な設定、張り巡らされた謎、名探偵、そして一筋縄では行かない謎めいた登場人物たち、最後のどんでん返し。これだよね。絵に描いたような現代日本の推理小説。楽しかったです。

まあ、それ以上語ることはあんまり、ないかなー。推理小説においては感想をネタバレなしで書くのが難しいわけよ。

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 (青柳碧人)

「オズの魔法使い」の物語をベースに、紅の探偵が事件を鮮やかに解決していく復讐の旅物語。全てを統べるひとつのクッキーを火口に投げ込んで滅ぼさなければ! そのために遠くカンザスの地にビンテージワインを届ける! そのウサギの足のお守りの謎とは…なんか混ざりすぎてねえか? 「ごんぎつね」まで混ざってた気が。おまえだったのか!!

決め台詞を持つ探偵のキャラクターも悪くないしストーリーの繋がりもあって、童話風の急展開の空気感。なかなかいい出来だった。

むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました (青柳碧人)

人気昔話ミステリの第3弾。とりあえずサルがやばいということはわかった。南天丸、死すべし!

なかなか楽しめたよ。誰でも知ってる話だけど、なんとなくバリエーションがあって変化があるのが昔話。それがベースだから、というのもあるだろうな。